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自然・超自然系材料から成る低姿勢アンテナの実現

阿部 智希 法政大学 DOI:info:doi/10.15002/00025232

2022.06.21

概要

情報通信社会の高度化に伴い, 高速, 高性能で, 高い信頼性を有する無線通信を実現するために, アンテナの研究はより重要なものとなっている. 喫緊の課題の一つに, 低姿勢化が挙げられる. アンテナの低姿勢化は, 無線通信機器全体の小型化・軽量化および移動体の空気抵抗削減などに貢献し, アンテナの応用範囲を拡大する. しかしながら, 一般に, アンテナの低姿勢化はアンテナ特性(特に, 入力インピーダンス)の悪化を招く. このことを解決するために, メアンダ構造体, 誘電体, 磁性体, 電波吸収体の使用等, これまでに幾つかの検討が行われてきている. これらの低姿勢化技術は, アンテナアーム上を流れる電流の伝搬位相定数が正であるものに対して行われている. このようなアンテナは自然系アンテナと定義される.

低姿勢構造を有する自然系アンテナに加え, 近年, 超自然系材料(メタマテリアル)を使用した低姿勢アンテナが注目を集めている. メタマテリアルは, 波長に対し小さい素子を周期的に配列することによって構成される. このメタマテリアル構造は, 自然界に存在する材料(自然系材料)では成し得ない特性を実現し得る.

右左手系複合伝送線路(CRLH-TL)は, メタマテリアルから成るアンテナの一つである.約 0.01 波長の超低姿勢構造を有するCRLH-TL は, 遷移周波数より低い周波数帯域において負の伝搬位相定数を, 高い周波数帯域において正の伝搬位相定数を実現する. これまでに, CRLH-TL の放射概念を利用したラインアンテナ, ループアンテナ, スパイラルアンテナ等が検討されている.

こうした背景のもとに,本論文では,低姿勢アンテナの高性能化(広帯域化, 複数帯域動作, 高利得化, 円偏波放射, ビーム走査等)について研究成果を述べている.本論文は 6 章で構成されており,各章の概要は次の通りである.

第 1 章では,自然・超自然系材料から成る低姿勢アンテナに注目が集まっている現状を踏まえ,低姿勢アンテナの高性能化(広帯域化, 複数帯域動作, 高利得化, 円偏波放射, ビーム走査等)が, 次世代の無線通信システムを構築するための課題となっていることを述べている. 本研究で自然・超自然系材料から成る新しい低姿勢アンテナを考案する位置づけと目的を明示している.

第 2 章では, 回転対称体(BOR)素子およびメアンダ状寄生素子から成る低姿勢・小形・超広帯域アンテナを対象としている. このアンテナは, 従来アンテナより小さなアンテナ体積をもって, 他のアンテナを超える約 179%の超広帯域特性を有するように検討されている. 本章では, はじめに, BOR 素子の周囲に 4 つの直線状寄生素子を配置し, 低周波数領域におけるインピーダンスを改善している. 次に, 直線状寄生素子を屈曲することにより,上部面積の縮小化を行っている. 最後に, 低周波数領域におけるインピーダンスのさらなる改善のために, 屈曲した寄生素子にメアンダ構造を導入している. このとき, VSWR が 2 以下となる下限周波数 2.78 GHz におけるアンテナ高は約 0.09 波長と低姿勢になっている.

第 3 章では, 第 2 章において用いた BOR 素子にマッシュルーム形寄生素子を付加した低姿勢・高利得・広帯域ビーム走査アンテナを検討している. はじめに, BOR 素子の周囲にマッシュルーム形寄生素子を円形に配列している. これにより, 寄生素子の接地板に対する状態(開放または短絡)を制御し, 方位面内におけるビーム走査を達成している. 次に, 利得の広帯域化を目的とし, 寄生素子の配列を二列にしている. 最後に, アンテナを試作し,検討結果の妥当性を実験により確認している. このアンテナは, 方位面内において, 10 dBi以上の高利得指向性ビームを, 従来よりも広い帯域(45%)にわたって走査できる, という特長を有する.

第 4 章では, 低姿勢二線アルキメデススパイラルアンテナを使用した円偏波ビーム走査に成功している. 本章では, はじめに, 円偏波軸ビームおよびコニカルビームの放射電界強度および位相分布を明らかにしている. その後, 軸ビームとコニカルビームとを重畳することによって, チルトビームを形成している. このチルトビームは, 二つのアームに印加する給電電圧比の変化に伴い, 方位面内を移動する. 給電電圧比からチルトビームの最大放射方向を推定する簡易な方程式をも導出している. 以上により, このアンテナは,従来 4 以上の給電点が必要であった円偏波ビーム走査を,2 つの給電点によって可能ならしめている.

第 5 章では, 低姿勢複合メタマテリアルループから成る円偏波ビーム走査アンテナを開 発している. このアンテナは, 従来単一の周波数帯域においてのみ達成されていた円偏波ビーム走査を二つの周波数帯域において達成している. 本章では, はじめに, 二種類のメタアトム(C-type メタアトムおよび N-type メタアトム)から成るMetaLPA-axial を検討し, 二つの設計周波数において, MetaLPA-axial が反円偏波軸ビームを放射することを明らかにしている. 次に, C-type メタアトムから成る円周約二導波波長MetaLPA-conical を検討し, 二つの設計周波数において, MetaLPA-conical が反円偏波コニカルビームを放射することを明らかにしている. 最後に, MetaLPA-axial の外側に MetaLPA-conical を同心状に配列した MetaLPA-plus を考察している. 二つのメタループアンテナを同時に励振することによって,反円偏波チルトビームを形成している. このチルトビームは, 給電位相の変化に伴い, 方位面内を移動することを実証している.

第 6 章では,本研究で得られた成果を要約している.

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参考文献

[1] H. Zhou, A. Pal, A. Mehta, D. Mirshekar-Syahkal, and H. Nakano, “A four-arm circularly polarized high-gain high-tilt beam curl antenna for beam steering applications,” IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters, vol. 17, no. 6. pp. 1034-1038, June 2018.

[2] H. Nakano, T. Abe, and J. Yamauchi, “Planar reconfigurable antennas using circularly polarized metalines,” IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters, vol. 18, no. 5, pp. 1006-1010, May 2019.

[3] C. Deng, Y. Li, Z. Zhang, and Z. Feng, “A hemispherical 3-D null steering antenna for circular polarization,” IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters, vol. 14, pp. 803-806, 2015.

[4] N. R. Labadie, S. K. Sharma, and G. M. Rebeiz, “A circularly polarized multiple radiating mode microstrip antenna for satellite receive applications,” IEEE Transactions on Antennas and Propagation, vol. 62, no. 7, pp. 3490-3500, July 2014.

[5] H. Nakano, T. Abe, T. Kawano, A. Mehta, and J. Yamauchi, “Azimuth angle estimation for a reduced radiation region formed by a metaspiral antenna,” IEEE Access, vol. 7, pp. 78289-78297, June 2019.

[6] M. Barbuto, A. Alu, F. Bilotti, and A. Toscano, “Dual-circularly polarized topological patch antenna with pattern diversity,” IEEE Access, vol. 9, pp. 48769-48776, March 2021.

[7] L. Ge, M. Li, Y. Li, H. Wong, and K.-M. Luk, “Linearly polarized and circularly polarized wideband dipole antennas with reconfigurable beam direction,” IEEE Transactions on Antennas and Propagation, vol. 66, no. 4, pp. 1747-1755, April 2018.

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