リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「不均一な地盤に埋設されるたわみ性管の力学挙動に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

不均一な地盤に埋設されるたわみ性管の力学挙動に関する研究

園田, 悠介 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

A Study on Mechanical Behavior of Flexible Pipe
Buried in Non-uniform Ground

園田, 悠介
(Degree)
博士(農学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Date of Publication)
2024-03-01

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8658号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482406
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

別紙様式 3 (博士論文審査等内規第 2条関係)

博士論文内容の要旨





専攻・講座

園田

悠介

食料共生システム学専攻•生産環境工学講座

論文題目(外国語の場合は,その和訳を併記すること。)

AStudyonMechanicalBehavioro
f
F
l
e
x
i
b
l
eP
i
Q
eBuriedi
nNon-uniformGround
不均ーな地盤に埋設されるたわみ性管の力学挙動に関する研西

澤田



指導教員

(氏名:

園田悠介

N0.1)

8万 km敷設されており,貴重な水資
.
農業用管水路は,基幹的な施 設だけでも全国に約 1

源の効率的使用,水利用の自 由化,用水路用地の節減等に 大きく寄与する我が国の重要 な
社会資本ストックの一つであ る.近年では,剛性管である コンクリート管に代わり,埋 設
時に一定の変形を許容するたわみ性管の採用が増加している.
たわみ性管の横断方向の設計 では,土重量や地表面の自動 車荷重等の外圧によって土中
の管に作用する土圧の分布と 大きさが重要となる.現行の 農業用管水路設計基準では, 土
圧分布と大きさについて,鉛 直方向には埋設深等により決 まる等分布荷重が,水平方向 に
は地盤の剛性等により決まる放物線形状の荷重が作用すると仮定する.この水平土圧は,
管の変形に対する地盤の受働土圧として作用するものである.土圧分布と大きさは, 1930
r理論ならびにその後の研究に よって確立さ
e
l
g
n
a
p
S
n
o
t
s
r
a
1940年代に系統立てられた M

れてきたものであるが,それ ら数多くの現場実験や室内実 験は,管周辺が十分かつ均ー に
締め固められた条件下で実施 されたものである.一方で, 実際には,管周辺地盤の一部 に
局所的な密度低下もしくは空 洞が発生し,地盤密度が不均 一化する場合がある.このよ う
な状況における埋設管の力学 挙動は明らかになっておらず ,現行の設計基準においても 合
理的な考え方が確立されていない.土中での地盤の不均一化や流出による管への影響は,
明確に原因を特定することが 困難な場合が多いが,本論第 4章で取り上げる供用中の管路
のように,地盤の不均一化が管の破損につながる可能性は否定できない.
以上の観点から,本研究では ,埋設管周辺の地盤密度が局 所的に低下した不均ーな条件
下における管の力学的挙動を 解明し,管体破損に至る可能 性や対策工を検討することを 目
的として,特に管周辺地盤の 不均一化が生じやすい 3 つの具体的な状況を取り上げ ,小規
模から実規模に相当する,複数のスケールでの模型実験を実施した.
本論文は,全 5章から構成されている.各章の要旨を以下に示す.
第 1章では,研究背景として農 業用管水路の概要および現行 設計の考え方を述べるとと
もに,特に管周辺地盤の不均一化が生じやすい施工時の締固め不足,施工後の矢板引抜き,
供用中の地盤流出の 3つを取り上げ,各課題における本研究の目的を述べた.
第 2 章では,狭窄で作業が難しい 管底側部において,管の埋戻 し時の締固め不足により
局所的に密度が低下する問題 に関する埋設模型実験を実施 した.実験は,基礎的な傾向 を
把握するための小規模埋設実 験(口径 160mmの塩化ビニル管を使用)と, 実規模に相当す
る口径 300mmのポリエチレン管を用いた埋 設実験を実施した.口径 300mmのポリエチレ
ン管を用いた埋設実験の結果 ,管底側部の締固め不足によ り,上載荷重に対する基礎反 カ
が管底に集中し,通常の 7倍以上のひずみが発生することがわかった.本実験の条件では,
5%であったが,さらに変形が 進んだ場合には,設計基準の 許容たわみ
.
管のたわみ率は約 2
率 5%に達する前に管の限界曲げ強度に相当するひずみが生じると推定された.すなわち,
締固め不足により管底にひず みが集中することで,管の破 損につながる可能性が高いこ と
)
S
P
E
が明らかとなった.さらに,その対策として,断面を三角形に加工した発泡スチロール (
を管底側部に基礎として設 置する方法を提案し,その 有効性を検証したその結果 , EPS

