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大学・研究所にある論文を検索できる 「潮間帯性ナギサハネカクシ属Bryothinusa (コウチュウ目:ハネカクシ科:ヒゲブトハネカクシ亜科)の日本産種の分類学的再検討)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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潮間帯性ナギサハネカクシ属Bryothinusa (コウチュウ目:ハネカクシ科:ヒゲブトハネカクシ亜科)の日本産種の分類学的再検討)

劉, 沺沺 TIANTIAN, LIU リュウ, テンテン 九州大学

2021.03.24

概要

ハネカクシ科Staphylinidaeはコウチュウ目の仲間で、世界から約63,000種が知られる動物界最大の科として知られている。その中で、ヒゲブトハネカクシ亜科Aleocharinaeは形態的、生態的に極めて多様な分類群である。ナギサハネカクシ属Bryothinusaのすべての種は最も過酷な環境の一つである潮間帯に生息し、太平洋沿岸とインド洋沿岸から知られている。本属は極地を除く全世界で31種が知られており、そのうち日本からは6種が記録されているが、分類学的研究は十分に行われていない。多くの種は、ヨコエビなどの節足動物を捕食する。本属の成虫は体表を密に覆う細毛を持ち、その間隙に保持した空気を使ってプラストロン呼吸を行うことで知られ、潮間帯に生息するのに適した特殊な生態が知られている。

 ヒゲブトハネカクシ亜科はコウチュウ目の中で最も多様性解明の遅れた分類群の一つである。その背景には族や亜族といった高次分類体系の混乱があげられる。系統関係を調べるのに必要な形態情報に乏しく、総合的で緻密な研究が必要とされている。ヒゲブトハネカクシ亜科の高次系統を検討するにあたり、本属のような形態的の特殊化した潮間帯性ハネカクシの分類学的研究を行うことは重要である。また日本では自然海岸が失われつつあり、潮間帯性ハネカクシが人知れず減少しつつあると考えられている。そのため、それらの種多様性を保全するために早急な多様性解明を必要としている。そこで、本研究では、日本産本属の種多様性を解明するとともに、系統解析を行って後翅の消失など各種の形態の分化と分布との関係を明らかにすることを目的として分類学的再検討を行った。

 研究材料は、日本各地における野外調査で採集した標本と九州大学総合研究博物館の標本を利用した。ヒゲブトハネカクシ亜科は近縁種間で外見が酷似するため、成虫を解剖して口器形態や生殖器も詳細に観察する必要がある。そのため、口器や生殖器は、10%KOHで処理し透過光観察に適したスライドを作成し、観察した。さらに、得られた21種(本属の日本産17種、アジア産2種、外群としてミギワハネカクシ属Myllaenaから2未記載種)において、上唇の前側部の太い剛毛の有無やオス交尾器における粒状突起の有無などをはじめとする特有形質をもとに、TNTを用いて最節約法による系統解析を行った。

 その結果、日本産本属は6既知種、1日本新記録種、10新種の合計17種で構成されることが明らかになった。また、標本の分布情報から本研究の種は、主に日本の関東以南に分布していることも判明した。また、ナギサハネカクシ属の形態学的な研究の延長として、近縁属であるミギワハネカクシ属から2未記載種を記載した。さらに、File Maker Proを用いて、日本産ナギサハネカクシ属の検索表と分布図、世界のナギサハネカクシ属全31種と10未記載種を含む、合計41種のデータベースとカタログを作成した。

 形態に基づく系統解析から、本属は2つの大きなクレードA,Bに分かれ、クレードAに後翅が消失した種のサブクレードが認められた。一方、クレードBに後翅が短いサブクレードが認められた。つまり後翅の消失は属内で1度だけ生じた可能性が示唆された。一般的に、翅の消失は個体の移動を制限するとされているが、後翅が消失した6種は日本の広い範囲に分布していた。本研究の結果から、ナギサハネカクシ属では、後翅の発達度合と分布域は関連が弱く、翅の消失した種は海流によって拡散している可能性があると考えられた。

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