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大学・研究所にある論文を検索できる 「[研究トピックス]飛騨DST共同利用報告 : 彩層プラージュの加熱とジェット」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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[研究トピックス]飛騨DST共同利用報告 : 彩層プラージュの加熱とジェット

北井, 礼三郎 京都大学

2023.04

概要

彩層プラージュの加熱とジェット
我々はプラージュ域の加熱とDynamic Fibrilというジェット現象を、DSTを用いて観測的に
研究している。2022年には、
(1)2022年7月18日-22日の1週間の割り当て期間でHα、CaIIK、CaI8542Åの三吸収線
を用いて、プラージュ域空間スキャン分光観測を実施した。
(2)2022年8月29日-9月2日の1週間の割り当て期間には、プラージュ域の撮像観測を実
施した。
ここでは、(2)のプラージュ域の撮像観測について紹介する。観測はDST二階の水平分
光器室で行った。観測装置配置と観測シーケンスは以下の通りである。水平分光器スリット
モニター面からの反射光を、UTF32フィルターを通してさらに2チャンネルに分けた。この
UTF32フィルターの最終エレメント下流の偏光プリズムによって、異なる波長の像を同時に
別々のカメラで撮影する仕組みである。具体的には、(A)Hα‐0.5ÅとHα+0.5Åの二つの
単色像を100フレームバースト撮像を行い、その後(B)Hαセンター像とHα±1.0Åの二
つの単色像を100フレームバースト撮像し、さらに(C)Hα‐4.0ÅとHα‐5.0Åで同様にバ
ースト撮像することを一つのシーケンスとし、この(A)、(B)、(C)を切り替えつつ1時間程度
の間繰り返す形で連続観測を行った。なお、十分な光量で高速撮像を行うために、AO装
置を介さずに観測を実施した。
撮像観測の目的は、Hα線の撮像から彩層ジェットをとらえ、その活動と光球の粒状班の
変動との相関を調査することである。カメラの分解能は約0.1秒/ピクセルであり、望遠鏡の
理論分解能の約半分としている。
このカメラ、望遠鏡の空間分解能を活かすためにも、撮像したバースト画像からスペック
ルマスキング画像復元手法を用いて、高分解能画像を求めることを方針としている。
以下では、2021年8月27日の観測データの解析について報告する。観測データのダー
クフラット処理、焦点面上のダスト除去を行った後、100フレームバースト画像に対して、一
本・川手のスペックルマスキング画像復元法(天文台技報2013年Vol 1-2)を適用して、画
像回復を実施した。画像回復例を下に示す。左図が画像復元後、右図は100コマ内のベ
ストフレームである。確かに、この手法により、画像の解像度が上昇していることが確かめら
れた。

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なお、今回の解析によって、スペックルマスキング画像回復法は強力ではあるが、観測
条件によってはその効力が得られないことがあることが見えてきた。問題点を挙げると、
(1)スペックルマスキング処理の途上で、大気の擾乱度に指標であるフリードパラメータr0
を求める段階がある。ところが、このr0が異常に大きな値が導出されたり、そもそも導出
されずに、処理が完結しないことが起きた。この原因を調査したところ、撮影シーケンス
画像がそもそも「ぼけた」画像であるときに起きていた。そして、フラット処理では取り切
れなかったスリットモニター上の傷や埃が目立つような画像の場合であった。空間周波
数領域で言うと、本来画像の高周波成分を凌駕するような高周波ノイズ成分が強い場
合に対応していた(下図参照)。

(2)通常のフラット処理で取り切れない細かな暗点・輝点が処理後の画像に残っていた。
従って、フラット処理を更に改善することの必要性が現れてきた。このような画像内の残
存微細汚れは、上記の高周波ノイズの原因ともなりうる。従って、スペックルマスキング
手法を使用する時には、観測時にスリットモニターを撮影する策を避けて、光路を折り
曲げるなどの方策をとるのがよりよいと考えている。たとえば、一階観測室で分光器の
スリットモニター像を撮像するのではなく、収束中のビームを斜鏡で折り曲げてUTF32
フィルターに送るという光路で撮影を行うと、画像上のこの微細な汚れの問題は軽減化
すると期待している。
このスペックルマスキング画像復元法を十全に利用するため、続けて観察・分析・考察を
行う心積りをしている。 ...

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