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大学・研究所にある論文を検索できる 「卵巣癌におけるクロマチンリモデリング 因子CHD4の機能に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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卵巣癌におけるクロマチンリモデリング 因子CHD4の機能に関する研究

大山 喜子 東北大学

2021.03.25

概要

卵巣癌は診断時点で、癌性腹膜炎を伴う進行例が多く、手術のみならず化学療法が治療の重要な役割を持つ。基本的にプラチナ製剤を主軸とした多剤併用療法が第一選択であり、奏功率は高いものの、再発率も高い。また、治療の経過中に徐々にプラチナ抵抗性を獲得することもしばしば認められ、一次治療においても再発後の二次治療においてもプラチナ感受性の有無が予後を規定する。予後の改善にはプラチナ感受性の増強や機序の異なる細胞障害性抗がん剤、分子標的薬の開発が重要である。直近10年の間にVEGF抗体やPARP阻害剤といった血管新生あるいは相同組み替え修復機構を標的とした分子標的薬が実用化され、免疫チェックポイント阻害剤や様々なキナーゼ阻害剤の開発が進行中である。当教室においても卵巣癌の予後改善を目的とした基礎的研究を連綿と行っており、プラチナ抵抗性を示しやすい組織型である、明細胞癌を対象とした全エクソーム解析の中で着目したZFHX4の共役因子であるChromodomain-helicase-DNA-binding protein 4(CHD4)の機能解析を行った。CHD4は、クロマチンリモデリング因子として機能するNucleosome remodeling and deacetylase(NuRD)複合体の構成要素である。NuRD複合体またはCHD4は、クロマチンリモデリング因子として様々な分子の転写活性に関わるのはもちろんのこと、細胞分化、細胞周期調節、DNA損傷修復など、癌細胞における重要な生物学的機能に関与していることがわかってきており、近年、様々な癌腫でCHD4の発現と予後の相関を示す報告がある。しかし、卵巣癌におけるCHD4の役割は十分に解明されていない。

 本研究の目的は、卵巣癌におけるCHD4の役割を明らかにし、新規治療標的となりうるか検討することである。The Cancer Genome Atlas(TCGA)の卵巣癌データセットおよび当院で治療した卵巣癌患者の臨床検体を用いて、CHD4遺伝子の増幅、mRNA発現量と全生存期間について解析した。その結果、CHD4遺伝子の増幅と全生存期間に相関が認められた。さらにプラチナ抵抗性症例において、CHD4の発現が有意に高いという結果であった。SiRNAを用いたRNA干渉法によるin vitroの解析では、CHD4と細胞増殖能、細胞遊走能、シスプラチン感受性の関係について検討した。CHD4の抑制によって細胞の増殖能、遊走能には変化は認めなかった。しかし、多くの細胞株でCHD4の抑制によるシスプラチン感受性の亢進が認められた。さらにシスプラチンによるアポトーシスの変化をウェスタンブロッティング法、フローサイトメトリーで確認すると、CHD4の抑制により、卵巣癌細胞株TOV21Gにおけるシスプラチンによって誘導されるアポトーシスが増強された。このシスプラチン感受性の変化は多剤輸送体Multi-drugresistance-1(MDR1)およびそのコーディングタンパク質P糖タンパク質の発現の変化を介して制御されることを明らかにした。CHD4/SMARCA5阻害剤であるED2-AD101は、シスプラチンとの相乗的相互作用を示すことを明らかにした。

 CHD4を抑制することでプラチナ製剤の感受性を増強することから、CHD4阻害薬が卵巣癌における治療の改善に寄与する可能性を示した。

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