リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「L-オルニチンによるストレス制御および副産物からのL-オルニチンの新規製造方法に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

L-オルニチンによるストレス制御および副産物からのL-オルニチンの新規製造方法に関する研究

倉田, 幸治 KURATA, Koji クラタ, コウジ 九州大学

2021.03.24

概要

近年、畜産現場では生産性と動物福祉の観点から、ストレスの制御がますます重要な課題となり、その改善策が求められている。そこで、ストレス抑制効果が報告されているL-オルニチンに着目し研究を行った。具体的には、1)L-オルニチンの作用機序を解明するため、ニワトリヒナ脳室への投与試験を実施した。2)実用化を考慮し、L-オルニチンの経口投与におけるストレス軽減効果の確認および作用機序についてマウスを用いて調査した。3)飼料原料として活用するため、未利用資源(カット野菜工場から発生する野菜の端材等)を用いた安価で安全なL-オルニチンの製造方法について検討した。

 まず、ニワトリヒナを用いた試験では、ストレス反応の起点となる神経ペプチドのCorticotropin-releasing factor(CRF)によりストレス反応を誘起し実験を行った。ニワトリヒナには、CRFに加え、単離することでより強いストレス行動が観察できた。このストレス行動はL-オルニチンを同時に投与することで減少し、L-オルニチンの強力なストレス軽減効果を確認することができた。一方で、L-オルニチンに加えてGABAA受容体のアンタゴニストであるピクロトキシンを同時投与すると、L-オルニチンによるストレス軽減効果が消失し、CRF単独投与と同程度のストレス行動が確認された。この結果より、L-オルニチンによるストレス制御はGABAA受容体を介していることが明らかとなった。

 続いて、経口投与によるストレス軽減効果について調査を行った。蒸留水に溶解したL-オルニチンをICRマウスに強制単回経口投与したところ、L-オルニチンは血液脳関門を通過し、投与30–60分後に脳内(海馬および大脳皮質)で有意に増加した。そこで、L-オルニチン投与30分後に高架式十字迷路試験を行い、L-オルニチンの経口投与における抗不安効果を確認した。また、投与30–60分後にかけて拘束ストレスを負荷する試験では、L-オルニチン投与によりストレスの指標である血漿コルチコステロン濃度が有意に減少した。このことから、経口投与したL-オルニチンの抗不安効果は、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸を介していることが示唆された。

 さらに、畜産現場の実情を考慮し、L-オルニチンをより安価で安全な飼料原料とするため、未利用資源(カット野菜工場から発生する野菜未利用部)から効率的にL-オルニチンを産生する方法を検討した。カット野菜は近年急速に需要が高まっているが、芯や外葉といったカット野菜に不適な部位が産業廃棄物として処分され、社会問題となっている。一方で、キャベツの芯や外葉には、L-オルニチンの基質であるL-アルギニンが豊富に含まれており、安全性の高い微生物で代謝することで、特別な精製工程を経ず、L-オルニチン高含有の抗ストレス飼料として活用できると考え研究を行った。その結果、キャベツの芯や外葉を滅菌し、Pediococcus pentosaceus、プロテアーゼ(SUMITEAM-FP)および卵殻紛を同時に添加することで、非常に効率的にL-オルニチンが産生されることが確認できた。

 本研究により、L-オルニチンはGABAA受容体を介してストレス軽減効果をもたらしていることが明らかとなり、経口投与においても同様の抗不安効果が確認できた。また、未利用資源からL-オルニチンを効率的に産生する手法を確立し、抗ストレス飼料として畜産現場へ応用できる可能性を示すことができた。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る