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大学・研究所にある論文を検索できる 「DNA based Photo-controllable Extracellular Matrix-like Scaffolds to Understand and Control Cell Behaviour」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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DNA based Photo-controllable Extracellular Matrix-like Scaffolds to Understand and Control Cell Behaviour

Sethi, Soumya 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23726

2022.03.23

概要

細胞外マトリックス(ECM)は、細胞の物理的な足場として機能するだけでなく、形態形成、分化、移動などの多くの細胞機能発揮のために重要である。ECMは特徴的な細胞成分で構成されており、細胞に動的で可逆的に調節されている。ECMを模倣した細胞材料は、細胞の効率よい培養など再生医療にとっても重要な素材である。本研究ではアゾベンゼンを含む光スイッチをもつDNAを用いて、光照射で長さを調節可能なD NAを基盤としたECMを新たに開発した。これらの光照射により制御可能なDNAを基盤としたECMは、光照射に忠実に応答するため、細胞の挙動をコントロールするのに役立つ大きな可能性がある。今回、申請者はDNAナノテクノロジーを使用して、1)リガンド間隔(細胞接着ペプチド距離)を可逆的に制御するDNAポリマー、2)マトリックス剛性の変化を可逆的に制御する3次元DNAナノチューブ、の2つの異なるタイプのECMを設計した。これらのDNAを基盤とする2つのECMは、細胞形態を制御でき、細胞とECMとの相互作用について洞察を与え、光刺激に応答する新しい細胞培養の基質として使用できることが示された。

1. 光制御可能な DNA を基盤とした ECM を利用した細胞形態の調節
細胞外 ECM は、動的で可逆的な環境を提供する。細胞が形態形成、修復および分化を受けているとき、時空間での解像度の制御が必要となる。このような制御は、細胞プロセスをより良く理解するのに役立ち、試験管内での細胞機能の正確な操作を可能にする。ここでは、アゾベンゼンを含む光スイッチをもつ DNA を用いて、光照射により接着ペプチド間の空間距離を調節した。合成したアゾベンゼンを含む光スイッチをもつ DNA は、伸長した状態と収縮した 2 つの異なる構造を可逆的に形成することが AFM で確認された。そこで、HeLa とヒト間葉系幹細胞を使用して、RGD ペプチドで標識された光応答性 DNA ポリマーの効果を調べた。その結果、光照射によって可逆的に細胞の形態変化を引き起こすことを見出した。光制御可能な ECM は、細胞形態形成、組織修復、癌転移、細胞分化などの多くの重要な現象を理解するためのツールとして使用できる。さらに上記の現象は細胞間相互作用を考える上で重要な知見を与え、 ECM の細胞に対する効果を理解する上で重要なツールとなることが示唆された。

2. 細胞挙動の制御を目的とした剛性を調節可能な光制御 DNA ナノチューブ
細胞の挙動は、リガンドの間隔、ECM の剛性などの細胞外環境によって決定される。
2 番目の ECM の剛性の変化は、創傷治癒、腫瘍形成、発達などの多くの生物学的プロセスで起こることが指摘されている。ここでは、HeLa 細胞を用いて DNA ナノチューブの剛性の変化による細胞への効果を調べた。その結果 UV および VIS 照射によって剛性を変えた DNA ナノチューブは、HeLa 細胞の細胞形態を、多数の糸状仮足を伴う長い紡錘形の形態から、押し出しのような糸状仮足の量が少ないコンパクトな円形の形態に変化させることが示された。このような光制御できる ECM は、剛性のわずかな変化によって引き起こされるため、細胞と ECM との相互作用を知る上で重要な知見を与える。この光制御可能な可逆的 DNA ナノチューブで作られた ECM は、多くの疾患の病態生理学の初期段階を理解するのに役立つ可能性がある。