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大学・研究所にある論文を検索できる 「20年間の高時間分解能GNSSデータに基づく東海地方の長期及び短期スロースリップの時空間発展に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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20年間の高時間分解能GNSSデータに基づく東海地方の長期及び短期スロースリップの時空間発展に関する研究

坂上, 啓 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k22874

2021.01.25

概要

沈み込み帯の地震発生域周辺では、測地観測によってスロースリップイベント(SS E)と呼ばれる非地震性のゆっくりとした断層すべりが観測されている。南海トラフ沈み込み帯の東端部にあたる東海地方においては、GNSS連続観測等の地殻変動観測により数ヶ月以上の時定数を持つ長期的SSEと数日から1週間程度の時定数を持つ短期的SSEが発生していることが知られてきた。東海地方のSSEに関する先行研究では、長期的SSEの解析はGNSS、短期的SSEの解析は傾斜計・歪計のデータが用いられることが多く、すべり域の推定においても個々の研究で異なった手法が用いられており、長期間にわたって同一の手法で解析されてこなかった。本研究では、1997年から2017年に観測された複数機関のGNSSデータを独自に統合して解析し、東海地方の21年間の地殻変動の時空間分布を明らかにすることが試みられた。具体的には、観測されたGNSS時系列から東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動などの東海地方の沈み込み帯のプレート間相互作用以外に起因する地殻変動を補正し、モンテカルロ混合カルマンフィルター(MCKMF)を用いてプレート間すべりの時空間発展を推定した。

その結果、2000年9月から2005年12月と2013年1月から2015年9月の2つの期間に長期的SSEによるすべりが推定された。これらの長期的SSEは、すべりの開始地点は浜名湖西方の深さ20-25km付近であったが、その後の時間発展は大きく異なっていた。前者のSSEは、開始後1年間で約6cmすべった後、すべり域の中心が北東方向に約40k m移動してさらに数年間継続したのに対し、後者のSSEは、開始後約2年半で6cm程すべったところで終息し、すべり域の移動は見られなかった。また、2つの長期的SSEの間の期間において、SSE発生領域周辺のすべり速度が最初にSSE以前の期間と異なっていたこともわかった。これら長期的SSEのすべりに加えて、長期的SSEよりやや深部の領域において数日から1ヶ月程度の期間で、すべり速度が15-40cm/年へと加速する現象が推定された。このすべり速度の加速は、深部低周波微動・地震と同期しており、走向方向へすべり域が移動するのに伴って微動・地震の震央も移動していることから短期的SSEに対応するものと考えられる。先行研究で推定された1999年以前の固着率も考慮して長期的SSEが発生していない期間を含めて21年間のすべりの収支を考察すると、2013年からの長期的SSEは、すべり速度がプレート間相対運動と同程度のひずみを蓄積も解放もしないイベントであったと解釈され、2000年から2005年の長期的SSEによって解放されたひずみと2005年から2013年まで蓄積された歪みの収支が、2 013年からの長期的SSEのすべり速度を含む規模とすべり域に影響したと考えられる。このことは、SSE発生期間中だけでなく、非発生時のひずみの収支を調べることで、将来発生するSSEの規模や発生領域の予測につながる可能性を示唆するものである。

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