(氏名:

園田悠介

N0.2)

基礎の形状によっては管底や管と EPSの接点に若干のひずみ集中が認められるが,締固め
不足を再現したケースと比較すると大幅に抑制された.この場合,許容たわみ率 5%におけ
るひずみは,限界曲げ強度に相当するひずみの 1/10 1/5程度と推定され,締固め不足によ
る管の破損リスクを低減できた.
第 3 章では,施工後の矢板引き抜きによって生じる管周辺の局所的な緩みの問題を取り

上げた.既往研究では,矢板引抜き後に水平たわみが増加することが示されているため,
本研究では,矢板引き抜き時の土圧変化を解明する目的で矢板引抜き模型実験を実施した.
0m mのアルミニウム管を,矢板(ア
5
実験は, 20個の二方向ロードセルを装着した口径 1

ルミニウム板)を挿入した模型地盤に埋設後,地盤から矢板を引き抜く方法で実施した.
その結果,矢板引き抜き開始直後,管に作用する鉛直・水平土圧は急激に減少し,矢板下
端が管底面の高さに達する前にゼロ近くまで低下した.その後,水平土圧がほとんど作用
しない状態で管上部の地盤が下方に変位することにより,鉛直土圧が再び増加し,管の水
平たわみが増加することが明らかとなった.また,矢板引きによる管のたわみ量は,矢板
間の距離が長いほど,すなわち溝幅が広いほど減少し,溝幅と水平たわみの関係はほぼ直
線的であるという結果を得た.さらに,管周辺の基礎材をジオグリッドで一体化する対策
工を提案するとともに,対策による管のたわみ抑制効果を検証した.対策工を行った場合,
矢板引抜き完了時の水平土圧は無対策のケースと同程度まで低下する一方で,矢板引き抜
き開始直後に生じる水平土圧の低下が抑制されることにより,最終的な管の水平たわみを
約 50%まで減少させることができた.
第 4 章では,管周辺の地盤流出により,特に継手付近の地盤が不均ーになる問題につい

て検討したまず,管に亀裂やクラックの発生が疑われる供用中の FRPM管(口径 1350mm)
を掘削調査した結果を分析・整理し,継手受け口側の管上部に多くの局所的破損が発生し
ていることを指摘した.次に,この局所的な破損の原因を検討することを目的に,継手部
付近の地盤が流出した場合の管の力学挙動を 3 次元的に評価するための排砂模型実験を実
0kPa
5
施した.実験は,継手構造を有する口径 300mmの塩化ビニ)レ管を模型地盤に埋設し, 1

の圧力を地表面に作用させた状態で土槽底部から砂を排出する方法で実施した.また,管
に生じるひずみを三軸ひずみゲージを用いて測定することにより,管の挙動を主ひずみで
評価した.その結果,地盤流出により縦断方向の沈下と横断方向の変形が発生し,管上部
の主ひずみの方向が変化するとともに,その大きさも 増大することが明らかとなったま
た,その主ひずみの増大は,現場での破損箇所と同様に,特に管受け口の上部で顕著に確
認された.
第 5 章では,各章の結果を踏まえた結論を述べるとともに,今後の課題として,数値解

析によるさらなる分析と,実現場への展開について述べた.

論文審査の結果の要旨

(別紙 1)

園田悠介

氏名

論文
題目

'

A StudyonMechanicalBehavioro
fF
l
e
x
i
b
l
eP
i
p
eBuriedi
nNon-uniformGround
(不駒ーな地盤に埋設されるたわみ性管の力学挙動に関する研究)
区分

