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セルフモニタリングが高齢者の身体機能に与える影響

友竹, 浩之 信州大学

2023.08.22

概要

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

   セルフモニタリングが高齢者の身体機能に与える影響
04-7
友竹浩之(飯田短期大学)
キーワード:健康増進教室、セルフモニタリング、高齢者、ロコモ度、運動

要旨:本研究では、フレイル予防を目的とした約 2 カ月間の健康増進教室を実施し、参加者全員に体
重、腹囲、食事摂取状況、運動実施状況、噛むことの意識などについて毎日記録(セルフモニタリン
グ)してもらった。参加者のロコモ度を教室前後で比較した結果、有意に改善されていた(立ち上
がりテスト p = 0.008、2 ステップ値 p < 0.001、ロコチェック p = 0.007)。自立高齢者を対象とした、
運動、咀嚼、栄養指導およびセルフモニタリングを組み合わせた約 2 カ月間のプログラムは実行性が
高く、ロコモ度の改善についても一定の効果がみられることがわかった。

A.目的



測定:身長、体重、腹囲、握力

 身体的な機能低下を示す症候群として、ロコ



調査:立ち上がりテスト、2 ステップテ
スト、ロコモ 25、ロコチェック

モティブシンドローム(以下、ロコモ)が注目

2 回目 教室スタート

されており、ロコモ判定はフレイルの早期スク
リーニング

1)

や予防

2)

