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書き出し

Bisphosphonate treatment is associated with decreased mortality rates in patients after osteoporotic vertebral fracture

飯田, 浩貴 名古屋大学

2023.09.07

概要

主論文の要旨

Bisphosphonate treatment is associated with decreased
mortality rates in patients after osteoporotic
vertebral fracture
ビスホスホネート治療は骨粗鬆症性椎体骨折後の
死亡率低減に関連する

名古屋大学大学院医学系研究科
運動・形態外科学講座

総合医学専攻

整形外科学分野

(指導:今釜 史郎
飯田 浩貴

教授)

【緒言】
骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)は脆弱性骨折の中で最も多
く、90%以上に保存治療が選択される。OVF の 1 年後死亡率は 6.7~28%で、これは大
腿骨近位部骨折と同等である。先行研究では、高齢、男性、活動性、併存疾患が OVF
後の治療成績に関連することが報告されている。しかし、大腿骨近位部骨折と比べ、
OVF 後死亡率の関連因子を調査した報告は少ない。Trone らは、2 回以上の椎体骨折
の既往のある女性患者は死亡リスクが高いことが報告した。骨粗鬆症治療薬の一つに
あるビスホスホネート製剤(BP)があり、アレンドロネート、リセドロネート、イバン
ドロネート、ゾレドロネートは椎体骨折のリスクを低減する。さらに、骨折予防に加
えて、メカニズムは不明であるが、大腿骨近位部骨折患者や骨粗鬆症のフレイル患者
の死亡率低減に寄与することが報告されている。さらに BP は動脈硬化を抑制する効
果があることもわかっている。これらの事から BP 投与は OVF 後の死亡率を低下させ
る可能性がある。本研究の目的は、OVF 後死亡率の関連因子及び BP との関連を調査
することである。
【方法】
研究デザインは後ろ向きコホート研究で、2011 年 1 月から 2019 年 12 月の期間に入
院加療を行った OVF 患者を対象に、2020 年 8 月から 12 月にかけて電子カルテ情報と
電話連絡により追跡調査を行った。得られた情報を基に対象を BP 投与の有無で 2 群
(BP 群/非 BP 群)に分け患者背景、治療成績、死亡率の比較検討を行った。多変量解析
により、OVF 後の死亡率に影響する因子の検討を行った。OVF 診断のため、全例に臥
位での X 線フィルムと MRI(磁気共鳴画像装置)を実施し、急性 OVF は、MRI によ
る T1-weigh, T2-weigh, STIR シーケンスでの椎体の骨折線と異常強度変化と定義され
た。MRI で硬膜外または傍椎体軟部組織腫瘤など病的骨折が疑われる症例は除外し
た。全患者に硬性コルセットを用いた疼痛コントロールと理学療法を行った。腎機能
評価を Cockcroft–Gault 式により算出したクレアチニンクリアランス推定値で行い、栄
養評価に GNRI(geriatric nutrition risk index)を用い、<92 を栄養不良と定義した。Denis
分類に従って Middle column に及ぶ骨折は不安定性骨折とした。ADL 評価には腰痛の
JOA(Japanese Orthopaedic Association)スコアを用い、入院時と退院時点で評価を行っ
た。骨格筋量の評価には DXA(Dual Energy X-Ray Absorptiometry)を用いて SMI(skeletal
muscle mass index)を算出し、アジアのサルコペニアの基準(男性、<7.00 kg/m2、女性、
<5.40 kg/m2)に従って低骨格筋量を定義した。除外基準は、65 歳未満例、手術症例、
病的骨折、入院中死亡例、BP 以外の骨粗鬆症治療薬使用例とした。
統計解析は、連続変数には Student's t test、カテゴリー変数には Pearson chi-squared
test を用いた。OVF 患者の死亡率について、BP 投与の有無による Kaplan-Meier 曲線を
作成し、ログランク検定を実施した。さらに Cox 比例ハザード分析を行い、単変量解
析で P<0.1 であった因子を説明変数に、OVF 死亡率を目的変数とした多変量解析を行
った。すべての統計解析は、IBM SPSS v.23.0 for Windows(IBM Institute, Inc, Cary, NC,

