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大学・研究所にある論文を検索できる 「妊娠期の座位行動減少を目的とした介入の効果検証」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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妊娠期の座位行動減少を目的とした介入の効果検証

川尻 舞衣子 東北大学

2020.03.25

概要

【背景】妊娠期の身体活動は母児の健康に利点があるとされるが、多くの妊婦の身体活動量は推奨基準を満たしていない。妊娠期の身体活動促進に必要な支援として、日常生活の中で実践できる、身体的負担の少ない、切迫早産などの不安がなく取り組める安全性の高いアプローチが必要である。本研究では、妊娠期の身体活動介入における課題を克服したアプローチとして、座位行動を減少させる介入により身体活動の維持向上を目指す。本研究の目的は、妊娠期の座位行動減少を目的とした介入の受容性と実施可能性および座位行動減少効果を検証すること(研究 1)、妊娠期の座位行動減少を目的とした介入による、座位行動の変化の実態および座位行動減少に関連する要因を明らかにすること(研究 2)である。

【研究 1:方法】第 1子妊娠中かつ単胎妊娠の健康な妊婦を対象に、ヒストリカルコントロールを対照群とする準実験的研究を実施した。対照群は、2016年に介入群と同施設で実施された、身体活動・座位行動の観察研究に参加した妊婦とした。介入群には、座位行動減少を目的とした介入として、リーフレットを教材とした個別保健指導、活動量計(LOOP2,Polar 社製)に搭載された1時間以上の座位行動を振動通知する座位行動継続アラート機能の使用、アプリを用いた座位行動のセルフモニタリングを実施した。介入の受容性および実施可能性の評価には、脱落率、活動量計装着率、個別保健指導の理解度・有用性・ニーズとの一致、座位行動継続アラートへの反応頻度、セルフモニタリングの実施頻度を調査し、記述統計を行った。座位行動減少の評価には、活動量計で経時的に測定される活動量データを用い、妊娠中期(妊娠24~27 週)および妊娠末期(妊娠32~35 週)の平均座位時間を算出し、分析には共分散分析を用いた。

【研究 2:方法】研究 1における介入群の二次分析として実施した。介入による座位行動減少を定義するには、介入前の平均座位時間を基準とし、5%以上減少した者を減少群、それ以外を非減少群とした。減少群と非減少群における身体活動・座位行動の経時的変化の評価は、強度別実施時間、座位行動継続時間ごと(30分未満、30分以上 60分未満、60分以上)の回数および累積時間を算出し、分析には線形混合モデルを用いた。座位行動減少の関連要因は、参加者の属性および座位行動を誘引する生活習慣を質問紙にて調査し、分析には二項ロジスティック回帰分析を用いた。

【研究 2:結果】介入前および介入後の活動量データが不足している者を除外し、49名(71.0%)を分析対象とした。減少群は15名(30.6%)、非減少群は34名(69.4%)であった。座位行動継続時間ごとの回数および累積時間は、減少群ではいずれの項目も有意な変化を認めなかった。一方、非減少群における30分以上 60分未満の座位行動回数は、介入前から妊娠中期(p=0.03)、介入前から妊娠末期(p<0.01)にかけて有意に増加し、60分以上の座位行動回数は介入前から妊娠中期(p=0.03)、介入前から妊娠末期(p=0.01)にかけて有意に増加した。非減少群における30分以上 60分未満の座位行動累積時間は、介入前から妊娠中期(p=0.03)、介入前から妊娠末期(p<0.01)にかけて有意に増加し、60分以上の座位行動累積時間は、介入前から妊娠後期(p=0.02)にかけて有意に増加した。座位行動減少に有意な影響を与える要因として、身体活動の忌避感(p=0.04、オッズ比:0.15、95%信頼区間 0.02-0.95)、自由時間の座位行動傾向(p=0.02、オッズ比: 12.78、 95%信頼区間:1.55-105.12)の2 要因が認められた。

【考察】座位行動減少を目的とした介入は妊娠期の女性のニーズに合致し、実施可能な内容であることが確 認された。一方で、座位行動継続アラートへの反応率とセルフモニタリングの実施頻度は低い結果であり、座位行動の減少効果は認められず、介入内容に改良が必要であることが見いだされた。減少群は非減少群と比較して、30分以上の座位行動回数および累積時間の経時的な減少により、総座位時間が妊娠中期から妊娠末期を通して5%以上減少することが明らかになった。さらに、座位行動減少には、身体活動への低い忌避感、自由時間の座位行動の強い傾向の2 要因が関連していることが示された。今後は、妊婦の特徴を考慮し、妊婦の特性ごとに適した内容になるよう介入を改変する必要がある。そのうえで、対象者数を拡大して、座位行動減少の効果を無作為化比較対照試験にて検証する必要がある。

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