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大学・研究所にある論文を検索できる 「Epstein-Barr Virus関連腫瘍におけるウイルス遺伝子発現と免疫回避・発癌機構の解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Epstein-Barr Virus関連腫瘍におけるウイルス遺伝子発現と免疫回避・発癌機構の解明

久米, 絢子 東京大学 DOI:10.15083/0002006945

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 久米 絢子
本研究は EBV による免疫回避・発癌機構の解明を目的とし、潜伏感染遺伝子、EBV 由
来 microRNA (EBV miRNA)、EBV コピー数などウイルス側要因と、EBV 感染細胞における
免疫関連分子の発現や腫瘍内免疫細胞など宿主側要因に関し、複数の EBV 関連腫瘍に対
し評価、解析を試みたものであり、下記の結果を得ている。

1.

EBV関連腫瘍の手術・生検検体から癌、悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患 (LPD)など
複数の臓器・組織型を含むように対象症例を抽出し、腫瘍細胞単位でのEBV miRNA 44
種の網羅的発現解析を行った。その結果、胃癌やLPD、latency type Ⅰ、Ⅲの腫瘍におい
て相対的miRNA発現量は高く、組織型、潜伏感染様式の違いによるmiRNA発現量の差
が示された。さらにebv-miR-BART3-3p、4-5p、7-3p、9-3p、12など複数のがん種共通に
高発現するEBV miRNAと、胃癌におけるBART1-3p、1-5p、2-5p、6-3p、移植後LPDに
おけるBHRF1-3など、臓器あるいは腫瘍特異的に高発現するmiRNAが示された。

2.

胃癌や移植後、医原性LPDなど特定の組織型において高発現を示したEBV miRNAに対
し、公開データベースを用いて標的遺伝子検索、パスウェイ解析を行った結果、Wnt経
路やウイルス発癌など発癌関連パスウェイにある遺伝子が標的となる可能性が示され
た。また、胃癌、移植後LPDで高発現を示したmiRNAには、IL12B、MICB、CXCL11
といった免疫関連遺伝子発現調節への関与の報告があるものが含まれていた。これら
の結果より、発現異常を示すEBV miRNAの、発癌や免疫回避への関連が示唆された。

3.

複数のEBV関連腫瘍におけるEBVコピー数解析により、EBV miRNA発現量が全体的に
高い胃癌、上咽頭癌など癌においてEBVコピー数が高いことが示され、EBVコピー数
増加とEBV miRNA発現亢進の関与が示唆された。

4.

EBV関連腫瘍における免疫チェックポイント分子PD-L1を介した免疫回避機構に着目
し、複数のEBV関連腫瘍に対しPD-L1単一抗体での免疫染色を行い、腫瘍PD-L1発現率
を組織型、潜伏感染様式間で比較検討した結果、腫瘍PD-L1発現率はLPD、悪性リンパ
腫、癌の順に高く、latency type ⅡあるいはⅢの腫瘍でPD-L1陽性率が高くなることが明
らかになった。

5.

複数の抗体を用いた免疫染色およびEBER in situ hybridizationを併用した多重染色法を
施行し、EBV陽性悪性リンパ腫、LPDにおける1細胞単位での潜伏感染遺伝子発現と
PD-L1発現を評価した結果、LMP-1の発現とPD-L1の発現が有意に相関することが示さ
れた。EBNA2発現とPD-L1発現の間には有意な相関は認められなかった。

6.

EBV陽性LPD症例を対象とし、古典的ホジキンリンパ腫様の腫瘍細胞形態を示す
Hodgkin/Reed-Sternberg (H/RS) like cellと、non-H/RS like cellにおけるPD-L1陽性率およ
びLMP-1陽性率を比較した結果、H/RS like cellの方で有意に両者の高発現を示した。
以上、本論文はヒト組織検体を用い、EBV関連腫瘍において、発現異常を示すEBV

miRNAが発癌・宿主免疫制御に関与する可能性を明らかにすると共に、多重染色法を用い
ることでEBV感染腫瘍細胞におけるLMP-1発現細胞でPD-L1発現頻度が高いことを、1細胞
解像度での評価ではじめて明らかにした。さらにH/RS様の腫瘍細胞形態がこれらの共発現
に関連することを明確に示した。本研究はEBV関連腫瘍における発癌免疫回避機構の一端
を明らかにし、今後、EBV関連腫瘍の発癌機構の解明や診断、治療戦略の開発に貢献を成
すと期待される。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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