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未治療例、治療中断例の23条通報事例事後分析を通しての通報前介入の可否の検討

坂本, 泰啓 唐木, 里織 根岸, 真理子 下田, 清子 山田, 裕美 信州大学

2023.08.22

概要

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

未治療例、治療中断例の 23 条通報事例事後分析を通しての通報前介入の可否の検討
坂本泰啓、唐木里織、根岸真理子、下田清子、山田裕美(長野県長野保健福祉事務所(長野保健所))

   未治療例、治療中断例の
03-5
23 条通報事例事後分析を通しての

キーワード: 23 条通報、未治療例、治療中断例、事前調査、

通報前介入の可否の検討

要旨:長野県長野保健福祉事務所(長野保健所(以下、「当所」と記載))は、長野県でもっとも
坂本泰啓、唐木里織、根岸真理子、下田清子、山田裕美(長野県長野保健福祉事務所)

精神保健福祉法に基づく 23 条通報受理件数が多い保健所であり、かつ通報件数は年々増加傾向に
キーワード: 23 条通報、未治療例、治療中断例、事前調査

ある。当所が令和 4 年 4 月 1 日から同年 7 月 31 日に受理した 23 条通報から精神科未治療例、受

要旨:長野保健所(以下、「当所」と記載)は、長野県でもっとも精神保健福祉法に基づく 23 条通報
診中断例を抽出し、当所所属の精神科医経験のある公衆衛生医師が、事後的に事例を個別に検証す
受理件数が多い保健所であり、かつ通報件数は年々増加傾向にある。当所が令和 4 年 4 月 1 日から同
ることで、通報減少を目指した事業企画の可能性について検討したので報告する。

年 7 月 31 日に受理した 23 条通報から精神科未治療例、受診中断例を抽出し、当所所属の精神科医経
験のある公衆衛生医師が、事後的に事例を個別に検証することで、通報減少を目指した事業企画の可

A.目的
能性について検討したので報告する。

以外の入院数を算出した。

当所の精神保健福祉法の通報対応業務の所管

未治療群については、2 名の当所医師が、精神

市町村は長野市を含め
3 市 4 町 2 村で、その人
A.目的

科的状態像、通報前の有症期間、診察要否判断等
 未治療群については、2 名の当所医師が、精神

口は長野県の約
26%に相当する。一方で、令和 4
 当所の精神保健福祉法の通報対応業務の所管

の精神科的評価を行った。
科的状態像、通報前の有症期間、診察要否判断

市町村は長野市を含め 23
3 市条通報は
4 町 2 村で、その人口
年度に当所が受理した
140 件で、県

等の精神科的評価を行った。
治療中断例については、2 名の当所医師が、状

は長野県の約
26%に相当する。一方で、令和26
4
全体の
33.2%を占めた。当所通報件数は平成

 治療中断例については、2 名の当所医師が、状
態像、治療再開要否、症状悪化の有無・時期、診

年度に当所が受理した
23 条通報は 140 件で、県
年度の
50 件から増加傾向が始まり、令和4年度

態像、治療再開要否、症状悪化の有無・時期、診
察要否判断等の精神科的評価を行った。

全体の 33.2%を占めた。当所通報件数は平成 26
に至って過去最多となった。

察要否判断等の精神科的評価を行った。
被通報者の通報時の精神科的評価を踏まえて、

年度の
件から増加傾向が始まり、令和4年度
令和 550
年度、
当所に 2 名の精神保健指定医と学

2  被通報者の通報時の精神科的評価を踏まえて、
名の医師と健康づくり支援課・精神保健担当職

に至って過去最多となった。
会認定精神科専門医を有する公衆衛生医師
(以下、

員において、通報妥当性の検討、未治療者、治療

「当所医師」と記載)2 名が配属された。今回我々

中断者の通報前介入の可否について検討した。

 令和 5 年度、当所に精神保健指定医と学会認定
精神科専門医を有する公衆衛生医師(以下、「当

2 名の医師と健康づくり支援課・精神保健担当職

員において、通報妥当性の検討、未治療者、治

療中断者の通報前介入の可否について検討した。

は、当所の 23 条通報対応業務が持続可能であり

所医師」と記載)2 名が配属された。今回我々は、

C.結果

続けることを目的として、未治療者、及び治療中

C.結果

断・被通報者の通報時における精神科的評価を当

1)治療状態による区分

1)治療状態による区分

当所の 23 条通報対応業務が持続可能であり続け

ることを目的として、未治療者、及び治療中断・

 治療状態による区分毎の被通報者数、要措置

所医師が行うことで、通報妥当性の検証と、通報

治療状態による区分毎の被通報者数、要措置

被通報者の通報時における精神科的評価を当所

診察数、措置入院数、措置以外の入院数を表1

前での支援・介入の可能性について検討したので

診察数、措置入院数、措置以外の入院数を表1

報告する。
前での支援・介入の可能性について検討したの

に示す。

医師が行うことで、通報妥当性の検証と、通報

に示す。

表 1 被通報者の治療区分と区分毎の対応状況

で報告する。

B.方法
B.方法

令和 44年
日までの間で当
 令和
年44月
月11 日から
日から 77 月
月 31
31 日までの間で当

所が受理した
人を対象
所が受理した23
23 条通報の被通報者
条通報の被通報者 50 人を対象
とした。
とした。
2)未治療群の通報時における精神科的評価
2)未治療群の通報時における精神科的評価