職名

主査

准教授

澤田豊



副査

教授

河端俊典




副査

教授

田中丸治哉

副査

教授

井上一哉



副査











基幹的農業用管水路は,全国に約 1万 8千 km張り巡らされ,灌漑用水の効率的使用に大きく貢献する
とともに,我が国の重要な社会資本ストックを形成している.また,近年では,水利用の高度化や士地利
用の観点から開水路から管水路への転換の要望が全国的に高まっている状況にある.
たわみ性管は,土の自重や自動車荷重に起因する士圧によって変形するが,許容値を超えないように管
の種類を選定する.したがって士圧の分布特性は,設計上極めて重要となるが,現行の農業用管水路設計
基準では,埋設条件に応じて,鉛直方向には等分布,水平方向には放物線分布が仮定されている.こうし
た士圧分布特性は, 1
9
3
0
,
,
.
.
_
_
,
1
9
4
0年代に系統立てられた Marston-Spangler理論ならびにその後の現場実
験や室内実験結果に基づいて確立されてきたものであるが,それら多くの研究では,管周辺が十分かつ均
ーに締め固められた条件が想定されたものである.一方,実際には,管周辺地盤の一部に局所的な密度低
下もしくは空洞が発生し,地盤密度が不均ー化する場合がある.このような条件下における埋設管の力学
挙動は明らかになっておらず,現行の設計基準においても考慮されていない.士中での地盤の不均ー化や
流出による管への影響は,明確に原因を特定することが困難な場合が多いが,本論文で取り上げる供用中
の管路のように,地盤の不均ー化が管の破損につながる可能性は否定できない.
以上の観点から,本研究では,埋設管周辺の地盤密度が局所的に低下した不均ーな条件下における管の
力学的挙動を解明し,管体破損に至る可能性や対策工を検討することを目的として,特に管周辺地盤の不
均一化が生じやすい 3つの具体的な状況を取り上げ,小規模から実規模に相当する,複数のスケールでの
模型実験を実施した.本論文は,全 5章から構成されている.各章の要旨を以下に示す.
第 1章では,研究背景として農業用管水路の概要および現行設計の考え方を述べるとともに,特に管周
辺地盤の不均ー化が生じやすい施工時の締固め不足,施工後の矢板引抜き,供用中の地盤流出の 3つを取
り上げ,各課題における本研究の目的を述べた.
第 2章では,狭窄で転圧が困難な管底側部において,締固め不足に起因する局所的密度低下を想定した
埋設模型実験を実施した.実験は,基礎的な傾向を把握するための小規模埋設実験(口径 160mmの塩化
ビニル管を使用)と,実規模に相当する口径 300mmのポリエチレン管を用いた埋設実験を実施した.ロ
径 300mmのポリエチレン管を用いた埋設実験の結果,管底側部の締固め不足により,上載荷重に対する
基礎反力が管底に集中し,通常の 7倍以上のひずみが発生することがわかった.本実験の条件では,管の
.
5%であったが,さらに変形が進んだ場合には,設計基準の許容たわみ率 5%に達する前に
たわみ率は約 2
管の限界曲げ強度に相当するひずみが生じると推定された.すなわち,締固め不足により管底にひずみが
集中することで,管の破損につながる可能性が高いことが明らかとなった.さらに,その対策として,断
面を三角形に加工した発泡スチロール (
EPS) を管底側部に基礎として設置する方法を提案し,その有効
性を検証した.その結果, EPS基礎の形状によっては管底や管と EPSの接点に若干のひずみ集中が認め
られるが,締固め不足を再現したケースと比較すると大幅に抑制された.この場合,許容たわみ率 5%に
/101/5程度と推定され,締固め不足による管の破
おけるひずみは,限界曲げ強度に相当するひずみの 1
損リスクを低減できた.

氏名

l

園田,悠介

第 3章では,施工後の矢板引き抜 きによって生じる管周辺の局 所的な緩みの問題を取り上げ た.既往研究
では,矢板引抜き後に水平た わみが増加することが示され ているため,本研究では,矢 板引き抜き時の土圧
変化を解明する目的で矢板引 抜き模型実験を実施した.実 験は, 20個の二方向ロードセルを装 着した口径
150mmのアルミニウム管を,矢板( アルミニウム板)を挿入した 模型地盤に埋設後,地盤から 矢板を引き
抜く方法で実施した.その結果,矢板引き抜き開始直後,管に作用する鉛直•水平士圧は急激に減少し,矢

