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大学・研究所にある論文を検索できる 「Phylogeny and divergence time estimation of Piperales」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Phylogeny and divergence time estimation of Piperales

Kobayashi, Yukihiro 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24079

2022.05.23

概要

序論
コショウ目は基部被子植物の一群であるモクレン類の植物で、3 科(ウマノスズクサ科、ドクダミ科、コショウ科) 3000 - 4000 種からなり、ウマノスズクサ科は7属約600 種、ドクダミ科は4属6 種、コショウ科は5属約 3 6 0 0 種を含む( W a n k eら( 2 0 0 7 ) 、 J a r a m i l l oら( 2008 )、Frenzkeら( 2015 ))。コショウ目は全世界に広く分布し、生態的•形態的に極めて多様である。熱帯多雨林、温帯林、湿地、乾燥地など様々な環境に存在し、木本•つる植物•草本•寄生植物を含む( Tsengら( 1999)、Wankeら( 2007)、Frenzkeら( 2015))。また、花は直径30 cmを超えるもの( Aristolochiaの数種)から2 mmに満たないもの( Peperomia)まで存在する( Wankeら( 2007 )、Frenzkeら( 2015 ))。コショウ目には500 種以上の種を含む巨大な属が3つ(サダソウ属、コショウ属、ウマノスズクサ属)存在するが、これらの属がこれほど多くの種に多様化した過程は明らかにされていない。
コショウ目の分類を整理し、その起源や多様化•分布拡大の過程を解明するには、信頼性の高い分子系統樹の構築や分岐年代推定が不可欠である。コショウ目やコショウ目内の特定の分類群に焦点を当てた研究の多くでは、属間や亜属間の系統関係は高い解像度で解明されているが、種レベルの系統関係、特にコショウ属やサダソウ属の内部の系統関係については不明瞭な点が多い(Frenzkeら( 2015)、Jaramilloら( 2008)、Martinezら( 2015)、Samainら(2009)、Smithら(2008)、Wankeら(2006)、Wankeら(2007)) 〇 Limら(2019)はサダソウ属について高解像度の系統樹を得ているが、アジアの大陸に産する種は解析に含まれていない。また、コショウ目の分岐年代推定については、Smithら(2008)、Martinezら(2015)、Limら(2019)が解析を行っているが、コショウ目の化石記録は少なく、最も多くの化石データを使用しているLimら(2019)でも化石数は11であるという問題があった。
本研究では、コショウ目の起源や分布拡大の過程を解明して、本目の多様性理解と分類の整理を進めるため、まず、多くの化石情報を用いて、信頼性の高い分岐年代推定を行い、コショウ目の大半を占める3つの属(サダソウ属、コショウ属、ウマノスズクサ属)が新世界と旧世界の間でどのように分布を拡大したかを推定する事を目的とした( 第一章)。そして、巨大な3属の一つであるサダソウ属、特に最大のMi c r o p i p e r亜属( 約7 0 0 種を含む)について葉緑体領域に基づく分子系統樹を構築し、種レベルの系統関係を解明することを目的とした( 第二章) 。さらに、第二章で得られた系統関係を検証するため、核I T S 領域に基づくサダソウ属Micropiper亜属の分子系統樹を構築した(第三章)。


材料•方法
第 一 章では、モクレン類 1 7 9 種 (うちコショウ目 1 4 1 種 )の葉 緑体a t p B - rbcL、rpsl6> rpll6> trnK、trnL-trnL-F 領域の配列(36 種の配列を決定、143 種はGenBankから引用)と化石データ44個(うちコショウ目9個)に基づき、fossilized birth- death modelを使用して分岐年代推定を行った。 第二章では、コショウ科サダソウ属2 4 種 3 6個体の葉緑体atpB-rbcL、psbKI、rpll6、rpsl6、trnG、trnK、trnL-L-F, trnS-G 領域の配列を決定した。これに加えて53 種のtrn K領域の配列と2 種のtrn L- L- F領域の配列をGen Bankから引用して最尤法とベイズ法で分子系統樹を構築した。また、染色体数や葉の二型性など計8種類の形態形質の観察を行った。第三章では、コショウ科サダソウ属16 種30個体の核ITS領域を決定し、最尤法で分子系統樹を構築して得られた系統関係を葉緑体領域に基づく系統関係と比較した。

結果•考察
第一章では、多数の化石に基づきfossilized birth-death modelを使用して解析を行った結果、従来よりも信頼性が高いと考えられる分岐年代推定が可能となった。コショウ目の3 科(ウマノスズクサ科、コショウ科、ドクダミ科)はいずれも白亜期に起源したと考えられた。巨大な3属(サダソウ属、コショウ属、ウマノスズクサ属)の起源はいずれも白亜期後期と推定された。多くの枝の推定年代は先行研究と大きくは異ならなかったが、ドクダミ科については今回の研究で大きく古い年代が推定された。ウマノスズクサ属は新旧大陸間を頻繁に移動してきた一方で、コショウ属•サダソウ属の移動は稀な現象であると考えられた。サダソウ属の移動経路は、先行研究と同様に鳥による長距離分散であると考えられたが、コショウ属については、移動の時期や化石記録の位置から、ベーリング地域経由で分布を拡大した可能性も考えられた。
第二章では、サダソウ属Micropiper亜属の葉緑体領域に基づく系統関係から、Micropiper亜属内に7つのクレードが認識され、これらは形態形質によって識別可能であった。これらは節相当の分類群と考えられたが、Micropiper亜属約700種と比較して今回解析した種数は非常に少ないことから、正式な分類群として扱うことを見送り、 7クレードの名称をAlatoid、Blandoid、Glabelloid, Glaucoid、Japonicoid, Lanceolatoid、Rotundifolioidとした。本研究で得られた系統関係に基づき、これまで分類上の扱いが確定していなかったオキナワスナゴショウをサダソウの変種とした。また、染色体観察の結果から、サダソウ属に12倍体(2n=132)の種が存在することが明らかになった。
第三章では、サダソウ属Micropiper亜属の葉緑体領域に基づく系統関係と核ITS領域に基づ'く系統関係には2つの大きな不一致が見られた。系統樹の枝長からこれらの不一致は交雑によって引き起こされたと考えられた。葉緑体領域で認識された7つのクレードのうち、 Alatoidx Blandoid> Glabelloid> Glaucoid, Japonicoidについて比較したところ、Blandoid以外の4つのクレードは核ITS領域に基づく系統樹でも認識され、これら4つのクレードを節相当の分類群として認識することの妥当性が確かめられた。

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