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大学・研究所にある論文を検索できる 「肝細胞と膵島の共移植による肝細胞グラフト生着促進効果に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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肝細胞と膵島の共移植による肝細胞グラフト生着促進効果に関する検討

齋藤 純健 東北大学

2020.03.25

概要

【研究背景】
肝細胞移植において、移植後肝細胞グラフトの生着率が極めて低いことは大きな問題となっている。肝細胞移植が代謝性肝疾患の標準治療となるには、移植肝細胞の生着率を向上させるプロトコールの確立が必須である。そこで本研究では、オートクライン作用を有する膵島に着目した。肝細胞と膵島を共移植することで、移植膵島は自身の生着を促進するだけでなく、パラクライン作用によって膵島近傍の移植肝細胞の生着も促進させる可能性があるという仮説を立て、検証を行った。膵島の共移植による肝細胞グラフトの生着促進効果の検証には、無アルブミン血症ラットを用いたIn vivo モデルを使用し、その機序の検証には肝細胞と膵島を共培養する in vitro モデルを構築し活用した。

【研究方法】
肝細胞、膵島のドナーとして F344 ラットを使用した。In vivo モデルではレシピエントに無アルブミン血症ラットを用い、血清アルブミン値を測定することで肝細胞の生着効果を評価した。レシピエントの腎被膜下に肝細胞と膵島を共移植し(CoTx 群)、肝細胞のみを移植した群(HTx 群)、膵島を対側腎被膜下へ移植した群(Sepatare-CoTx 群)と比較し、膵島が肝細胞へ及ぼすグラフト生着促進効果を検証した。In vitro では In vivo を模倣した肝細胞と膵島の共培養モデルを構築し、膵島が肝細胞へ及ぼす影響のみならず、共培養上清 の効果に関しても検討を行った。その上で、共培養上清に含まれる肝細胞機能を向上させる候補因子を抽出し、それらに対する阻害試験を実施することにより、各因子の寄与度を検証した。

【結果】
In vivo モデルでは、CoTx 群の血清アルブミン値が HTx 群に比し有意に高値を示した(P=0.001)。片側腎に共移植した Hemi-CoTx 群の血清アルブミン値は、Separate-CoTx 群と比して有意に高値を示した(P< 0.001)。In vitro では、肝細胞と膵島を共培養した群(Co-culture 群)と肝細胞のみを培養した群(Hepatocyte群)の DNA 定量がほぼ同等である条件下において、アンモニア除去試験、MTT assay、培地アルブミン濃度のいずれもCo-culture 群が有意に高値を示し、構築したモデルの有用性が確認された。このモデルを活用することにより、膵島単独の培養上清と異なり、肝細胞と膵島の共培養上清は膵島の共移植と同等の効果を発揮するが、エクソソームの関与は限定的であることが明らかとなった。共培養上清中の肝細胞機能を向上させる候補因子として insulin, VEGF, GLP-1 が選出されたが、阻害試験で阻害傾向が確認されたのはインスリンのみであった。

【結論】
膵島の共移植が肝細胞グラフトの生着を促進する効果を、定量的に実証することができた。その機序としては、肝細胞と膵島の相互作用によりインスリンを中心とする膵島由来の複数の分泌タンパクが活性化し、それらが近接する肝細胞に持続的に供与されることが主要因と考えられた。また、膵島周囲に付着した肝細胞グラフトが膵島に伴いより血流が豊富な腎実質内へ配置されたことも要因の一つと考えられ、これらの要因が相乗的に共移植効果として発揮された可能性が示唆された。

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