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大学・研究所にある論文を検索できる 「The blockade of interleukin-33 released by hepatectomy would be a promising treatment option for cholangiocarcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The blockade of interleukin-33 released by hepatectomy would be a promising treatment option for cholangiocarcinoma

長岡, 慧 大阪大学

2021.02.28

概要

〔目的〕胆管癌は再発率の高い予後不良な癌である。近年、炎症性サイトカインであるInterleukin(以下IL)-1ファミリーの一つであるIL-33の短期暴露によって、胆管癌の発育を助長する環境が長期間形成されることが報告された。IL-33はリンパ球から癌細胞まで各種細胞の核内に存在するが、正常肝組織内では主にTリンパ球で存在することが知られており、組織障害によってサイトカインとして細胞外へ放出される。そこでわれわれは、胆管癌に対する肝切除手術による組織障害によってIL-33が放出され、再発を助長する環境が形成されるとの仮説を立て、肝内胆管癌とIL-33の関連性と、治療介入の可能性について検討した。

〔方法ならびに成績〕
まず、肝切除によるIL-33の血中への放出を検討するため、肝切除を行った肝内胆管癌50例において、非癌部におけるIL-33陽性細胞数を免疫組織化学で計測し、手術前後の血中IL-33濃度をELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)で測定した。その際、肝切除による影響を検討するため、肝臓を離断せずに全肝を摘出する肝移植6例を比較対照とした。切除肝の非癌部におけるIL-33陽性細胞数の中央値で2分したところ、臨床病理学的背景に有意差はなく、肝IL-33陽性細胞数が多い群で、肝切除後の血中IL-33濃度が上昇していた(p<0.01)。一方で、肝移植症例では肝IL-33陽性細胞が多い症例においても、手術による血中IL-33濃度の変化は認められなかった。

次に、肝内胆管癌の切除治療後の予後因子を多変量解析で検討したところ、肝IL-33陽性細胞数は、無再発生存に関わる独立した負の予後予測因子であった(p=0.04)。

さらに、肝切除後の残肝におけるIL-33陽性細胞数を検討するため、再肝切除を行った肝細胞癌50症例で、IL-33の免疫組織化学を行った。再肝切除までの期間の中央値は約3年であった。初回肝切除肝と比較して、再肝切除肝においては、肝IL-33陽性細胞数が上昇していた(p<0.01)。

以上から、肝IL-33陽性細胞数が多い症例は、肝切除時にIL-33を多く放出すること、無再発生存率が不良となること、肝IL-33陽性細胞は肝切除により増加することが示された。

続いて、マウス実験で検証を行った。C57BL/6マウスに肝切除を行い、肝切除前後の血中IL-33濃度、摘出肝と28日後の残肝における肝組織内IL-33量をELISAで比較した。肝切除によって、血中IL-33濃度は平均2.8倍に増加した。(p<0.01)

C57BL/6マウス由来胆管癌細胞株を肝へ注入移植する同系同所性移植モデルを用いて肝切除の影響を確認した。肝切除を行ったマウスと、比較対照として開腹手術のみを行ったマウスに対して、術後7日目に残肝へ癌細胞を移植した。肝切除後の残肝へ癌細胞を移植したマウスでは、腫瘍発育がより早く認められた。また、同モデルにおいて肝切除前日から術後5日まで、抗IL-33中和抗体を投与すると、PBS投与群と比較して、腫瘍発育は抑制された(p=0.026)。

最後に、IL-33と肝内胆管癌発育促進との関連性について細胞実験を行った。肝IL-33陽性細胞数が多い群の肝組織抽出液を蛋白濃度が10ng/mlとなるよう調整し、ヒト胆管癌細胞に添加した。その結果、増殖能(72時間で平均1.3倍増加、p<0.01)、遊走能(12時間で平均1.8倍増加、p<0.05)、浸潤能(48時間で平均1.4倍増加、p<0.05)が増加した。過去の報告からIL-6が関連している可能性に着目した。ヒトおよびマウスの肝組織抽出液においてIL-33およびIL6濃度は相関していた(R2=0.62、p=0.02)。さらに、肝IL-33陽性細胞数が多い群の切除肝組織抽出液を添加する際に、抗IL-6中和抗体を追加して検討した。その結果、増殖能、遊走能が抑制され(p<0.01)、IL-33が誘導する腫瘍促進の機序に、IL-6が関与している可能性が示された。

〔総括〕
肝内胆管癌において、肝切除によりIL-33が血中へ放出されること、残肝組織内のIL-33発現が増加すること、それによって再発を助長する環境が形成される可能性が示された。肝切除時にIL-33阻害剤を用いた治療介入を行うことで、胆管癌に対する肝切除後の再発率を低下できる可能性がある。

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