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大学・研究所にある論文を検索できる 「消化管神経内分泌腫瘍におけるO6-methylguanine DNA methyltransferase とglucose transporter 2 の発現検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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消化管神経内分泌腫瘍におけるO6-methylguanine DNA methyltransferase とglucose transporter 2 の発現検討

渡邊 裕文 東北大学

2021.03.25

概要

神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor, NET)は、新規に診断された全悪性腫瘍の約0.5%を占める比較的稀な腫瘍であるが、その発生頻度は近年増加している。また、消化管はNETの原発巣として最も頻度の高い臓器の1つである。消化管NET(Gastrointestinal NET, GI-NET)症例は、胎児期の発生学的な分類である前腸、中腸、後腸のうちでどこから発生するかに基づき分類されており、その臨床病理学的特徴も発生部位毎によって異なる。以上よりGI-NET患者の治療方針を決定する際にはNETの原発部位を考慮する必要がある。ストレプトゾシン(STZ)は、膵臓(Pancreatic Neuroendocrine tumor, PanNET)および消化管原発の神経内分泌腫瘍(Gastrointestinal neuroendocrine tumor, GI-NET)の治療に使用されるDNAアルキル化剤である。STZはglucose transporter 2(GLUT2)を介して細胞内に輸送され、O6-methylguanine DNA methyltransferase(MGMT)の発現低下は細胞内での薬剤の分解を阻害する。一方で、GI-NET症例で腫瘍細胞におけるGLUT2, MGMTの発現量および症例の組織学的悪性度との相関性に関しては未だ報告がない。

【研究対象と方法】
本研究では、前腸、後腸GI-NET症例を収集し、GLUT2とMGMTの発現を検討する。まず、GLUT2, MGMTの免疫組織化学を目視で半定量的に解析する。また、MGMTに関しては、上記の評価に加えdigital analysisを用いた画像解析によりMGMTH-scoreを算出し、定量的に解析を進める。さらに、東北大学病院で収集した症例に関しては、MGMT promoter領域のmethylationをmethylation specific PCR(MS-PCR)を用いて評価する。そして上記の解析で求めたGLUT2, MGMTの発現動態を原発部位毎、病理組織学的悪性度(Ki-67-LI、組織学的グレード)毎に比較検討する事でこれらの臨床病理学的意義を解析した。

【結果】
研究対象症例は計70例(前腸NET33例、後腸NET37例)、その内東北大学症例は35例である。全症例を検討したところ、GLUT2 score≧4および≧6に相当する症例は各々30%(21/70)、4.3%(3/70)で認められた。MGMT score≧2および≧3に相当する症例は各々77%(54/70)、56%(39/70)で認められた。一方MS-PCRで検討したMGMT promoter領域のmethylationに関しては1例も検出されなかった。
後腸NET症例では、GLUT2(GLUT2 score)およびMGMT(MGMT score, MGMTH-score)の発現は、双方共にKi-67LIと有意な逆相関の関係を示した。一方GLUT2とMGMTの発現は有意な正の相関関係を示した。これに対して前腸NET症例では、後腸NET症例で得られたようなKi-67LIとの有意な相関関係は症例全体では得られなかった。また、リンパ節転移陽性例と陰性例の間には、MGMT発現(MGMTH-scoreおよびMGMT score)に有意差が見られたが、GLUT2の発現には、有意差は認められなかった。

【結論】
GLUT2, MGMTの発現は、後腸NETでは組織学的悪性度と逆相関するが、前腸NETでは相関関係は得られなかった。前腸NETと後腸NETでは、GLUT2, MGMTの発現動態は異なる可能性が示唆された。また、GI-NETG1症例におけるMGMTの発現は、リンパ節転移の有無を予測する因子として有用である事が示唆された。

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