 2
名の当所医師が、当該期間の 23 条通報につ
2 名の当所医師が、当該期間の
条通報につ
いて、当所作成の「通報等の基づく措置診察要
いて、当所作成の「通報等の基づく措置診察要否

 当所医師による精神科的評価を表2に示す。
当所医師による精神科的評価を表2に示す。

否に係る調査」、警察からの「精神障害者等の保
に係る調査」、警察からの「精神障害者等の保護

3)中断群の通報時における精神科的評価

護に関する通報書」をもとに、被通報者の治療
に関する通報書」をもとに、被通報者の治療状態

 当所医師による精神科的評価を表3に示す。

状態を未治療群、治療中断群、治療中群の 3 群
を未治療群、治療中断群、
治療中群の 3 群に区分

D.考察

に区分し、それぞれの要措置診察数、措置入院数、

1)医療必要性からみた 23 条通報の妥当性

措置以外の入院数を算出した。

 当所で受理した 23 条通報 50 件中、措置入率

し、それぞれの要措置診察数、措置入院数、措置

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信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

たケースも見られた。
催が必要と考えられた。
本人、家族の相談行動を促すため、相談窓口の

表 2 未治療群の通報時の当所医師による精神科的評価

たケースも見られた。

3)治療中断群についての検討
広報を行うことが重要である。また、相談を受け

本人、家族の相談行動を促すため、相談窓口の

 治療中断群は通報件数の
24.0%を占め、要措置
た機関が孤立せず、他機関と連携して質の高い支

広報を行うことが重要である。また、相談を受け

診察率は
100%、要医療率は
75.0%であった。医
援提供ができるよう、
定期的な検討会開催が必要

た機関が孤立せず、他機関と連携して質の高い支
と考えられた。
援提供ができるよう、
定期的な検討会開催が必要
が望まれた事例は
2 例あったが、その他は治療継
療と保健の連携で早急な医療再開を目指すこと

と考えられた。
続を患者の自己決定に任せることが適当と判断
3)治療中断群についての検討

される事例が多数を占めた。自傷他害も精神症

治療中断群は通報件数の 24.0%を占め、
要措置

3)中断群の通報時における精神科的評価

3)治療中断群についての検討
状に起因するものだけでなく、状況依存性、反

診察率は 100%、要医療率は 75.0%であった。医

当所医師による精神科的評価を表3に示す。
3)中断群の通報時における精神科的評価

応性に出現したものも多々見られた。医療・保
治療中断群は通報件数の 24.0%を占め、
要措置

表 3 治療中断群の通報時の精神科的評価

療と保健の連携で早急な医療再開を目指すこと

健連携で治療再開を支援することでの通報件数
診察率は 100%、要医療率は 75.0%であった。医

当所医師による精神科的評価を表3に示す。

が望まれた事例は 2 例あったが、その他は治療継

減少を目指すことは困難と考えられた。
療と保健の連携で早急な医療再開を目指すこと

続を患者の自己決定に任せることが適当と判断
4)措置診察要否判断妥当性について
が望まれた事例は 2 例あったが、その他は治療継
される事例が多数を占めた。自傷他害も精神症状
 今回の未治療群、治療中断群における当所職

続を患者の自己決定に任せることが適当と判断

に起因するものだけでなく、状況依存性、反応性
員と当所医師の要措置診察判断一致率は
78.2%で

される事例が多数を占めた。自傷他害も精神症状

に出現したものも多々見られた。医療・保健連携
あり、精神科医の立場で職員判断は適当と判断

に起因するものだけでなく、状況依存性、反応性

で治療再開を支援することでの通報件数減少を
した。

に出現したものも多々見られた。医療・保健連携

E.まとめ
目指すことは困難と考えられた。

で治療再開を支援することでの通報件数減少を

 警察官による 23 条通報は現状、適切に行われ

は 50.0%、要医療率は 72.0%にも及ぶ。演者が

目指すことは困難と考えられた。

ており、その減少を目指すにあたっては、未治
3)措置診察要否判断妥当性について

D.考察
他の自治体勤務時に受理した
62 件の 23 条通報
(平成
28 年 4 月 1 日~ 923
月条通報の妥当性
30 日)では、措置
1)医療必要性からみた

D.考察
入院率
9.7%、要医療率でも
22.6%であった。国
当所で受理した
23 条通報
50 件中、措置入院
1)医療必要性からみた
23
条通報の妥当性
1)
は「措置入院の運用に関するガイドライン」

