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書き出し

介護リハビリテーションとパーキンソン病患者の骨折入院リスクとの関係

劉, 寧 LIU, NING リュウ, ネイ 九州大学

2023.11.30

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Association between care rehabilitation and the
risk of fracture hospitalization in people with
Parkinson's disease
劉, 寧

https://hdl.handle.net/2324/7165100
出版情報:Kyushu University, 2023, 博士(医学), 論文博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)

氏 名:

劉 寧(LIU NING)

論文名:

Association between care rehabilitation and the risk of fracture
hospitalization in people with Parkinson's disease
(介護リハビリテーションとパーキンソン病患者の骨折入院リスクとの関係)

区 分:



論 文 内 容 の 要 旨

【背景】
パーキンソン病患者(People with Parkinson’s disease;以下PwPと略す)の骨折を如何に予防するか
は公衆衛生政策上重要な課題である。
リハビリテーションはPwPの身体機能を改善することができると多くの先行研究から報告されてある
が、その多くは介入実施期間が短く、転倒骨折に対する予防効果を示すエビデンスも十分ではない。
一方、重度のパーキンソン病(Parkinson’s disease;以下PDと略す)と比べて、軽度若しくは中度の
PwPに対して、早期からリハビリテーションを実施することは長期的に転倒骨折を予防する可能性が高
いとされている。
日本では、介護サービスを必要とするPwPが介護保険から提供される介護リハビリテーション(Care
rehabilitation;以下CRと略す)を利用することができる。医科保険のリハビリテーションと比べて、
CRはより長期間にわたって患者の日常生活動作(Activities of daily living;以下ADLと略す)ADL
や手段的日常生活動作(Instrumental ADL;以下IADLと略す)を高めることを通じて患者の自立した生
活機能の向上に焦点を当てるため、頻回且柔軟に実施できる特徴を持つ。しかしながら、PwPに対する
CRの効果を検証する研究が少ない。
従って、本研究では、要介護度が軽度から中度までの高齢PwP(>=75歳)を対象として、持続的なCRの
使用が骨折入院のリスクを下げるかどうかを明らかにすることを目的とした。
【方法】
本研究は、医科保険レセプトデータと介護保険レセプトデータを連結させた上で、後ろ向きデザイン
を採用する。
対象患者をCR有とCR無の2群に分け、2014年4月以降CRを含む介護保険サービスを使い始めた月から
2018年3月まで最大4年間追跡した。アウトカム変数は、追跡開始日から1回目の骨折による入院までの
時間である。独立変数は、CRの有無である。CR有群は、2014年4月以降CRを使い始めてから少なくとも
最初の6か月間CRを継続し、CRを含む介護保険サービスを少なくとも2年間の毎月使用した人である。
CR無群は、2014年4月からCR以外の介護保険サービスを少なくとも2年間の毎月使用した、若しくはCR
を使い始めたとしても最初の6か月以内にCRを中断し、介護保険サービスを少なくとも2年間の毎月使
用した人である。
 CR有群とCR無群の患者背景をできるだけ揃えるために、本研究では傾向スコアマッチングの手法
(1:4の比で)を採用した。マッチングの際、復元抽出を行い、傾向スコアのロジットの標準偏差の
0.2であるようにCaliper(閾値)の幅を設定した。
 対象者の特徴について、T検定、Welch検定、及びカイ二乗検定を用いた。CRと骨折入院の関係を調
べるために生存分析を行った。また、CRの実施期間によって骨折入院の発生率が変わるという仮説の
元、本研究では観察期間を2年間、3年間と4年間に分けて生存関数を推定した。さらに、ハザード比を
推定するために、本研究ではWeibull分布を持つパラメータ指数ハザードモデルを採用した。その理由
は、1)Kaplan-Meier曲線で確認した2群のハザード比は時間とともに変わり、等比例ハザードではな
い;2)Weibull分布のパラメータPは1より大きいとなっているからである。

【結果】
マッチング前の研究対象者は2,177人、CR有群は222人、CR無群は1,955人いた。1:4の比でマッチング
した後、CR有群の222人に対して、CR無群は888人がいた。すべての共変量における2群間の標準化差
(Standardized differences)は0.10以下となった。
マッチング前、年齢による層別Log-rank検定、及びPeto-Peto-Prentice検定によると、CR有群とCR無
群が4年間において有意な差を示した(年齢による層別Log-rank検定: P = 0.009; Peto–Peto–
Prentice検定: P = 0.009)。マッチング後、CR有群とCR無群が3年間と4年間において有意な差を示
した(3年間の場合、年齢による層別Log-rank検定: P = 0.036; Peto–Peto–Prentice検定: P =
0.043;4年間の場合、年齢による層別Log-rank検定: P = 0.011; Peto–Peto–Prentice検定: P =
0.014)。
ハザードモデルの結果として、マッチング前、4年間の場合、CR有群の骨折入院はCR無群より0.52倍少
なかった(95% CI 0.32-0.85、P=0.015)。マッチング後、3年間の場合、CR有群の骨折入院はCR無
群より0.54倍少なかった(95% CI 0.29-0.99、P=0.010)、4年間の場合、CR有群の骨折入院はCR無
群より0.52倍少なかった(95% CI 0.30-0.88、P=0.010)。
【考察】
 本研究は、高齢PwPを対象として追跡開始から少なくとも6か月間以上持続的なCRの使用が骨折入院
リスクの軽減と関連すると初めて検証したものである。特に、CRの使用期間に応じて2年間、3年間及
び4年間毎に観察した結果、CRを継続する人が最も多い3から4年間の間にCR有群はCR無群より骨折入院
のリスクを有意に低減できたことは意義が大きい。従来からPDの重症度として使われいるHoehn&Yahr
等の指標と異なり、本研究の対象者は軽度から中度の要介護度者に限られているにもかかわらず、ADL
状態が良好、且つ認知機能の低下は顕著ではない高齢PwPに対して、早期からCRを継続させることは長
期的に骨折入院リスクを軽減できるという結果になった。
 このような効果を示したCRに関する重要なポイントとして、病院の代わりに、普段から患者が慣れ
親しんでいる介護施設や自宅環境の中で継続的に実施できること、自宅環境整備等幅広い支援プログ
ラムがCRサービスに含まれていることなどが考えられる。即ち、身体機能の向上だけではなく、患者
の生活環境に合わせて生活の自立をサポートできる、多元的、複合的なCRサービスは高齢のPwPにより
有用であると結論づけた。

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