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大学・研究所にある論文を検索できる 「Taurine exhibits an apoptosis-inducing effect on human nasopharyngeal carcinoma cells through PTEN/Akt pathways in vitro」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Taurine exhibits an apoptosis-inducing effect on human nasopharyngeal carcinoma cells through PTEN/Akt pathways in vitro

HE FENG 三重大学

2021.01.05

概要

Introduction
上咽頭癌は、中国南部に多い頭頸部腫瘍であり、Epstein・Barrウィルス感染や深境化学物質、民族的背呆などが発症に重要な役割を果たす。新規の予防・治療戦略を見出すことが急務である。タウリン(2・アミノエタンスルホン酸)は、すべての哺乳類組織で広く発現している天然アミノ酸である。タウリンは、抗炎症、抗酸化、血糖降下など種々の作用の報告がある。また、抗腫瘍効果がいくつか報告されている。我々は上咽頭癌細胞に対する抗腫瘍効果と、その作用機構について検討する。

Methods
ヒト由来培蓑細胞(上咽頭癌細胞HKl、HKl・EBV;正常不死化細胞NP460)を用いて、タウリン(0-32mM)で処理し、以下の解析を行った。MTTアッセイによる細胞の増殖解析、コロニー形成試験、フローサイトメーターによるアポトーシス解析を行った。また、細胞からタンパク質を抽出し、ウェスタンプロット法により、アポトーシス関連分子および作用機構に関わる分子について定蘊解析した。GraphPadPrism5ソフトウェアを使用し、one・wayANOVAとTukeyポストホック解析を行い、有意水準5%未満を有意差ありとした。

Results
1) タウリンの上咽頭癌の細胞増殖抑制作用
上咽頭癌細胞(HKl細胞、HKl・EBV細胞)に対し、タウリンは24時間あるいは48時間処理で有意に高い細胞増殖阻害率を示した。一方、正常細胞(NP460)では72時間処理で初めて有意な細胞増殖阻害が認められた。以降の実験については、正常細胞では有意差が認められず、癌細胞で有意な増殖抑制が認められた48時間処理について検討した。

2) タウリンの上咽頭癌のコロニー形成抑制作用
平板プレートを用いたコロニー形成試験により、コロニー数をカウントした。16mMおよび32mMのタウリン処理により、HKl細胞およびHKl・EBV細胞でコロニー数はコントロール条件(OmM)に比べ有意に少なかった。

3) タウリンは上咽頭癌細胞にアポトーシスを誘導する
Annexin V and Dead Cell assay kitを用いて、フローサイトメーターによりアポトーシスを解析した。HKl細胞およびHKl-EBV細胞において、16mMおよび32mMのタウリン処理により、コントロール条件(omM)と比較して有意にアポトーシス率が増加した。

4) タウリンは上咽頭癌細胞のアポトーシス関連タンパク質の発現に影評する
ウェスタンブロット法により、アポトーシス関連タンパク質として、アポトーシス抑制迫伝子Bcl・xLおよびアポトーシス促進迫伝子Baxのタンパク質を解析した。HKl細胞、HKl-EBV細胞ともに16mM以上のタウリン処理でBcl・xLは有意に減少し、Baxは有意に増加した。また、切断型カスパーゼ9とカスパーゼ3が有意に上昇したことから、ミトコンドリアが関与するアポトーシスであることが示唆された。また、小胞体(endoplasmic reticulum, ER)シャペロンGRP78がタウリン処理により有意に上昇することを確認しており、小胞体ストレス関連アポトーシスの可能性も示された。

5) タウリンは上咽頭癌細胞のPTEN/Akt経路に作用する
PTENとその下流のp53およびリン酸化Aktをウェスタンブロット法により解析した。PTENおよびp53はタウリン処理により有意に上昇し、リン酸化Aktは有意に減少した。輿味深いことに、正常細胞NP460ではタウリンによるPTEN、p53およびリン酸化Aktへの有意な影態は認められなかった。

Discussion
本研究により、上咽頭癌細胞に対するタウリンの抗腫瘍効果が明らかになった。タウリンが上咽頭癌細胞株の増殖とコロニー形成を用菌および時間依存的に有意に阻害した。さらに重要なこととしてタウリンは不死化上皮細胞株NP460の生存率を癌細胞株と比較して大幅に低下させないことが示された。化学予防剤は正常細胞への毒性作用を最小限に抑えながら癌細胞を排除できるものが理想的であり、タウリンはその可能性がある。

本研究においては、正常な上咽頭細胞株NP460で抗アポトーシスまたはアポトーシス誘導効果のいずれも認められなかった。タウリンの相対する効果の理由を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。本研究は、タウリンがHKlおよびHKl-EBV細胞の生存率を低下させ、濃度依存的にアポトーシスを誘導できるが、NP460細胞には影態がないことを示した。高濃度のタウリン(16mMおよび32mM)で処理された細胞は、未処理の細胞と比較して有意に高いアポトーシス率を示し、タウリンがHKlおよびHKl-EBV細胞のアポトーシスを用量依存的に促進することを明らかにした。これは、タウリンは上咽頭癌治療の潜在的な候補薬剤であることが示唆された。

本研究では、タウリンがアポトーシス促進性Baxのレベルを増加させ、抗アポトーシス性Bcl・xLのレベルを減少させることができることを示した。タウリンが切断型のカスパーゼ9およびカスパーゼ3を大幅に増強できることを示し、アポトーシスのミトコンドリア経路が、HKlおよびHKl-EBV細胞におけるタウリン誘導アポトーシスに関与していることが示唆された。

PTENは重要ながん抑制因子であり、Aktシグナル伝達経路の負の調節因子である。PTENの細胞機能には、増殖、遊走、アポトーシス、などの調節が含まれる。Aktのリン酸化は、BaxおよびBcl・xLを含む下流の基質を調節することにより、抗アポトーシス効果を発揮する。さらに、以前の研究では、上咽頭癌細胞株および上咽頭癌組織におけるPTENの発現が低いことが明らかになっている。本研究の結果は、PTENタンパク質の発現がタウリン治療後に増加したことを示す新しい証拠を提供した。PTEN発現の上昇は、p53発現の増加と関連し、Aktリン酸化を減少させた。以上より、上咽頭癌細胞におけるタウリンの抗腫癖効果は、PTENIAktシグナル伝達経路を介していることが示唆された。本研究は、上咽頭癌患者の新しい治療法の基礎を提供すると考えられる。

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