率は 50.0%、要医療率は 72.0%にも及ぶ。演者
当所で受理した 23 条通報 50 件中、措置入院
示し、措置対応業務の全国平準化を図っており、
が他の自治体勤務時に受理した 62 件の 23 条通
率は 50.0%、要医療率は 72.0%にも及ぶ。演者
単純比較は行えないものの、当所管内警察署の
報(平成 28 年 4 月 1 日~9 月 30 日)では、措置
が他の自治体勤務時に受理した
62 件の 23 条通
23
条通報運用は適正に行われていることが確認
入院率 9.7%、要医療率でも 22.6%であった。国
できた。
報(平成 28 年 4 月 1 日~9 月 30 日)では、措置
は「措置入院の運用に関するガイドライン」1)を
2)未治療群についての検討
入院率 9.7%、要医療率でも 22.6%であった。国
示し、措置対応業務の全国平準化を図っており、
 未治療群は通報件数の
22.0%を占め、要措置診
1)を
は「措置入院の運用に関するガイドライン」
単純比較は行えないものの、当所管内警察署の
察率は
81.8%、要医療率は 81.8%と高い。自傷他
示し、措置対応業務の全国平準化を図っており、
23 条通報運用は適正適性に行われていることが
害で事件化する前の医療接続が望まれる。事件

単純比較は行えないものの、当所管内警察署の
確認できた。
23
条通報運用は適正適性に行われていることが
2)未治療群についての検討

前の相談は 3 件で、相談内容は事件を来した精

神症状に関連するものであった。7 件は相談行動

確認できた。

療群の事前介入を目指した事業に時間と人員を
今回の未治療群、治療中断群における当所職員

3)措置診察要否判断妥当性について
傾注すべきと考えらえた。
と当所医師の要措置診察判断一致率は 78.2%で

今回の未治療群、治療中断群における当所職員
F.利益相反
あり、精神科医の立場で職員判断は適当と判断し

と当所医師の要措置診察判断一致率は 78.2%で
 利益相反なし。
た適切であった。

G.文献
あり、精神科医の立場で職員判断は適当と判断し
1)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通
た適切であった。

E.まとめ

知:
「措置入院の運用に関するガイドライン」

警察官による 23 条通報は現状、適切に行われ
平成 30 年.
E.まとめ
ており、その減少を目指すにあたっては、未治療
警察官による 23 条通報は現状、適切に行われ
群の事前介入を目指した事業に時間と人員を傾
ており、その減少を目指すにあたっては、未治療
注すべきと考えらえた。

群の事前介入を目指した事業に時間と人員を傾
注すべきと考えらえた。
F.利益相反

未治療群は通報件数の
22.0%を占め、要措置診
なく、10
年来の異常言動が周囲の忍耐で続いて

利益相反なし。
F.利益相反

 本人、家族の相談行動を促すため、相談窓口

利益相反なし。
G.文献

他害で事件化する前の医療接続が望まれる。
事件
症状に関連するものであった。7 件は相談行動な
受けた機関が孤立せず、他機関と連携して質の

1)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通
G.文献
知:「措置入院の運用に関するガイドライン」平

症状に関連するものであった。7 件は相談行動な

1)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通

30 年.
知:「措置入院の運用に関するガイドライン」平

く、10 年来の異常言動が周囲の忍耐で続いてい

成 30 年.

2)未治療群についての検討
察率は 81.8%、要医療率は 81.8%と高い。自傷
いたケースも見られた。
未治療群は通報件数の 22.0%を占め、
要措置診
他害で事件化する前の医療接続が望まれる。
事件
察率は 81.8%、要医療率は 81.8%と高い。自傷

前の相談は 3 件で、相談内容は事件を来した精神
の広報を行うことが重要である。また、相談を

前の相談は
3 件で、相談内容は事件を来した精神
高い支援提供ができるよう、定期的な検討会開
く、10 年来の異常言動が周囲の忍耐で続いてい

55

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. ...

この論文で使われている画像

参考文献

知:「措置入院の運用に関するガイドライン」平

症状に関連するものであった。7 件は相談行動な

1)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通

30 年.

知:「措置入院の運用に関するガイドライン」平

く、10 年来の異常言動が周囲の忍耐で続いてい

成 30 年.

2)未治療群についての検討

察率は 81.8%、要医療率は 81.8%と高い。自傷

いたケースも見られた。

未治療群は通報件数の 22.0%を占め、

要措置診

他害で事件化する前の医療接続が望まれる。

事件

察率は 81.8%、要医療率は 81.8%と高い。自傷

前の相談は 3 件で、相談内容は事件を来した精神

の広報を行うことが重要である。また、相談を

前の相談は

3 件で、相談内容は事件を来した精神

高い支援提供ができるよう、定期的な検討会開

く、10 年来の異常言動が周囲の忍耐で続いてい

55

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

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