講義:「歩こう動こうプラステン」・

に有益であることが報告

「介護予防のための運動について」

されている。本研究では、フレイル予防を目的

演習:座位での運動・筋力トレーニングほか

とした約 2 カ月間の健康増進教室を実施し、参

3 回目 講義:「よく噛むことの大切さ」

加者に体重、腹囲、食事摂取状況、運動実施状況、

演習:「段階別の硬さのお菓子の試食」

噛むことの意識などについて毎日記録(セルフ

4 回目 講義:「低栄養を予防する食べ方」

モニタリング)してもらった。

調理実習:しめじご飯、豆腐の清汁ほか

 また、参加者の身体特性や身体機能を教室前
後で比較し、教室(セルフモニタリング)の有

5 回目 測定・調査:1 回目と同じ

効性について調べた。

 2.2 モニタリング項目 期間中のモニタリン

B.方法

グ項目として、体重、腹囲、食事摂取状況、運

1. 対象者

動実施状況、噛むことの意識などについて毎日

 対象は 2015 年 12 月から 2016 年 2 月にかけて

記録(セルフモニタリング)してもらった。

実施された健康増進教室参加者 19 名(平均 76.5

3. 統計学的解析

± 4.2 歳、男性 3 名、女性 16 名)とした。 

  咀 嚼 能 力、 身 体 状 況、 栄 養 状 態、 質 問 紙 調

 本研究は、飯田女子短期大学研究倫理委員会

査 結 果 に 関 す る 統 計 学 的 解 析 に は、SPSS for

の承認を得た後実施した。

Windows 17.0J(日本アイ・ビー・エム(株)、

2. 実施方法

東京)を用い、有意確率 5%未満をもって有意差

 2.1 第 1 回教室は、介入前の身体状況の測定、

ありとした。

およびロコモに関する調査を行った。第 2 回か

C.結果

ら第 4 回目は、隔週でテーマにそって講義と実

1. 介入効果

習を行った。第 5 回は、介入前と同じ項目の測

 参加者の体重、BMI については、教室前後で

定および調査を行った。教室の概要は以下のと

変化はみられなかったが、腹囲は、教室前に比べ

おりである。

て有意に減少した(p = 0.02)(表 1)。一方、参

1 回目 説明:教室の概要、同意説明

加者の握力は、教室前後で変化はみられなかっ
70

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

演題登録04-7

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

加者の握力は、教室前後で変化はみられなかった。

また、モニタリングとして、片脚立ちとスクワッ

た。参加者のロコモ度を教室前後で比較した結
参加者のロコモ度を教室前後で比較した結果、有

ちとスクワットの実施回数を記録してもらった
トの実施回数を記録してもらったが、片脚立ち平

果、有意に改善されていた(立ち上がりテスト
p
意に改善されていた(立ち上がりテスト p=

が、片脚立ち平均
90.1%、スクワット平均
85.7%
均 90.1%、スクワット平均
85.7%と、参加者の


0.008、2 ステップ値
ステップ値 p
< 0.001、ロコチェック p
0.008、2
p<0.001、ロコチェック

と、参加者の運動実施率が高く、その影響も大
運動実施率が高く、その影響も大きいことが示唆

p=0.007)(表
= 0.007)(表 2)

2)。

きいことが示唆された。
された。
 本研究の限界として、研究デザインが介入群
本研究の限界として、研究デザインが介入群の

表 1 身体特性の教室前後の変化
教室前 3

の前後比較であり、コントロール群がない点が

前後比較であり、コントロール群がない点が挙げ

挙げられ、教室への参加という介入の効果かど

p値

教室後 4

られ、教室への参加という介入の効果かどうかが

身長(cm)

1

体重(kg)

1

BMI

152.8±9.6

1

腹囲 (cm)

1

152.9±9.7

0.434

5

うかが明確ではない。また、介入直後のみのデ
ータとの比較である点から、教室前との差が出

明確ではない。また、介入直後のみのデータとの

55.1±9.5

55.1±9.4

0.902

5

23.5±2.8

23.5±2.7

0.652

5

やすいとも考えられる。被検者数も少ない。以

84.5±9.2

82.3±10.0

0.020

5

上の限界点はあるものの、今回、自立高齢者を

*

握力右(kg)

2

23.1(19.9-26.3)

23.0(20.2-25.7)

0.529

6

握力左(kg)

2

20.1(18.4-26.7)

21.4(19.2-26.2)

0.806

6

比較である点から、教室前との差が出やすいとも
考えられる。被検者数も少ない。以上の限界点は
あるものの、今回、自立高齢者を対象として、運

対象として、運動、咀嚼および栄養指導および

動、咀嚼および栄養指導およびセルフモニタリン

セルフモニタリングを組み合わせた約 2 カ月間

グを組み合わせた約 2 カ月間のプログラムは実
のプログラムは実行性が高く、ロコモ度の改善

1

平均値±標準偏差(n=19)

2

中央値 (n=19)(25 パーセンタイル-75 パーセンタイル)

行性が高く、ロコモ度の改善についても一定の効
についても一定の効果がみられることがわかっ

3

2014 年 12 月、4

果がみられることがわかった。
た。

5

対応のあるサンプルの T 検定

E.まとめ
E.まとめ 

6

Wilcoxon の符号付き順位検定

セルフモニタリングを取り入れた約 22 カ月間
カ月間
 セルフモニタリングを取り入れた約

*

教室前と比べて有意に低値(p <0.05)

2015 年 2 月

のプログラムは、ロコモ度の改善に効果がみら
のプログラムは、ロコモ度の改善に効果がみら
れることがわかった。
れることがわかった。

表 2 ロコモ度の教室前後の変化
教室前 4

立ち上がりテスト(点)
2 ステップ値

1,2

3

ロコモ 25(点)

3

ロコチェック(個)

5(4-5)

*

1.3±0.2

1.4±0.2

*

11.2±10.0

8.7±6.5

1(0-2)

0(0-1)

4(4-4)

2

1

最高を 8 点、最低を 1 点と定義した

F.利益相反 
F.利益相反

p値

教室後 5

*

2

中央値 (n=19)(25 パーセンタイル-75 パーセンタイル)

3

平均値±標準偏差(n=19)(ロコモ 25 のみ n=18)

