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大学・研究所にある論文を検索できる 「Magnetic Resonance Imaging Findings Differentiating Cutaneous Basal Cell Carcinoma from Squamous Cell Carcinoma in the Head and Neck Region.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Magnetic Resonance Imaging Findings Differentiating Cutaneous Basal Cell Carcinoma from Squamous Cell Carcinoma in the Head and Neck Region.

川口, 真矢 岐阜大学

2021.03.25

概要

(目的,緒言)
皮膚基底細胞癌は皮膚癌の中で最も多く皮膚の基底層から発生し,60台の女性に好発する。一方,皮膚扁平上皮癌は2番目に多く皮膚の有棘層から発生し,70台の男性に好発する。両者はともに日光暴露の多い頭頚部に多く発生する。
 基底細胞癌は扁平上皮癌に比べてリンパ節転移や遠隔転移が少ない(0.1% vs. 1.9-4.9%)特徴を持ち,切除マージンも異なるため(基底細胞癌:4mm,扁平上皮癌:4-6mm),術前診断が重要となる。基底細胞癌,扁平上皮癌は視診やダーモスコピーにより80%から90%が術前診断可能である。超音波,CT,MRI含め,基底細胞癌と扁平上皮癌の鑑別に画像が有用であるかの研究はこれまでない。今回の研究の目的は両者の鑑別にMRIが有用であるかを明らかにすることである。

【対象と方法】
 2010年1月から2018年12月の間に全摘された皮膚癌のうち,頭頚部原発基底細胞癌,扁平上皮癌で術前にMRIを撮像してあり,高さが4mm以上ある14例の基底細胞癌(男女比=8:6,中央値72歳)と15例の扁平上皮癌(男女比=11:4,中央値82歳)についてMRI所見を比較した。
 MRIは1.5Tと3Tの装置を用いて行った。撮像シーケンスは水平断のT1強調像,水平断と斜矢状断/冠状断のT2強調像,水平断と斜矢状断/冠状断の脂肪抑制T2強調像である。評価項目は発生部位,最大径,最大径/高さの比率,表面潰瘍形成の有無,皮下組織への突出の有無,深部境界,脂肪織混濁の有無,T2強調像での内部点状高信号域とした。以上について2人の放射線科医が独立して検討を行った。
 統計解析はSPSSを用いて行った。読影者間の一致率はカッパ値を用いて行った。

【結果】
 基底細胞癌は扁平上皮癌より有意に鼻に多く発生した(71%vs13%p<0.01)。最大径(12.7mm vs 23.5mm p<0.01),最大径/高さの比率(1.7 vs 2.8 p<0.01)は基底細胞癌より扁平上皮癌で有意に大きかった。表面潰瘍形成(21% vs 67% p<0.05),皮下組織への突出(21% vs 60% p<0.05),深部境界不明瞭(7%vs60%p<0.01),脂肪織混濁(7%vs93%p<0.01)は基底細胞癌より扁平上皮癌で有意に多く見られ,T2強調像での内部点状高信号域(57% vs 13% p<0.05)は基底細胞癌で扁平上皮癌より有意に多く見られた。
 読影者間のカッパ値はそれぞれ,表面潰瘍形成(0.72),皮下組織への突出(0.79),深部境界不明瞭(0.64),脂肪織混濁(0.72),内部点状高信号域(1.00)で高い一致率を認めた。

【考察】
 これまでの報告でも頭頚部の基底細胞癌は鼻に多い傾向にあり(32-49%),扁平上皮癌(5-14%)と比較しても多い。発生部位は両者の鑑別に有用になりうる.
 表面潰瘍形成,皮下組織への突出,深部境界不明瞭,脂肪織混濁は扁平上皮癌で多く認められた。浸潤傾向の高さを反映した所見で,基底細胞癌よりも扁平上皮癌はリンパ節,遠隔転移をきたす割合が高いことの一因と考えられる。
 基底細胞癌はいずれも境界明瞭で円形に近い形態を示していた。浸潤傾向の低いことを示唆していると考える。その他に考えうる原因として本研究の基底細胞癌は結節型がほとんど(93%)であることが挙げられる。基底細胞癌の他の組織型として表在型,斑状強皮症型などがあるがいずれも表在性であるためMRIが撮像されないことが原因と考える。
 基底細胞癌に多くみられる所見であったT2強調像での内部点状高信号域は粘液腫変性を反映であった。扁平上皮癌でも付属器への分化のある腫瘍では内部点状高信号を認めた。
 皮膚癌におけるMRIはサイズが大きい場合に浸潤範囲を把握する際に行われる。とくに顔面では美容に関連するためMRIが撮像されることが多い。現在のNCCNガイドラインではMRI撮像は病変が大きい場合に深さを推定する,骨や筋への浸潤の有無を確認する,転移検索を行う際に撮像してもよいとされる。組織型の推定に関する画像の有用性については言及されていない。本研究上MRIは基底細胞癌と扁平上皮癌の鑑別に有用である可能性があるため視診やダーモスコピーで組織診断の推定が困難な症例に対し補助診断として有効と考えられる。
 本研究の限界として以下の4つが挙げられる。第1に単施設の研究であり症例数が少ない。第2に4mm以上の病変に限定していることや皮膚科医がMRI撮像をオーダーした症例で検討していることがセレクション・バイアスを生じている可能性がある。第3に造影MRIを撮像した症例が5例であったため造影MRIの所見は検討できていないことである。ただし,この5症例を検討した限りでは基底細胞癌と扁平上皮癌の鑑別に有用な所見を見出すことはできなかった。第4に本研究の浸潤型基底細胞癌は1例のみで,浸潤型基底細胞癌は扁平上皮癌と区別はできなかった。

【結論】
 基底細胞癌は鼻に多く発生しT2強調像での点状高信号域が特徴で,扁平上皮癌は扁平で表面潰瘍形成,皮下組織への突出,深部境界不明瞭,脂肪織混濁が特徴である。本研究は高齢化が進み皮膚癌の有病率が高まる時代に皮膚癌のMRI所見の検討を行った最初の研究である。

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