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大学・研究所にある論文を検索できる 「兼業化が中国の稲作生産性に及ぼす影響―中国統計局出典のパネルデータによる分析―」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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兼業化が中国の稲作生産性に及ぼす影響―中国統計局出典のパネルデータによる分析―

薛 睿 東北大学

2022.02.28

概要

【目的】
中国の稲作生産の今日的特徴は、自然災害による被害額が高いこと、収益性が低いこと、農業従業者が高齢化していることである。このほか、いわゆる米中貿易戦争の影響による食料安全保障問題が近年の重要課題となっている。一方、経済社会の発展に伴い、稲作農家の兼業化が顕著となり、2016年の兼業農家割合は61%にまで上昇した。兼業化は農外所得の獲得を通じて農家所得の増加をもたらすが、一般的には稲作生産性を低下させると考えられる。
したがって、本研究では、近年の中国における稲作生産性がどのような状況にあるか、そして兼業の深化が稲作生産性にどのような影響を与えているのかを検討する。

【方法】
本研究では、二段階の推定モデルを用いて、中国の稲作農家の生産効率を測定し、兼業化が稲作生産性に与える影響を分析する。
第一段階では、DEA-based Malmquist法を用いて、2008年から2018年までの11年間を対象に、中国の米の主産地である21の省•市と地域のパネルデータを用いて、稲作生産性(TFP)を測定する。
第二段階では、第一段階の推定で得られたTFPを被説明変数に、そして兼業率などを説明変数とするTOBITモデルを推計する。

【分析結果】
第一段階の推測結果から、2008年から2018年にかけて、中国における稲作生産性(TFP)はU字型を示した。稲作TFPは2008年から2013年まで継続的な減少傾向を示し16. 28%減少した。その後、稲作TFPは2013年から2018年にかけて8.31%上昇し回復している。ただし、未だに2008年の最高水準まで回復していない。
第二段階の推計結果から、兼業率( 農家の農外収入が総収入に占める割合) は 1%有意水準で稲作TFPに負の影響を与えている。2008年から2018年までの11年間で中国稲作農家の兼業の深化は稲作生産性を低下させたと考えられる。

【結論】
中国における稲作TFPはU字型の変化を示し、中国の稲作農家による兼業経営は稲作生産性を低下させたと考えられる。兼業農家の視点から見ると、農外収入の増加は農業生産要素の投入を減らす可能性があり、また稲作生産管理が杜撰になって生産性が低下していくと推察した。
中国における兼業経営の割合はまだ増加傾向を示している。ゆえに、兼業化による農業労働力不足や生産資材の投入不足に注意する必要があると考えられる。食料安全保障の観点からコメの自給率の低下を抑制させるためには、農業生産と出稼ぎ賃金の格差を縮小するように稲作収益性を高める施策が必要である。

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