4

2014 年 12 月、5

6

Wilcoxon の符号付き順位検定

7

対応のあるサンプルの T 検定

*

教室前と比べて有意に高値(ロコチェックは有意に低値)
(p <0.05)

 利益相反なし。
利益相反なし

0.008

6

<0.001

7

0.246

7

0.004

6

G.文献
G.文献

1)
松井康素:ロコモフレイル外来の立ち上げとそこ

1)松井康素.ロコモフレイル外来の立ち上げと
でみられた両者の合併・相互関係.整形災害外
そこでみられた両者の合併・相互関係.整形
科,61: 733-740, 2018.
災害外科,61: 733-740, 2018
2)
Yoshimura N, Muraki S, Iidaka T, Oka H,
2)9)Yoshimura N, Muraki S, Iidaka T, Oka
Horii C, Kawaguchi H, Akune T, Nakamura
H, Horii C, Kawaguchi H, Akune T,
K, Tanaka S : Prevalence and co-existence
Nakamura K, Tanaka S. Prevalence and coof locomotive syndrome, sarcopenia, and
existence
of
locomotive
syndrome,
frailty: the third survey of Research on
sarcopenia, and frailty: the
thirdDisability
survey of
Osteoarthritis/Osteoporosis
Against

2015 年 2 月

Research study.
on Osteoarthritis/Osteoporosis
(ROAD)
J Bone Miner Metab, 37:

D.考察
D.考察

Against Disability
(ROAD) study. J Bone
1058-1066,
2019.

表22に示すとおり、参加者のロコモ度が有意
に示すとおり、参加者のロコモ度が有意に
 表

Miner Metab, 37: 1058-1066, 2019.

改善されていたことが、教室の効果としてあげら
に改善されていたことが、教室の効果としてあ
げられるが、本研究では、介入開始の回(教室
れるが、本研究では、介入開始の回(教室の第 2
の第
2 回)で、運動についての講義と実習を実
回)で、運動についての講義と実習を実施したた
施したため、その指導効果が大きくなったと考
め、その指導効果が大きくなったと考えられる。
えられる。また、モニタリングとして、片脚立
71

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. ...

参考文献

1)

松井康素:ロコモフレイル外来の立ち上げとそこ

1)松井康素.ロコモフレイル外来の立ち上げと

でみられた両者の合併・相互関係.整形災害外

そこでみられた両者の合併・相互関係.整形

科,61: 733-740, 2018.

災害外科,61: 733-740, 2018

2)

Yoshimura N, Muraki S, Iidaka T, Oka H,

2)9)Yoshimura N, Muraki S, Iidaka T, Oka

Horii C, Kawaguchi H, Akune T, Nakamura

H, Horii C, Kawaguchi H, Akune T,

K, Tanaka S : Prevalence and co-existence

Nakamura K, Tanaka S. Prevalence and coof locomotive syndrome, sarcopenia, and

existence

of

locomotive

syndrome,

frailty: the third survey of Research on

sarcopenia, and frailty: the

thirdDisability

survey of

Osteoarthritis/Osteoporosis

Against

2015 年 2 月

Research study.

on Osteoarthritis/Osteoporosis

(ROAD)

J Bone Miner Metab, 37:

D.考察

D.考察

Against Disability

(ROAD) study. J Bone

1058-1066,

2019.

表22に示すとおり、参加者のロコモ度が有意

に示すとおり、参加者のロコモ度が有意に

Miner Metab, 37: 1058-1066, 2019.

改善されていたことが、教室の効果としてあげら

に改善されていたことが、教室の効果としてあ

げられるが、本研究では、介入開始の回(教室

れるが、本研究では、介入開始の回(教室の第 2

の第

2 回)で、運動についての講義と実習を実

回)で、運動についての講義と実習を実施したた

施したため、その指導効果が大きくなったと考

め、その指導効果が大きくなったと考えられる。

えられる。また、モニタリングとして、片脚立

71

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

...

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