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大学・研究所にある論文を検索できる 「リスク因子別にみた表在型食道扁平上皮癌のゲノム変化の特徴」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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リスク因子別にみた表在型食道扁平上皮癌のゲノム変化の特徴

小野里 祐介 山形大学

2021.03.31

概要

【背景】食道扁平上皮癌(ESCC)の危険因子として男性や飲酒、喫煙が知られているが、飲酒や喫煙歴のない女性でもESCCの発症がみられる。このようなリスクのないESCCの発育進展に関わる機序は十分に解明されていない。そこでリスク因子別に表在型ESCCのゲノム変化の特徴を検討した。

【方法】2009年2月から2019年8月の間に山形大学医学部附属病院で内視鏡的切除を受けた異型上皮(ESCN)を含む表在型ESCC患者連続150人(159例)を対象とした。飲酒および喫煙歴のない女性13例に年齢を合わせ、飲酒や喫煙歴のある男性27例と飲酒や喫煙歴がある女性13例を抽出し、切除標本のパラフィン包埋組織片から腫瘍部と非腫瘍部上皮をレーザーマイクロダイセクションにて分けて切り出し、DNAを抽出、癌関連409遺伝子のバリアントを次世代シーケンサーIonS5にて同定した。同義型バリアントやExAC及び1000genomeで頻度0.1%以上、in-houseの健常人(n=176)データで頻度1%以上のバリアントを除外し、腫瘍部と非腫瘍部の体細胞バリアントをリスク因子別に比較した。また変化のみられた遺伝子がコードする蛋白の発現を免疫組織化学染色にて解析した。

【結果】飲酒・喫煙歴は、男性(n=117)では全例に認めたが、女性(n=33)では15例(45%)に飲酒歴、喫煙歴を認めなかった(p<0.01)。飲酒、喫煙歴のない女性をFemale Low-risk(FL)群、飲酒もしくは喫煙歴のある女性をFemale High-risk(FH)群、男性をMale High-risk(MH)群として臨床背景の比較を行った。飲酒、喫煙歴が不明であった2例は除外した。FL群の年齢は中央値76歳(IQR65~78)、FH群は74歳(IQR65~78)、MH群は71歳(IQR65~76)であり、3群間で差は認めなかった(p=0.42)。MHおよびFH群と比し、FL群では、非腫瘍部でのCDKN2A遺伝子のバリアント頻度が有意に高かった(p<0.001)。腫瘍部では、FL群とFH群ないしMH群どちらとも差がある遺伝子バリアントはなかった。CDKN2A遺伝子がコードするp16INK4aの切除標本中の発現レベルはリスクの有無で差はなかったが、p14ARFの切除標本中の発現レベルはMHおよびFH群と比し、FL群では腫瘍部、非腫瘍部ともに陽性率が有意に高かった(p=0.04)。

【結論】本研究では飲酒や喫煙歴のない女性では非腫瘍部でCDKN2A遺伝子のバリアント数が多く、腫瘍部、非腫瘍部ともにp14AFRの発現レベルが高いことを見出した。既知のリスク因子を持たない表在型ESCCに特徴的な発癌経路が存在し、CDKN2A遺伝子の変化が重要な要因と考えられた。

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