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大学・研究所にある論文を検索できる 「Suppressive Regulation by MFG-E8 of Latent Transforming Growth Factor β–Induced Fibrosis via Binding to αv Integrin: Significance in the Pathogenesis of Fibrosis in Systemic Sclerosis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Suppressive Regulation by MFG-E8 of Latent Transforming Growth Factor β–Induced Fibrosis via Binding to αv Integrin: Significance in the Pathogenesis of Fibrosis in Systemic Sclerosis

藤原, 千紗子 フジワラ, チサコ Fujiwara, Chisako 群馬大学

2020.03.24

概要

全身性強皮症は、組織の線維化による皮膚硬化やさまざまな臓器の線維化、血管異常によるレイノー現象や指尖部潰瘍、自己免疫異常などが絡み合って発症する疾患であるが、その機序はいまだ充分に解明されていない。

分泌蛋白質MFG-E8は、N末端にEGF領域を有しており、インテグリンαvβ3/5との結合に重要なRGD配列が含まれ、MFG-E8は、このRGD配列を介して、インテグリンαvβ3/5と結合することが知られている。C末端の第8凝固因子相同領域は、フォスファチジルセリンや1型コラーゲンと結合するため、アポトーシス細胞上のフォスファチジルセリンとマクロファージ上のインテグリンの間に結合してアポトーシス細胞の貪食を促進させる。そのほか、MFG-E8の機能について、我々はこれまでに、ペリサイトや間葉系幹細胞がMFG-E8の主要な産生細胞であること、そして、MFG-E8はインテグリンαvβ3/5との結合を介してペリサイトのPDGF受容体シグナルを亢進させ、血管新生を亢進させることを報告してきた(ATVB2011,ATVB2011,CancerResearch2016)。また、線維化の制御に関しては、MFG-E8KOマウスでブレオマイシン誘導性肺線維化が亢進することや、喘息患者の気道周囲平滑筋細胞のMFG-E8発現量は低下しており、MFG-E8KOマウスでは気道周囲の線維化が亢進し、喘息が増悪することなどが報告されている。また、MFG-E8KOマウスは、加齢に伴い抗核抗体の上昇や糸球体腎炎をきたすことから、その発現異常が自己免疫疾患の発症に関与している可能性が報告されてきた。これらのことから、MFG-E8は、血管新生、皮膚線維化、自己免疫疾患の発症に関与することが示唆されるが、強皮症の病態におけるMFG-E8の役割は未だ検討されておらず、本研究では、強皮症におけるMFG-E8の役割を解明することを目的とした。

強皮症皮膚では、ペリサイト量の低下、血管周囲の4型コラーゲンの発現量が低下することが報告されている。免疫染色でMFG-E8の発現を検討したところ、強皮症皮膚では健常人皮膚と比較し、血管周囲のMFG-E8の発現が少なく、また、血清中MFG-E8量も低下していた。その原因として、血管障害によって生じたペリサイトや血管平滑筋細胞量の低下が関連している可能性が示唆された。

不活性型TGF-βは、RGD配列を介してインテグリンと結合し活性型となり、TGF-β受容体と結合すると、細胞内でSmad2/3のリン酸化が起こり、コラーゲンなどの遺伝子の転写が開始されるため、線維化に重要な因子である。またフィブリリンのRGD配列をRGEに変換しフィブリリンとインテグリンが結合できなくなると、多くのインテグリンが不活性型TGF-βと結合して、TGF-βの不活性型から活性型への変換が亢進し、皮膚硬化が亢進することも報告されている。そこでMFG-E8が同様のRGD配列を持っていることに注目し、MFG-E8の発現が低下すると不活性TGF-βとインテグリンとの結合が増加しTGF-βシグナルが亢進するのではないか、という仮説をたて検討を行った。

まず、強皮症患者由来線維芽細胞において、線維化の指標である1型コラーゲンやCCN2、Smad2のリン酸化は不活性型TGF-βの刺激のみで亢進するが、MFG-E8の追加処理により抑制された。しかし、RGD配列をRGEに変えたRGE-MFG-E8-Igを用いた同様の実験では線維化は抑制できなかった。この結果より、強皮症線維芽細胞において、MFG-E8はRGDを介してインテグリンαvと結合し、不活性型TGF-β刺激による線維化を抑制することを明らかにした。

次に強皮症モデルマウスであるタイトスキンマウスとブレオマイシン誘導線維化マウスにおいて、MFG-E8を欠損させた場合に線維化が亢進するのか検討を行ったところ、両モデルマウスにおいて、MFG-E8KOマウスではWTマウスに比べて皮膚の肥厚、肺の線維化の亢進がみられた。また、タイトスキンマウスにおいて、MFG-E8KOマウスではWTマウスと比較し、血清中の抗核抗体や抗トポイソメラーゼI抗体の増加もみられた。さらにブレオマイシン誘導線維化マウスでは、MFG-E8投与により、皮膚の肥厚や、コラーゲン量の抑制効果を示した。

今回の検討により、強皮症では血管周囲や血中のMFG-E8の量が低下しており、これが血管機能低下に関与することが示唆された。また、MFG-E8の産生低下によって、インテグリンとMFG-E8の結合が減り、逆に不活性型TGF-βとインテグリンの結合が増加するため、活性型TGF-β量が増えて皮膚の線維化が亢進することが示唆された。これらの機序が強皮症の病態の一部に関与する可能性が考えられた。MFG-E8のようにインテグリンと不活性型TGF-βとの結合を阻害するような抗体や蛋白が強皮症の線維化に対する治療に応用できる可能性が示唆された。

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