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大学・研究所にある論文を検索できる 「パン製造小売業の食品ロスに関わる意思決定とその削減への一考察」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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パン製造小売業の食品ロスに関わる意思決定とその削減への一考察

山中 崇史 東北大学

2022.02.28

概要

【目的】
食品ロスとは,『本来食べられるにもかかわらず捨てられる食品』のことを指す言葉である.食品の廃棄は①経済的側面②環境的側面③倫理的側面など幅広い社会的課題があり,日本のみではなく海外でも問題視されている.国連はSDGsの採択を通して,2030年までに小売•消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ,収穫後損失などの生産•サプライチヱーンにおける食品ロスを減少させることを目標とした.また,これを受け日本では,循環型社会形成推進基本法に基づく第四次循環計画によって,2030年度までに家庭からの食品ロスを半減させることが目標と定められた.しかし,食品ロスに関する研究は,その発生要因や廃棄食品の再利用などに関する研究が多く,廃棄に関わる意思決定を扱った研究は少ない.今後食品ロスを効果的に減少させていくためには,廃棄行動の要因や意思決定の背景を理解し,根本的な解決を目指す必要がある.本稿では,食品の製造•販売を行う事業体の経営者の廃棄に関わる意思決定を分析し,廃棄行動の背景を構造的に解明するとともに,今後の食品ロス削減に向けた考察を行う.

【方法】
9月下旬から11月下旬にかけて,仙台市内のパン製造小売業を行う10の事業体へ赴きインタビュー調査を実施した.インタビューの対象は「オープンフレッシュベーカリー」と「インストアベーカリー」であり,売り場面積のほとんどがパンである店舗を選定した.閉店時の商品陳列数や余剰商品の処置に関してオープンクエスチョン形式での質問を行い,経営者の発言から最終生産量の決定や閉店時陳列量の決定に関する思考モデルを設計した.

【分析結果】
最終生産量は,あらかじめ決められた閉店時陳列量を目標として製造されることが判明した.閉店時陳列量の決定には「コスト面」と「心情面」の二つが影響しており,「コスト面」は「欠品ロス」と「廃棄ロス」が,「心情面」は「廃棄の不満」と「消費者の満足」が天秤のように相互に関係している.「コスト面」と「心情面」をどれだけの割合で重視するかという経営者の価値観が閉店時陳列量と大きく関わっていることが分かった.また,余剰商品の処置に関しては,廃棄を避けようとする一方で,コストや職人としての気質などが廃棄削減行動を抑 制することが分かった.

【結論】
分析結果を経て,経営者の廃棄に関わる意思決定は「商材の特性」「顧客の特性」「経営者の特性」に分類して捉えられることが分かった.よって,パン製造小売業のみが食品ロス削減に取り組むのではな く,消費者を含めたサプライチヱーン全体で取り組む姿勢が重要だといえる.今後,食品ロス削減を進めていくためには,食品事業体のロスへの取り組みとともに,消費者の食品ロス削減への意識改革が必要である.

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