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大学・研究所にある論文を検索できる 「Clinicopathological and molecular characteristics of endometrial neuroendocrine carcinomas reveal preexisting endometrial carcinoma origin」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Clinicopathological and molecular characteristics of endometrial neuroendocrine carcinomas reveal preexisting endometrial carcinoma origin

小野 響子 横浜市立大学

2022.03.25

概要

1. 序論
神経内分泌腫瘍は肺や消化管を始めとする全身の諸臓器に発生する,特徴的な組織像を持つ腫瘍の一型である.子宮体部においては神経内分泌腫瘍は 2014 年に改訂された WHO Classification of Tumours of Female Reproductive Organs. 第 4 版に初めて収載され,他臓器の神経内分泌腫瘍同様の組織分類が呈示された(Zaino et al.,2014).更に 2020 年に改訂された第 5 版においても Neuroendocrine neoplasia として臓器横断的にまとめられている(Cree et al.,2020).子宮体部神経内分泌腫瘍,特に神経内分泌癌は希少癌でもあり,近年複数例をまとめた報告もみられるが(Pocrnich et al., 2016)その臨床病理学的特徴や分子病理学的特徴については不明な点も多い.本検討では,子宮体部神経内分泌癌を既知の子宮体部悪性腫瘍と比較することで,その発生起源の解明を目指すものである.

2. 実験材料と方法
神奈川県立がんセンターで 1998 年から 2014 年までの間に摘出された子宮悪性腫瘍のうちから「神経内分泌傾向が形態学的および免疫組織化学染色で認められる」と報告された 22 例を神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma; NEC)群とした.対照群は同時期に摘出された子宮悪性腫瘍の中から,p-TNM stage がNEC 群の各症例とほぼ同じ症例を無作為に選択した.組織型に関しては NEC 群の非 NEC 成分に準ずることとし,22 例の対照群を設定した.これらの 44 例に対し,臨床病理学的事項について情報収集し,また組織学的,免疫組織化学染色的特徴,および next‑generation sequencer の一つである,Ion Personal Genome MachinenTM (Ion PGM)システム(Thermo Fisher Scientific, Inc.)を使用し,50 のがん関連遺伝子で構成された Cancer Hotspot Panel v2に対して NGS による遺伝子解析を行った.加えて,混合型 NEC のうち 6 例ではNEC成分と非 NEC 成分を分離し NGS で解析することで同一症例内での遺伝子変異の差異についても検索した.更にこれらの因子に関して統計学的解析を行い,NEC 群と対照群の違いを検討し,また予後についての検討を行った.

3. 結果
NEC 群のうち 21/22 例が他の組織型とNEC 成分との混合型であり,このうち 15 例は非 NEC 成分が類内膜腺癌であった.一部の混合型 NEC においては類内膜腺癌様の腺癌成分から小細胞癌成分への移行を示すような組織像が得られ免疫組織化学染色の結果もこれを支持した.壊死,分裂像,Ki-67,クロモグラニン A,シナプトフィジン, CD56,INSM1 の陽性率が統計学的に NEC 群に有意に多くみられ,一方,対照群は NEC 群に比して有意に ER,PgR の標識率が高くみられた.また免疫組織化学染色では NEC 症例の非 NEC 成分にも神経内分泌マーカーの陽性所見を認める症例や対照群において形態的には通常型の類内膜腺癌,Grade 1 であるにもかかわらず 70%程度にクロモグラニン A が陽性になる症例が見いだされた.遺伝子解析では NEC 群に PIK3CA,TP53,PTEN の遺伝子変異が多くみられた.対照群との比較では PIK3CAが有意傾向を持って多い以外は大きな違いは見られなかった.また同一症例内で NEC成分と非 NEC 成分の遺伝子変異を比較したところ,大部分の遺伝子変異が共通していることが示された.予後に関する統計学的解析では Overall survival,Disease-free survival でも有意差は明らかではなかった.

4. 考察
本検討におけるNEC 群は大部分が非NEC 成分を含む混合癌であった.NEC 群と対照群の遺伝子変異を比較したところ統計学的有意差はなく,子宮体部 NEC は既知の子宮体部悪性腫瘍,特に類内膜腺癌に近い遺伝子プロファイルを持つものと考えられた.更に同一症例内のNEC 成分と非NEC 成分の遺伝子変異にも共通するものがみられた.形態学的な既知の腺癌成分と NEC 成分の移行像を示すような症例の存在に加え,これらの分子病理学的特徴から子宮体部 NEC は古典的な子宮体癌,特に類内膜腺癌から発生する可能性が示唆される.組織学的には類内膜腺癌 G1 でありながら神経内分泌マーカーを発現する症例も本検討で得られており,今後,子宮体癌における神経内分泌形質獲得の過程を更に検討することで,子宮体部 NEC の本態の解明に近付くと考えられる.
NEC は種々の臓器で一般に予後不良であるとされており,子宮体部 NEC においても同様ではないかと考えられていたが(Zaino et al.,2014),本検討では Overall survival, Disease-free survival のいずれにおいても既知の子宮体部悪性腫瘍と有意差が得られていない.この事実は子宮体部神経内分泌腫瘍が既知の子宮体部悪性腫瘍を由来としていることと関係がある可能性があり,今後子宮体部悪性腫瘍における神経内分泌傾向の発現の臨床病理学的意義についてさらなる検討が必要であると考える.

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参考文献

Metastatic large cell neuroendocrine carcinoma of the lung arising from the uterus: A pitfall in lung cancer diagnosis. Ono, K., Yokota, N.R., Yoshioka, E., Noguchi, A., Washimi, K., Kawachi, K., Miyagi, Y., Kato, H., Yokose, T.: Pathology, Research and Practice Vol. 212, No. 7, Page 654-657, 2016

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