書き出し
The Molecular Cell Biology of KIF4 in the Brain : Analysis of KIF4 Mutation Mouse
概要
[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 万 沅松
本研究は脳神経における KIF4 の重要な役割を明らかにするため、KIF4 遺伝子変異マ
ウスを用いて、脳の高次機能に関わる in vitro 及び in vivo の解析を試みたものであり、下
記の結果を得ている。
1. 人の患者遺伝子データを参照した KIF4 遺伝子変異マウスを用いて、マウスの胎児死
亡率及び行動解析の結果、この KIF4 変異マウスが患者の表現型と合致することを発見し
た。
2. マウス海馬神経細胞初代培養を用いて、神経細胞の形態を観察したところ、変異 KIF4
は神経細胞の突起異常を誘導する働きを持つことが示された。
3. KIF4 変異による神経異常の詳細な分子機構を探求し、CO-IP、Western blot などを
行ったところ、KIF4 の結合パートナータンパク質 PARP1 の活性異常が明らかになった。
以上、本論文は KIF4 変異マウスにおいて、in vitro 及び in vivo の解析から、このモデ
ルマウスと患者表現型の合致及び新しい KIF4 による神経形態制御メカニズムを明らかに
した。本研究はこれまで未知に等しかった、脳の高次機能における KIF4 の役割の解明に
重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。