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USA)を用いて行い、P < 0.05 を有意性ありとした。この研究は、National Center for
Geriatrics and Gerontology review board の承認を得ている。すべての実験は、改正ヘル
シンキ宣言で定められた倫理基準に従って行われた。本研究は、国立長寿医療研究セ
ンター(大府市)の倫理委員会の承認を得た(承認番号:No.1124)。
【結果】
535 例(男性 170 例、女性 365 例)が研究対象に該当し、163 例が BP 群に、372 例が
非 BP 群に該当した(Figure 1)。平均年齢 82.6±7.0 歳、平均追跡期間は 33.0±25.8 か
月(1~120 か月)であった。患者背景の比較において、BP 群は非 BP 群よりも低年齢で
男性、認知症、低骨格筋量の割合と大腿骨頸部 T-score が低く、BMI、受傷前の自宅生
活者の割合と GNRI が高かった。2 群間で SMI に差を認めなかったが BP 群において
低骨格筋量に該当する割合が少なかった(Table 1)。治療成績の比較において、BP 群は
非 BP 群よりも急性期病棟入院日数が短く、入退院時の JOA スコアが高く追跡期間が
長かったが、急性期病棟からの自宅退院率は 2 群間で差がなかった(Table 2)。追跡期
間中の死亡率は 20.7%(111 例)で、1 年死亡率は 6.0%(32 例)であった。BP 群は非 BP
群に比べ有意に死亡率が低かった(Figure 2)。多変量解析の結果、高齢、男性、栄養不
良、BP 投与、退院時 JOA スコアが OVF 後死亡率と関連していた(Table 3)。
【考察】
OVF 後死亡率と高齢、男性、栄養不良、退院時の ADL が関連しており、先行研究
の報告と一致していた。OVF 患者には栄養介入を検討する必要がある。身体活動は低
強度であっても高齢者の死亡率を低下させるため、退院後もリハビリテーションを継
続する必要がある。本研究は、複数の交絡因子(年齢、性別、BMI、栄養状態、大腿骨
頸部 t-score、認知症、骨格筋量減少、退院時 JOA スコア、生活環境)の調整後も、BP
投与が OVF 後の死亡率低減に関連する独立した因子であることを明らかにした。
BP は、骨折抑制以外に動脈硬化抑制効果や炎症性サイトカイン分泌抑制、癌細胞の
増殖、浸潤、接着、移動能の阻害作用を持つ。これらの positive な effect が OVF 後死
亡率低減に影響した可能性があり、OVF 患者に対する BP 投与が推奨される。
発生頻度は稀ではあるが BP には非定型大腿骨骨折(atypical femoral fracture : AFF)
や顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw : ONJ)などの合併症の懸念がある。AFF は 5 年以
上 BP 治療を継続した症例に多くみられることから、長期に渡る BP 投与は避け、5 年
以上継続する場合には他の骨粗鬆症治療薬の使用を検討すべきである。また ONJ 予防
のために BP 投与前に口腔内の状態を評価することが推奨される。
本研究には limitation は以下の 3 つである。1. 対象患者の中には OVF 受傷前に BP
投与歴のある症例も含まれており、投与期間の影響が不明である。2. BP 投与の決定に
主治医の選択 bias が影響した可能性がある。3. 骨粗鬆症治療の継続に重要と思われ
る、同居家族の有無についての検討がなされていない。

-2-

【結語】
高齢、男性、栄養不良(GNRI<92)、退院時の JOA スコアは、OVF 後の死亡率上昇
と関連した。BP 投与は、OVF 後の死亡率低減に関連していた。BP 投与は OVF 後の
二次骨折予防のみならず治療成績にも有益な因子であると考えられる。臨床医は、
OVF 患者に対して BP を処方することが推奨される。

-3-

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