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大学・研究所にある論文を検索できる 「共有結合型黒鉛層間化合物を用いたリチウム一次電池からの新規電気化学キャパシタの構築」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

共有結合型黒鉛層間化合物を用いたリチウム一次電池からの新規電気化学キャパシタの構築

島袋, 出 シマブクロ, イズル 群馬大学

2021.03.23

概要

近年,環境負荷が小さいとされるハイブリッド自動車や電気自動車の補助電源やエネルギー回生,再生可能エネルギーの電力平準化システムに二次電池や電気化学キャパシタ(Electrochemical capacitors: ECs)などの電気エネルギー貯蔵デバイスが利用されている.二次電池と比較して,ECs は高い出力密度や長期充放電サイクル寿命に優れるが,ECsのエネルギー密度が二次電池と比べて非常に小さいことが課題となっている.高エネルギー密度を有する ECs としてリチウムイオンキャパシタ(Lithium-ion capacitor: LIC)に代表されるハイブリッドキャパシタ(Hybrid capacitors: HCs)が開発されている.HCsは正負極が異なる蓄電原理または異なる電極材料から構築された ECs であり,高い出力密度と高いエネルギー密度を併せ持つ EC である.ECs では主に電極表面にて電荷を貯蔵するため,一般的には高比表面積を有する多孔質炭素が電極材料として用いられる.一方,化学的に脱フッ素化されたフッ化黒鉛(Graphite-Fluoride: GF)は比表面積が小さいにもかかわらず,キャパシタ用炭素電極材料として優れた体積比容量を示すことが明らかにされている. 本研究では, 著者は共有結合型黒鉛層間化合物(Graphite Intercalation Compounds: GICs)を用いたリチウム一次電池の初回放電反応が GF の化学的脱フッ素化反応と類似していることに注目した.GF や酸化黒鉛(Graphite-oxide: GO)などの共有結合型 GICs を用いたリチウム一次電池の初回放電では,正極において GF や GO の電気化学的還元(脱フッ素化・脱酸素化)反応が起こり,炭素と Li 化合物のナノ複合体へと変化する.この放電後正極(電気化学的に還元された GF または GO)への電解質イオンの吸脱着が可能であれば,放電後リチウム一次電池から新規 ECs を構築できることが期待された.したがって,本研究では共有結合型 GICs を用いたリチウム一次電池から新規 ECsが構築できることの実証,およびその高性能化を目的とした.

本論文は 6 章から構成されている.
第 1 章ではECs,ECs 用電極材料について説明し,本論文の目的と構成について述べた.

第 2 章では正極に GF 電極,負極に金属リチウムを用いたフッ化黒鉛リチウム一次電池(GF/Li 電池)から新規 EC であるフッ化黒鉛リチウムキャパシタ(GF/Li キャパシタ)を構築できることを実証した.電気化学的特性評価の結果,GF/Li キャパシタは LIC と同程度のエネルギー密度および出力密度を有することがわかった.また,GF/Li キャパシタの充放電機構について種々の分析法(イオンクロマトグラフィー,誘導結合プラズマ発光分光,電気化学的水晶振動子マイクロバランス分析)を駆使した結果,GF 正極では主にリチウムイオンが吸脱着することによって充放電が行われていることが明らかになった.

第 3 章では,GF/Li 電池およびキャパシタと同様の手法によって,正極に GO 電極,負 極に金属リチウムを用いた酸化黒鉛リチウム一次電池(GO/Li 電池)から新規 EC である酸化黒鉛リチウムキャパシタ(GO/Li キャパシタ)を構築できることを実証した.GF/Liキャパシタや LIC と比較したところ,GO/Li キャパシタの最大体積エネルギー密度は 78Wh/L に達し,GO/Li キャパシタが高いエネルギー密度を有することがわかった.

第 4 章では,GO/Li キャパシタの出力特性を改善するために GO の出発物質黒鉛の形状に注目した.第 3 章において Brodie 法によって合成された GO は出発物質黒鉛の形状をよく維持していることが見出されたため,フレーク状および球晶人造黒鉛から Brodie 法によって調製した 2 種類の粒子形状の異なる GO を用いた.球晶形状を有する GO を用いてもエネルギー密度はほとんど改善できなかったが,高出力密度領域におけるエネルギー密度の減少を抑制できた.したがって,GO/Li キャパシタの出力特性には出発物質黒鉛の種類が影響することが明らかになった.

第 5 章では,黒鉛の酸化処理法ならびに単層カーボンナノチューブ(Single-walled carbon nanotubes: SWCNTs)との複合化に着目して GO/Li キャパシタの高性能化に取り組んだ.Hummers 法によって合成したGO(HGO)からは高い電極かさ密度を有する HGO自立膜電極を作製でき,HGO 自立膜電極を用いることで GO/Li キャパシタのエネルギー密度は 83 Wh/L まで向上した.しかし,GO 電極の内部抵抗は高く,GO/Li キャパシタの出力特性は低いままであった.そのため,HGO と SWCNT の複合自立膜を作製し,GO/Liキャパシタの出力特性の改善に取り組んだ.SWCNT との複合化によって,自立膜電極の電極かさ密度は低下するものの,GO/Li キャパシタのエネルギー密度を低下させることなく,出力特性の改善に成功した.特に SWCNT を 10 wt%複合化した場合(HGO/CNT90電極),GO/Li キャパシタの最大の課題であった出力特性が大きく改善されるだけでなく,エネルギー密度が向上し,最大体積エネルギー密度は 98 Wh/L まで達した.電気化学的インピーダンス分析の結果, SWCNT との複合化の効果は自立膜電極の電子伝導性およびイオン伝導性に関わる内部抵抗が低減されるためであることを見出した.

第 6 章では本研究のまとめについて記述し,総括した.

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