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大学・研究所にある論文を検索できる 「大学アメリカンフットボール選手における頭部衝突の分析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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大学アメリカンフットボール選手における頭部衝突の分析

福田, 崇 筑波大学

2020.07.13

概要

アメリカンフットボールは激しいコンタクトが競技の醍醐味の一つであるが,傷害発生率が非常に高い.とりわけ,近年,脳振盪は大きな社会的関心を集めている.米国では衝突時の頭部キネマティクスの測定結果から選手の安全対策を検討している.しかし,日本ではこれらバイオメカニクス研究はみられない.したがって,本研究では大学アメリカンフットボール選手の傷害の特徴を把握し,実際の衝突時における頭部キネマティクスの測定を行い,脳振盪予防に関する基礎的知見を得ることを目的とした.

検討課題 1 では,大学アメリカンフットボール選手を対象に,10 年間の試合時のInjury Rate (GIR) と練習時の Injury Rate (PIR) を Athlete-Exposures (A-Es) によって調査した.その結果,10 年間における試合数と練習数は,それぞれ 109 回と 1920 回であり,試合時と練習時のA-Es は,それぞれ 4560.6 と 90374.4 となった.10 年間における傷害発生件数は 790 件 (試合時 198 件,練習時 592 件) であり,10 年間における頭部の GIR と PIR は,それぞれ 5.3/1,000A-Es と 0.7/1,000A-Es であった.試合時と練習時ともに脳振盪は 3 番目に多かった.このように傷害調査は傷害の特性を把握するためには有意義であるが,一方で,実際の頭部衝突において,その頻度や頭部キネマティクスを捉えていない.

検討課題 2 では,大学アメリカンフットボール選手における衝突時の頭部キネマティク スを2 シーズンの期間で分析した.対象者は6 軸センサー (6DOF) が組み込まれたVectorマウスガード (i1 Biometrics Inc) を装着し,通常通り練習や試合を行った.その結果,頭部衝突総数は,試合時 2070 回 (17.4 回/人),練習時 10007 回 (17.1 回/人) であった.試合時の頭部最大直線加速度 (LA; linear acceleration),頭部最大角加速度 (AA; angular acceleration),最大角速度 (AV; angular velocity),頭部損傷域値 (HIC; head injury criterion) の平均値 (21.8±12.2 G / 1322.2±878.4 rad/s2 / 20.9±35.0) は,練習時のそれら値 (19.5±10.8 G / 1147.5±769.8 rad/s2 / 14.5±24.4) よりも有意に高値を示した (p<0.05).さらに,試合時と練習時におけるすべての頭部衝突部位で,LA と AA およびAAと AV の間に有意な正の相関が認められた (p<0.05).つまり,本研究対象では,衝突時に頭部を十分に固定できておらず,頚部筋力の弱さが示唆された.

検討課題 3 において,大学アメリカンフットボール選手における頚部筋力が衝突時の頭部キネマティクスを減衰させることに寄与するかを分析した.頚部筋力の測定にはハンドヘルドダイナモメーターMicro FET(株式会社日本メディックス)を使用して,頸部 4 方向 (屈曲・伸展・左右側屈) の値を算出した.頚部周囲径はメジャーにて算出した.頭部キネマティクスの測定は,2017 年秋季レギュラーシーズン 7 試合で実施した.測定方法は課題 2と同様とした.算出した値を用いて,LA,AA,頚部筋力,頚部周囲径それぞれの関係を検討するために,相関係数を算出した.その結果,矢状面における頚部屈曲と伸展動作にのみ LA およびAA との間に負の相関が認められ,強い頚部屈曲・伸展筋力は衝突時の頭部加速度を減衰する可能性が示唆された.また,LA とAA および頚部周囲径の間に負の相関が認められ,頚部が強く,太いことは,衝突時に頭部を安定させることに貢献できる可能性を示唆した.

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