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大学・研究所にある論文を検索できる 「Automatic Segmentation of Pancreatic Tumors Using Deep Learning on a Video Image of Contrast-Enhanced Endoscopic Ultrasound」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Automatic Segmentation of Pancreatic Tumors Using Deep Learning on a Video Image of Contrast-Enhanced Endoscopic Ultrasound

岩佐, 悠平 岐阜大学

2021.11.17

概要

【緒言】
 膵腫瘍の診断には精度の高い画像検査が重要である。造影超音波内視鏡検査(CE-EUS:contrast-enhanced endoscopic ultrasound)は, 腫瘍の造影効果や微小血管構造を高い解像度を持ってリアルタイムに評価することが可能であり, 膵腫瘍の鑑別診断に有用である。一方, CE-EUSの診断能力を高め, さらに一般臨床で普及させるためには, 施行医の主観を排除した客観的かつ定量的な評価法の開発が必要である。
 近年, 検査画像の特徴を自動抽出する方法としてdeep learningが注目されている。特に畳み込みニューラルネットワーク(CNN: convolutional neural network)は, 自動画像認識とセグメンテーションに利用されており, CNNの一つであるU-Netは医療画像のセグメンテーションに有用とされている。CNNを用いて膵腫瘍検査におけるCE-EUS動画のdeep learningを行い, 腫瘍部分の自動セグメンテーションおよび自動診断が可能となれば, CE-EUSの診断精度も向上する可能性がある。本研究では, CNNとしてU-Netを用いたCE-EUS動画における膵腫瘍の自動セグメンテーション能力について評価し, 呼吸性変動(RM: respiratory movement)や腫瘍境界の明瞭度(TB: Tumor Boundary)が自動セグメンテーションに与える影響について検討した。

【対象と方法】
 2016年3月から2019年2月の間に, 岐阜大学医学部附属病院または国立台湾大学病院北護分院において膵腫瘍に対してCE-EUSが施行され, 最終診断が確定した症例を対象とした。CE-EUSの動画(90秒以上)が保存されていない症例, 空気の影響などで腫瘍が画像上認識できない症例は除外し, 最終的に膵腫瘍100症例を登録した。CE-EUSはコンベックス型EUSで施行され, 画面左にB-mode, 画面右にextended pure harmonic detection modeを表示した90秒間の動画を6フレーム/秒へ変換し, 解析に用いた。CE-EUS動画の各フレームのBモード画面上で描出された膵腫瘍を手動でラベリングし, 正解データとした。腫瘍の呼吸性による動きを, その移動距離によってRM-A(腫瘍径の50%以下), RM-B(腫瘍径の51〜99%), RM-C(腫瘍径の100%以上)の3段階に分額した。腫瘍境界の明瞭度もTB-1(腫瘍境界が全周明瞭), TB-2(51-99%で明瞭), TB-3(半周以下で明瞭)の3段階に分顔した。Deep learningを用いた腫瘍の自動セグメンテーションにはU-Netを使用し, エポック数100で機械学習を行った後, その精度を4分割交差検証した。主要評価項目は, U-Netによる自動セグメンテーション領域と正解データの一致率とし, 副次評価項目はRMとTBが一致率に与える影響とした。一致率はintersection over union(IoU)を用いて算出した。

【結果】
 100例{男性52例, 年齢中央値70歳(range29-89)}の最終診断は悪性疾患として膵癌67例, 神経内分泌腫瘍10例, 転移性膵腫瘍6例, 悪性リンパ腫2例, solid pseudopapillary neoplasm2例, 良性疾患として自己免疫性膵炎7例, 慢性膵炎4例, 腫瘤形成性膵炎2例であった。呼吸性変動はRM-A70例, RM-B19例, RM-C11例であり, 腫瘍境界はΤΒΊ40例, TB-250例, TB-310例であった。全症例のIoUの中央値は0.77(range 0.39-0.91)であった。腫瘍境界分額において, TB-1, TB-2, TB-3のIoUの中央値はそれぞれ0.80, 0.76, 0.69であり, TB-1はTB-3よりも有意にIoUが高かった(p<0.01)。呼吸性変動の分顔において, RM-A, RM-B, RM-CのIoUの中央値はそれぞれ0.77, 0.79, 0.76であり, グループ間に有意差は認めなかった。

【考察】
 本研究では, CNNとしてU-Netを用いCE-EUS画像上の膵腫瘍に対するdeep learningを行い, 機械学習による自動セグメンテーション能力の有用性について評価した。先行研究において, 超音波静止画像におけるdeep learningを用いたセグメンテーション評価の一致率は90%前後であることが報告されており, 本研究の一致率(IoUの中央値0.77)は既報と比較しやや低値であった。この原因として, 既報の研究では静止画像が学習対象として使用されており, 病変が最も鮮明に写っている画像が利用されているのに対し, 本研究では約540枚の連続した静止画像で構成されたCE-EUSの動画を使用しており, 常に病変を鮮明に描出することが困難であることが影響した可能性が考えられた。
 呼吸性変動と腫瘍境界の明瞭さが一致率に与える影響に関する検討では, 呼吸性変動の程度は影響を認めなかったのに対し, 腫瘍境界に関しては不明瞭になることにより一致率が有意に低下していた。本研究結果は, 呼吸に伴う観察対象病変の変動はdeep learningを用いたセグメンテーション評価の支障になりにくく, また境界が明瞭な膵腫瘍を対象とすることで, セグメンテーション後の解析における一致率が改善できる可能性を示唆するものである。一方, 本研究ではU-Netをdeep learningのアルゴリズムとして使用したが, EUS動画の自動セグメンテーションにおける最適なアルゴリズムを選択または開発することも, 一致率の改善に繋がると考えられた。

【結論】
 CE-EUSの動画に対し, deep learningとしてU-Netを用いた膵腫瘍の自動セグメンテーションの一致率を検討した結果, IoUの中央値は0.77であった。腫瘍境界が不明瞭な場合は一致率が低下するが, 呼吸性変動は一致率に影響しなかった。自動セグメンテーションの一致率をさらに向上させるためには, 腫瘍境界を明瞭にするような画像処理や, CE-EUS動画の評価においてより最適なdeep learningのアルゴリズムを探索していく必要がある。

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