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A combination of iohexol treatment and ionizing radiation exposure enhances kidney injury in contrast-induced nephropathy by increasing DNA damage

藤野 修 広島大学

2022.02.24

概要









題名:A combination of iohexol treatment and
ionizing radiation exposure enhances kidney
injury

in

contrast-induced

nephropathy

increasing DNA damage

氏名:

藤野



by

背景:
造影剤は、血流や腫瘍の正確な診断および治療のために種々の放射線手技と共に広く用いられて
い る 。 一 方 で 、 造 影 剤 は 検 査 や 治 療 を 受 け た 一 部 の 症 例 に 造 影 剤 腎 症 (contrast-induced
nephropathy, CIN)と呼ばれる腎障害をきたすことが知られている。CIN は、ヨウ素系造影剤の
静脈内投与後 48~72 時間以内に、ベースラインから血清クレアチニンが 25%上昇するか、血
清クレアチニンの絶対値が 0.5 mg/dL(44 𝜇mol/L)上昇することと定義されている。現在、CIN
は、院内で発生する急性腎不全の原因として 3 番目に多いと考えられている。CIN の発症およ
び進行には活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)の生成、腎動脈虚血、造影剤自身の毒性
などが関与しているとされているが、詳しいメカニズムは未だ解明されていない。
放射線は、様々な種類の DNA 損傷を誘発する。その中でも、DNA 二本鎖切断(DSB)は、細
胞死やそれに続く組織傷害を引き起こすことが明らかになっている。分子レベルでの解析では、
DNA 損傷の発生直後に、H2AX(ヒストン H2A バリアント)がホスファチジル-イノシト-3 キ
ナーゼファミリーの一員である ATM(ataxia telangiectasia mutated)によってリン酸化され
る(γH2AX)。その後、これらの因子は p53 結合タンパク質 1(53BP1)など他の DNA 修復関
連因子とともに損傷部位に集積し、γH2AX フォーカスなどの放射線誘発核内ドメインと呼ばれ
る核内高次構造体を形成する。近年、造影 CT や冠動脈カテーテル検査を施行した患者において
末梢血リンパ球の γH2AX フォーカスが増加することも報告されており、CIN のメカニズムに
放射線照射や腎への DNA 損傷が関与する可能性が示唆されている。しかし、これまでに造影剤
投与後の放射線照射による腎組織の DNA 損傷、酸化ストレスなどを検討した報告はない。そこ
で本研究では、ヒト腎由来の細胞である HK-2 細胞および CIN モデルマウスを用いて、造影剤
の存在下で放射線照射が腎機能および腎 DNA 損傷、酸化ストレス、炎症などに与える影響に関
する検討を行った。

方法:
①. HK-2 細胞の培地中に 100 mg/iodine のイオヘキソール投与と 1 Gy の放射線照射を行い、
照射後 1, 8, 24 時間後に γH2AX、リン酸化 ATM (pATM)、 53BP1 が形成する核内フォーカス
の蛍光免疫染色法による解析を行った。
②. 8 週齢の雄 C57BL/6 マウスを用いて、片腎摘出と 30 分間の腎動脈クランプを行った後に
200 µl のイオヘキソールを眼窩静脈叢から投与した CIN モデルマウスを作製した。同マウス
に対してイオヘキソール投与直後に腎へ 10 Gy の放射線照射を行い、24 時間後に屠殺した。
血液検体を用いてクレアチニン、BUN を測定し腎機能を評価した。DNA 損傷と修復の評価の
ために腎組織で γH2AX、pATM、53BP1 の免疫染色を行った。更に、ROS による DNA 損傷
の指標として 8-hydroxy-2'-deoxy-guanosine (8-OHdG)を、炎症の指標としてマクロファー
ジマーカーの F4/80 をそれぞれ用いての免疫染色を施行した。

③. HK-2 細胞に対して 100 mg/iodine のイオヘキソール投与と 10 Gy の放射線照射を行い、
24 時間後の ROS 生成を核内 8-OHdG の蛍光免疫染色を用いて評価した。

結果:
HK-2 細胞において、造影剤投与と放射線照射を組み合わせた群では、それぞれ単独で行った群
に比して照射 1, 8, 24 時間後の γH2AX フォーカスが有意に増加していた。更に同群において、
pATM は照射 1 時間後で、53BP1 は照射 8 および 24 時間後で放射線照射のみを行った群に比
して有意なフォーカス数の増加が見られた。核内 8-OHdG は、放射線単独では明らかなシグナ
ル強度の増大を認めなかったが、造影剤を投与した群でわずかに増大し、造影剤投与と放射線照
射の両方を行った群では有意な増大が見られた。CIN モデルマウスではクレアチニン、BUN レ
ベルは有意に上昇しており、放射線照射により更なるクレアチニン、BUN の有意な上昇と
γH2AX、pATM および 53BP1 陽性域の著明な増大が見られた。8-OHdG および F4/80 に関し
ては、放射線照射単独では陽性域の増大は見られなかったが、CIN モデルマウスで増大し、CIN
モデルマウスに放射線照射を行った群ではさらに有意な陽性域の増大を認めた。

討論:
HK-2 細胞において、造影剤投与と放射線照射を組み合わせることで γH2AX、pATM、53BP1
それぞれのフォーカスが増加し、さらに核内の 8-OHdG のシグナル強度も増大したことから、
造影剤と放射線照射は相乗的に DNA 損傷の増加と DNA 修復の遅延、ROS 産生の増加を引き起
こすことを示した。マウスにおいても、造影剤投与と放射線照射を行った群で腎組織の γH2AX、
pATM、53BP1、8-OHdG それぞれの陽性域の増大が認められ、両者の組み合わせによる DNA
損傷と ROS 産生の相乗的な増加が確認された。更にマウスでは血液検体でのクレアチニン、
BUN レベルの上昇と腎組織での F4/80 陽性域の増大が見られ、CIN において腎への放射線照射
が炎症細胞の誘導と腎機能障害に関与する可能性が示唆された。
これらの結果から、CIN 発症および進展のメカニズムに、放射線照射による DNA 損傷とそれ
に引き続く炎症や ROS の増加が関わっていると考えられた。今後は、造影剤投与によって産生
される ROS に対する腎保護効果が報告されている抗酸化物質 N-アセチルシステインアミドな
どによる CIN 発症予防法の開発が期待される。

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