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大学・研究所にある論文を検索できる 「Design and Synthesis of Oligoarylenes for Highly Efficient Organic Light-emitting Devices」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Design and Synthesis of Oligoarylenes for Highly Efficient Organic Light-emitting Devices

Yoshii Asami 東北大学

2020.03.25

概要

第 1 章.序論
第 1 章では,研究背景である有機発光デバイスの歴史が俯瞰され,本博士論文研究でのオリゴアリーレンを用いた設計合成の学術的位置付けと重要性が概説されている.有機材料からの発光は,アントラセン単結晶からの電界発光を端緒とし,薄膜ダイオード構成による安定動作がもたらされることで,有機発光デバイス(OLED)としての注目が高まった.その後,薄膜内での機能を分離・分配する多層構成,さらに発光材料の工夫により,発光効率が格段に向上してきた.その結果,現代の OLED は,電子輸送層,正孔ブロッキング層,発光層,正孔輸送層を中心に複数の分子材料が積層された多層構成と,リン光を発する発光材料を用いることで内部量子収率が100%に及ぶ高効率発光を実現している.一方,ごく最近,OLED の新しい材料として大環状芳香族炭化水素分子が登場した,OLED デバイス構成を単純化せしめた.大環状芳香族炭化水素分子を基盤材料とすると,発光材料を数%埋め込んだだけの単層構成で 100%に迫る内部量子収率が実現された.この新しい発見を理解し,最大限に活用するためには,分子構造とデバイス特性の構造活性相関研究が必須となる.この考察が,本博士研究の基盤をなしている.

第 2 章:青色有機発光デバイスのホスト材料を指向したシクロメタフェニレンの周縁部設計
第 2 章では,周縁部にトリフルオロメチル基を導入した[n]シクロメタフェニレン([n]CMP)の設計合成,およびその青色リン光有機発光デバイスのホスト材料としての活用について述べられている.5CH3-[5]CMP は,緑色発光 OLED のホスト材料として優れていたが,青色発光 OLED での性能に劣っていた.本章では,周縁部にトリフルオロメチル基をもつ 5CF3-[5]CMP の設計合成により,青色発光 OLED の発光効率向上を実現した結果がまとめられている.また類縁体間で,結晶構造,励起三重項エネルギー,発光効率の比較を行うことで,CF-π 接触による分子充填が青色発光 OLED に有効であることを明らかにしている.

第3 章:単層構造OLED の基盤材料となる置換型シクロメタフェニレンのモジュール合成法の確立
第 3 章では,[n]CMP の周縁部への置換基導入のための,汎用的な合成手法の開発とその手法を活用した単層構成 OLED の新規材料分子の開発が述べられている.本章では,まず無置換[n]CMP を周縁部特異的にホウ素化する手法を開発している.さらにホウ素化[n]CMPに,鈴木-宮浦クロスカップリング反応により,多様な置換基を導入する手法を開発した.

その結果,トリル基やキシリル基などのかさ高い置換基を周縁部に導入した[n]CMP の高効率合成法を確立した.これらの分子はいずれも単層構成 OLED の基盤材料として優れた性能を示し,とくに[5]CMP 周縁にトリル基を導入した誘導体を用いることで,デバイス内部での光子生成効率,内部量子収率がほぼ100%という高い値を実現した.

第 4 章:円偏光 OLED の発光材料となりうる大環状クリセン分子の光学特性解析
第 4 章では,筒状オリゴアリーレンの特異なキラリティが,強い円偏光発光をもたらすことが述べられている.本章の研究対象である[4]シクロ-2,8-クリセニレン([4]CC)は,カーボンナノチューブの部分構造をもつ分子であり,筒状構造上の面性不斉という新しいキラリティを有していた.本章では,(P)/(M)-(12,8)-[4]CC が,80%という高い発光量子収率(Φ)を有することを明らかにした.さらにその発する光の円偏光特性を評価したところ,異方性因子(|glum|)がこれまで有機分子で記録された最大値 0.152 を示すことを発見した.さらにこの優れた特性は筒状環電流が生じるためであることを明確にしている.

第 5 章:単層構造 OLED の応用に向けた直鎖型メタフェニレンの開発
第 5 章では,環状オリゴアリーレンの特性研究を土台とし,機能性直鎖型オリゴアリーレンの新設計について述べられている.オリゴアリーレンを広汎かつ大量に合成せしめる合成戦略を確立し,一連の直鎖型オリゴアリーレンの合成を行った.さらにオリゴアリーレンの構造を環状から直鎖とすることで,溶解度が目覚ましく向上すること,さらに有機発光デバイスの基盤材料として必要な基本特性を損なわないことを見いだしている.この知見を基に,とくに塗布型 OLED 基盤材料としての評価を行い,優れた性能を示す可能性を明らかにした.

第 6 章:総括
第 6 章は,本博士論文の総括である.OLED に活用可能な機能性材料としてのオリゴアリーレンの特性・特徴がまとめられている.オリゴアリーレンを基本とすることで,基盤材料や偏光発光材料という多岐に亘る機能性を設計できることが述べられている.さらに,これまで環状体を中心に展開してきたオリゴアリーレン材料研究において,今後,直鎖型分子が新機軸として注目し得ることが見いだされた.本研究結果に基づき,オリゴアリーレン材料の新しい展開に期待できることが述べられている.

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