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大学・研究所にある論文を検索できる 「実行機能向上を目指す看護プログラムの再入院中の統合失調症者に対する実行可能性の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

実行機能向上を目指す看護プログラムの再入院中の統合失調症者に対する実行可能性の検討

田野, 将尊 筑波大学

2023.09.04

概要



〇論文題目







実行機能向上を目指す看護プログラムの再入院中の統合失調症者に対す
る実行可能性の検討

〇指導教員

人間総合科学研究科看護科学専攻

(所

属)

(氏

名)

水野 道代

教授

筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学専攻(博士後期課程)

田野

将尊



的:
実行機能とは「人が環境の中で目的に向かって行動するために必要な意思決定、計画、

実行および修正を実現する一連の認知機能」である。統合失調症者の中核的な病態は認知
機能障害であり、再発を繰り返すことで機能が低下することも報告されている。統合失調
症者が自身の希望する地域生活を送るためには、認知機能の中でも実行機能がスムースに
働く必要があり、統合失調症者の実行機能向上のための看護が必要であると考えられる。
これまで認知機能改善プログラムは多数開発されているが、実施回数や内容量が多く精神
科救急・急性期病棟での実施の困難さが指摘されている。そこで本研究では、再入院した
統合失調症者の実行機能を高める看護プログラムを作成し、精神科救急・急性期病棟に再
入院した統合失調症者に実践して臨床での実行可能性を明らかにすることを目的とした。
対象と方法:
2 施設 3 病棟の精神科急性期治療病棟に再入院した統合失調症者 8 名を対象に実行機能
を高める看護プログラムを実施し、前後に調査を行った。 看護プログラムは、統合失調症
者の日常生活上で問題が生じた際に解決するために働く実行機能の向上に焦点を当てて作
成 し た 。実 行 機 能 の 要 素 に 着 目 し 、
「 地 域 生 活 の 課 題 の 問 題 提 起 」、
「 目 標 設 定 」の 能 力 向 上 、
「 計 画 立 案 」 の 能 力 向 上 、「 計 画 実 行 」 お よ び 「 効 果 的 行 動 」 の 能 力 向 上 、「 看 護 プ ロ グ ラ
ム全体 および 自信 の評 価」を目 的とし て全 5 ステッ プで構 成し た。計画や 行動を 声に 出し
て自分に言い聞かせ問題解決への意識を高める自己教示訓練、一つひとつの動作を具体的
手順に細分化し問題解決の手段を獲得していく問題解決訓練、訓練や評価の言語化・自己
教示の反復により思考を変更させる自己洞察訓練を取り入れ、統合失調症者の希望や目標
を最優先として地域生活で改善を望む課題を取り上げ、準備を細分化し、実施可能な訓練
の 計 画 ・ 実 行 を 1 週 間 に 1~ 2 回 、 1 回 30~ 60 分 、 個 別 で 実 施 し た 。 調 査 項 目 は 、 基 本 属
性として年齢、性別、教育背景などの情報を収集し、実行機能は統合失調症認知機能簡易
評 価 尺 度 日 本 語 版 (BACS-J)、メ タ 認 知 は ベ ッ ク 認 知 的 洞 察 尺 度 日 本 語 版 (BCIS-J)、計 画 立
案・修 正 能 力 は 慶 應 版 ウ ィ ス コ ン シ ン カ ー ド ソ ー テ ィ ン グ テ ス ト F-S version(WCST-KeioF-S version)、 日 常 生 活 上 の 行 動 は 精 神 障 害 者 社 会 生 活 評 価 尺 度 の Daily Living/ 日 常 生
活 (LASMI-D)を 用 い て 測 定 し た 。 分 析 は 、 ウ ィ ル コ ク ソ ン の 符 号 順 位 検 定 に て プ ロ グ ラ ム
実施前後の得点比較を行った。


果:
対 象 者 は 男 性 3 名 、 女 性 5 名 、 平 均 年 齢 51.5 歳 で あ っ た 。 看 護 プ ロ グ ラ ム 実 施 前 後 の

BACS-J の Z-Score は 、 今 回 最 も 着 目 し て い る 指 標 で あ る 実 行 機 能 が 実 施 前 平 均 -0.95 点 、
実 施 後 平 均 -0.34 点 で あ り 、 実 施 後 得 点 が 有 意 に 上 昇 し 効 果 量 r も 大 き か っ た (Z=2.03,
p=.043, r=.72)。 ま た 、 複 合 ス コ ア は 実 施 前 平 均 -2.68 点 、 実 施 後 平 均 -2.14 点 で あ り 、 実 施
後 得 点 が 有 意 に 上 昇 し 効 果 量 r も 大 き か っ た (Z=2.20, p=.028, r=.83)。各 認 知 ド メ イ ン で は 、
言 語 流 暢 性 (Z=2.03, p=.043, r=.72)、 注 意 と 情 報 処 理 速 度 (Z=2.10, p=.036, r=.74)の 実 施 後 得
点 が 有 意 に 上 昇 し 効 果 量 r も 大 き か っ た 。 BCIS-J、 WCST-Keio-F-S version、 LASMI-D
は、看護プログラム実施前後で有意な変化は認めなかったが効果量 r は中程度から大であ
った。



察:
看護プログラムを実施し前後の得点を比較したところ、実行機能を含む認知機能の評価

に 用 い た 指 標 で あ る BACS-J の『 実 行 機 能 』
『総合スコア』
『注意と情報処理速度』
『言語流
暢 性 』 に 高 い 効 果 量 で 有 意 な 上 昇 が 認 め ら れ 、 先 行 研 究 の BACS-J 評 価 基 準 値 よ り 各 機 能
が改善されたと考えられた。自己教示訓練や自己洞察訓練により問題解決への意識や認識
が高まり、問題解決訓練の規則に沿って計画の細分化を行うことで「目標設定」や 「計画
立案」の能力が強化されたと考えられる。また、具体的な計画立案により「計画実行」を
円 滑 に し 、「 効 果 的 な 行 動 」 の 能 力 強 化 に 繋 が っ た と 考 え ら れ た 。 BCIS-J、WCST-Keio-F-S
version、LASMI-D は 、看 護 プ ロ グ ラ ム 実 施 に よ る 効 果 量 r が 中 程 度 か ら 大 で あ る こ と が 確
認された。これらのことより、看護プログラムにより実行機能や認知機能が 向上し、メタ
認知や思考の柔軟性、日常生活上の行動は改善傾向にあると考えられ、再入院中の統合失
調症者に対する実行可能性が示された。


論:
実行機能を高める看護プログラムの実施により精神科急性期治療病棟に再入院した 8 名

の 統 合 失 調 症 者 の BACS-J の 『 実 行 機 能 』 に 上 昇 が 認 め ら れ 、 再 入 院 中 の 統 合 失 調 症 者 に
対する実行可能性が示唆された。 ...

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