板下端が管底面の高さに達す る前にゼロ近くまで低下した .その後,水平土圧がほとん ど作用しない状態で
管上部の地盤が下方に変位す ることにより,鉛直土圧が再 び増加し,管の水平たわみが 増加することが明ら
かとなった.また,矢板引き による管のたわみ量は,矢板 間の距離が長いほど,すなわ ち溝幅が広いほど減
少し,溝幅と水平たわみの関 係はほぼ直線的であるという 結果を得た.さらに,管周辺 の基礎材をジオグリ
ッドで一体化する対策工を提 案するとともに,対策による 管のたわみ抑制効果を検証し た.対策工を行った
場合,矢板引抜き完了時の水 平土圧は無対策のケースと同 程度まで低下する一方で,矢 板引き抜き開始直後
0%まで減少させることが
に生じる水平土圧の低下が抑 制されることにより,最終的 な管の水平たわみを約 5
できた.
第 4章では,管周辺の地盤流出により,特に継手付近の地盤が不均ーになる条件について検討した.まず,
350mm) を掘削調査した結果を分析・ 整
管に亀裂やクラックの発生が 疑われる供用中の FRPM管(口径 1
理し,継手受け口側の管上部 に多くの局所的破損が発生し ていることを指摘した.次に ,この局所的な破損
の原因を検討することを目的 に,継手部付近の地盤が流出 した場合の管の力学挙動を 3次元的に評価するた
めの排砂模型実験を実施した.実験は,継手構造を有する口径 300mmの塩化ビニル管を模型地盤に埋設し,
150kPaの圧力を地表面に作用させた 状態で土槽底部から砂を排出 する方法で実施した.また, 管に生じる
ひずみを三軸ひずみゲージを 用いて測定することにより, 管の挙動を主ひずみで評価し た.その結果,地盤
流出により縦断方向の沈下と 横断方向の変形が発生し,管 上部の主ひずみの方向が変化 するとともに,その
大きさも増大することが明ら かとなった.また,その主ひ ずみの増大は,現場での破損 箇所と同様に,特に
管受け口の上部で顕著に確認された.

第 5章では,各章の結果を踏まえ た結論を述べるとともに,今 後の課題として,数値解析に よるさらなる
分析と,実現場への展開について述べた.
上記の通り,本研究は,一連 の模型実験を通じて,農業用 管路周辺地盤の不均一化がた わみ性管の力学挙
動に与える影響について明ら かにするとともに,対策工法 の提案および効果検証を行っ ており,それらの成
果は,将来のたわみ性管の設 計手法合理化に対して,重要 な知見を得たものとして価値 ある集積であると認
める.よって,学位申請者 園田悠介は,博士(農学)の 学位を得る資格があるものと 認める.

この論文で使われている画像

参考文献

101

centrifuged models. Journal of Japan society of civil engineering, 1986(376), Ⅲ-6, 171180. https://doi.org/10.2208/jscej.1986.376_171. (in Japanese)

Tokumasu, M., Sawada, Y., Ishikawa, T., Ohta, Y. and Kawabata, T. (2020). Model experiment

for influence of sheet pile characteristics on mechanical behavior of buried flexible pipe.

Proceedings

of

the

Pipelines

2020

Conference

31-39.

https://doi.org/10.1061/9780784483213.004.

Yamaguchi, A., Mori, T., Kazama, M., Yoshida, N. (2012). Liquefaction in Tohoku district

during the 2011 off the Pacific Coast of Tohoku Earthquake. Soils and Foundations. 52(5),

811-829. https://doi.org/10.1016/j.sandf.2012.11.005.

Yamaguchi, Y. (2017). A study on maintenance situation and risk management of irrigation

pipeline. Journal of the Japanese society of irrigation, drainage and rural engineering,

85(10), 945-948. https://doi.org/10.11408/jjsidre.85.10_945. (in Japanese)

Yodogawa Research and Management Office and Naigai Engineering Co., Ltd. (2017). The

report of technical investigation of pipeline deterioration in stock management technology

advancement project (District names are not shown). (in Japanese)

Yoshimura, Y., Tohda, J., and Li, L. (1997). Experimental study on earth pressure on and

deformation of buried flexible pipes. Journal of Japan society of civil engineers,

1997(561), 245-255. https://doi.org/10.2208/jscej.1997.561_245. (in Japanese)

Vaslestad, J. and Sayd, M. S. (2018). Load reduction on buried rigid culverts, instrumented case

histories and numerical modeling, Proceedings of 5th International Conference on

Geofoam Blocks in Construction Applications, 115–128. https://doi.org/10.1007/978-3319-78981-1_10.

White, D.J., Take, A.W. and Bolton, D.M. (2003). Soil deformation measurement using particle

image velocimetry (PIV) and photogrammetry, Géotechnique, 53(7), 619-632.

https://doi.org/10.1680/geot.2003.53.7.619.

Wu, Y., You, X. and Zha, S. (2020). Mechanical behavior analysis of buried polyethylene pipe

under

land

subsidence.

Engineering

Failure

https://doi.org/10.1016/j.engfailanal.2019.104351.

Analysis,

108,

104351.

...

参考文献をもっと見る

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る