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大学・研究所にある論文を検索できる 「山陰地方における地震波速度構造と内陸地震発生の関係」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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山陰地方における地震波速度構造と内陸地震発生の関係

津田, 寛大 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23362

2021.05.24

概要

本論文は, 内陸地震の断層においてどのように応力が増加するのか、 内陸地震のすべり分布は何によって決まるのかという、内陸地震の発生過程に関する未解決な2つの問題に答えるために、山陰地方の地震帯直下の下部地殻、および、2016年に鳥取県中部で発生したM6.6の地震 (鳥取県中部地震と略称) の震源域における地震波速度構造を調べたものである。

山陰地方においては、 日本海沿岸に沿って長大な帯状の地震分布が見られ、 山陰地方の地震帯と呼ばれており、 M≧6.5の大規模な内陸地震も多発している。プレート境界から離れた山陰地方において内陸地震の発生が局在する理由として、地震帯直下の下部地殻に局所的な低粘性の領域、weak zoneが存在し、weak zoneに変形が集中することにより、直上の地震帯に応力集中が発生するというモデルが提案されている。しかしながら、weak zoneの存在をサポートする不均質構造に関しては、地震帯の東部(鳥取県から三瓶山付近まで)においては下部地殻の一部に低比抵抗異常域が見いだされているが、地震帯の直下の地震波速度構造は、これまでよく分かっていなかった。本研究では、地震帯および西南日本下に沈み込むフィリピン海プレートを含む深さ約80kmまでの解析領域を設定し、気象庁によって検測された走時データを用いて、地震波走時トモグラフィー解析を行った。山陰地方の下部地殻を通る波線を持つ、フィリピン海プレート内の深さ30–80kmの地震を多数用いたこと、および、波面法により不均質の強い構造に対しても安定した波線追跡が可能であるFMTOMOを用いたことにより、山陰地方の下部地殻における地震波速度構造を精度良く推定することが可能となり、地震帯直下の深さ25kmにおいて下部地殻が低速度域であることが見いだされた。さらに、低速度となる原因を推定するために、内陸地震の発生下限深度を調べ、東部においては、地震帯では周囲に比べて発生下限深度が浅いことが分かった。このことから、東部では、 地震帯直下の下部地殻において温度が周囲より高いことが低速度域の大きな要因であることが示唆された。西部に関しては、東部ほど高温でないと推定されたことから、フィリピン海プレートから上昇した水が要因である可能性が示唆された。

2つ目の問題に関しては、鳥取県中部地震の震源断層面近傍の詳細な地震波速度構造を推定し、 すべり分布と比較した。余震域直上の20km×20km程度の領域に67点設置された稠密余震観測データを活用し、震源断層面近傍において、2kmグリッドの地震波速度構造を推定した。 余震域直上に設置された稠密余震観測点におけるP波初動の読み取り精度は0.01-0.02s程度、 S波についても0.02-0.05s程度であり、精度の高い走時データを用いてtomoDDにより速度構造が推定された。その結果、 本震の主なすべり域が地震波速度の高速度域に、 主なすべり域の間のすべりの小さい領域が低速度域に対応することが分かった。 また、 地震波速度構造から、 本震の震源断層面近傍の岩石に含まれるポアのアスペクト比と体積分率を推定し、すべりが小さかった低速度域では、 すべりが大きかった高速度域に比べ、 ポアの体積分率が大きく、クラック密度が高いことが推定された。 このことから、低速度域では、 クラック密度が高いことにより、 非地震性の非弾性変形が卓越し、 本震の発生前に大きな弾性歪が蓄積されず、 地震時すべりが大きくならなかった可能性が示唆された。

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