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木材の縦圧縮特性の力学的メカニズム解明

戸塚, 真里奈 東京大学 DOI:10.15083/0002006895

2023.03.24

概要





















戸塚 真里奈

本論文は、構造用木質材料における縦圧縮の力学特性についての研究をまと
めたものであり、8章からなる。
第1章 緒言 では、研究の背景と既往論文を挙げ、これまで構造用木質材料の
縦圧縮については未解明な点が多いことから、本研究では木材の縦圧縮および
CLT の面内方向圧縮について、実験に基づいて変形のメカニズムを明らかにし
剛性耐力推定手法を提案するという研究目的を述べている。
第2章では、製材の部分縦圧縮剛性・耐力における余長効果と、縦圧縮剛性・
耐力と寸法効果の影響を明らかにすることを目的として、スギ製材の試験体に
よる縦圧縮試験を実施した。その結果、部分縦圧縮の剛性と降伏耐力に余長効
果はほぼ見られなかった。また、無節製材の縦圧縮強度には寸法効果は認めら
れなかった。これらの現象は、縦圧縮では変形が集中するダメージゾーンが存
在し,変形や破壊がダメージゾーンで起きることによるものと推察される。
第3章では、ダメージゾーンの特性と加力板と接する木材の表面形状について
スギ試験体を用いて実験的に検討した。その結果、ダメージゾーンでは加力板
に近づくにつれひずみが増加していた。また、ダメージゾーンの長さは載加荷
重に係わらず同じ値であった。加力板と接する木材の表面形状は平坦化が想定
最大耐力の 7%程度までで終わり,その後の弾性域では変化しないことが明らか
となった。
第4章では、試験体寸法と突付仕様を変数としたスプルース,スギ,ヒノキの
集成材(節あり)についての縦圧縮試験を実施し、縦圧縮特性(特にダメージ
ゾーンの特性に着目)を検討し、以下の観察結果が得られた。無節の製材試験
体とは異なり、節を含む集成材の縦圧縮強度では寸法効果が認められた。突付
の仕様は圧縮強度やヤング係数に寄与しなかった。ダメージゾーンの長さは試
験体高さが高くなっても変化せず一定の値であった。断面積が大きくなるほど
ダメージゾーンの長さが長くなる傾向にあった。
第5章では、4章までの考察を踏まえ、縦ヤング係数の評価法を提案した。ダ
メージゾーンの長さが断面積の増加に伴い長くなる寸法効果についてはワイブ

ル分布を使った最長要素モデルで評価した。その寸法効果パラメータは加工精
度に左右され、実験結果では機械加工 0.07~0.36,手加工 0.50 であった。また、
ダメージゾーンのヤング係数はミドルゾーンの 2%として評価した。提案式は4
章までの実験結果をうまく評価出来た。
第6章では、CLT の面内部分圧縮特性を実験により把握し,支圧幅,余長,支
圧位置,幅はぎ接着の有無が初期剛性や二次剛性,降伏応力に与える影響を検
討した。
第7章では、CLT の面内部分圧縮のヤング係数と降伏強度の理論式を提案した。
提案式は繊維直交方向圧縮下のめり込みに用いられる式を CLT に応用したもの
である。必要となる CLT の表面変形形状については FEM 解析を用いて決定し
た。また,CLT は最外層のラミナが面外方向へ変形することから最外層のラミ
ナの有効断面を 7 割とした。提案式は前章の実験値や既往実験の値を良い精度
で推定できた。
第8章は、本研究で得られた知見をまとめたものである。
以上より、本研究はこれまで未解明な点が多かった構造用木質材料の縦圧縮
の力学特性について、数多くの実験を行って力学的メカニズムを明らかにし、
理論式を提案するに至っており、これらの研究成果は、学術上応用上寄与する
ところが少なくない。よって、審査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論
文として価値あるものと認めた。

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