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大学・研究所にある論文を検索できる 「磁気嵐・サブストーム時の電磁エネルギー生成・伝送メカニズムの研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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磁気嵐・サブストーム時の電磁エネルギー生成・伝送メカニズムの研究

菊池, 崇 海老原, 祐輔 田中, 高史 藤田, 茂 橋本, 久美子 京都大学

2022.03

概要

研究目的と成果 (Research Objective and accomplishments):
磁気嵐・サブストームは、磁気圏と電離圏が沿磁力線電流と電離圏電流によりエネルギーを交換する複合系(相互作用系)の太陽風に対する応答である (Tanaka 他, 2010JGR)。磁気圏ダイナモで創られる電磁エネルギーは、沿磁力線電流を流す一対の磁力線を伝送線(MI 伝送線として極域電離圏へ伝送され、さらに電離圏 ) E 層と地面で構成される地面電離圏伝送線(IG 伝送線を経由して中低緯度へ伝送される ) (Kikuchi,2014)。この過程において、固体地球表面に電流を流す結果、地表面の電位差が電力送電系の変圧器中性線を通じて送電線中に準直流の地磁気誘導電流(GIC) を流す(Kikuchi et al., 2021b)。

IG伝送線を流れる電流を輸送するTM0/TEM モード波の1個の波動が輸送する電流量は、波動インピーダンスに依存する小さい量である。しかし、有限長伝送線中を波動が往復伝搬することにより、数秒から 20 秒程度の時定数をもって成長する(Kikuchi,2014)。これは、赤道で観測される磁気インパルス(PI)のピークが 20 秒程度遅れる現象を説明する(Takahashi,Kikuchi et al., 2015) TM0/TEM mode が輸送する電流は、電離圏 Pedersen 電流である。このため、中緯度から赤道の Pedersen-Cowling 電流回路は、電磁エネルギーの輸送路であると同時に、消費する負荷でもある。 IG 伝送線は不完全導体で構成される伝送線(lossy transmission line) として扱われる。

電流に伴う磁場は、地上の磁力計網で観測されるが、原因となる電流には、磁気圏境界電流、環電流、沿磁力線電流、電離圏 Hall 電流、電離圏 Pedersen 電流、地面電流など多様である。この結果、地上で観測される磁場変動は、緯度、地方時により大きく異なる。しかし、これを逆に利用することにより、原因となる電流を特定し、それを流すエネルギー回路を特定することが可能である。電離圏で観測される電場もこの電流回路で伝送されるため、電流同路はエネルギー伝送路でもある。電流回路を特定するために、電場・磁場データ解析と理論・シミュレーションの両面から解析を進める。

これまで、磁気急始(SC) について、電流回路の特定をおこなった。 2021 年月5 12日に発生した SC の地方時、緯度特性を南北両半球について解析し、高緯度 SC の原因となるHall電流も含めて、その電流回路を特定した (Kikuchi et al., 2022, submitted)。図上段は、北半球中緯度の午前 1 (AM) と午後 (PM)で観測された SC の X, Y成分を示し、図 1 下段は、南半球の SC を示す。 X 成分は、北半球と南半球で対称的であるが (HER を除く、午前と午後は、 ) SC(+ -) SC(- +) と非対称である。一方、 Y 成分は、両半球共に午前と午後で非対称となり、また、南北両半球間で非対称である。このような強い AM-PM 対称・非対称と、南北両半球の対称・非対称の原因となる電流回路を図 2 (右)に示す。 X 成分が Hall 電流、成分が Y Pedersen 電流に因るとすることで理解される。 Pedersen 電流は TM0/TEM モードにより赤道へ輸送され、昼間赤道でCowling 電流を流し、 Pedersen-Cowling 電流回路が形成される。この結果、赤道では、図 2 (左)に示すように SC(- +) となる。

図に、3 REPPU シミュレーションモデルで再現した SC の昼間中緯度電離圏電場(図上段) と赤道 SC(- +)を示す(図下段)。赤道電離圏で再現された Cowling 電流が図 2の赤道 SC(- +) の原因である。 Cowling 電流が伝搬する途中の中緯度電離圏にはPedersen 電流と共に、電流と相似形の電場が伝搬する。この電場は HF Doppler サウ上に示したように、グローバル磁場、中緯度電離圏電場が図 2 右の Hall 電流回路とPedersen-Cowling 電流回路により理解され、これが REPPU シミュレーションで再現された。Pedersen-Cowling 電流回路を可能にする地球電離圏導波管/伝送線モデルの模式図を図 3 に示す(Kikuchi et al., 2021a)。

SC により発生する磁気圏電離圏電流回路は、時間スケールの長いサブストームや磁気嵐において発生する電流回路と類似している。電流と電場を輸送する導波管伝送線 /モデルを応用することが可能である。これらを AGU book(2021) と極地研究所オーロラ物理学シリーズ③としてまとめた。

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