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書き出し

Surgical Outcomes of Common Peroneal Nerve Entrapment Neuropathy Associated with L5 Radiculopathy

石井, 元規 名古屋大学

2023.12.01

概要

主論文の要旨

Surgical Outcomes of Common Peroneal Nerve
Entrapment Neuropathy Associated with L5
Radiculopathy
L5神経根症と関連する総腓骨神経絞扼障害の手術成績

名古屋大学大学院医学系研究科
脳神経病態制御学講座

総合医学専攻

脳神経外科学分野

(指導:齋藤 竜太
石井 元規

教授)

【緒言】
総腓骨神経絞扼障害(CPNE)は、L5 神経根由来の分枝である総腓骨神経(CPN)が腓骨
頭部の遠位で繊維組織や筋膜や筋間中隔によって絞扼されることで生じる疾患であり、
炎症や外傷による神経障害とは異なる病態である。CPNE を生じると、前脛骨筋、長
母趾伸筋、長趾伸筋の筋力低下や、下腿外側から足背の痛みやしびれを呈し、これら
の症状は絞扼部での CPN の神経剥離手術による良好な手術成績が報告されている。
CPNE の中には L5 神経根症の併存もしくは既往歴のある下肢で発症する症例が少
なからず存在する。このような L5 神経根症に関連する下肢で発症した CPNE(CPNER)では、L5 神経根症と CPNE の神経学的症状が酷似しているものの、CPNE 症例の一
部では放射線画像や生理学的検査が陰性であり臨床症状のみに基づいて診断する必要
があることから、L5 神経根症を伴わない CPNE(CPNE-O)と比べて、診断および術後
経過の予測が困難になると考えられる。しかし、CPNE-R の手術成績をまとめた既報
はなく、本研究では CPNE-R の臨床経過と手術成績を CPNE-O と比較して分析した。
【方法】
対象
2015 年 5 月から 2022 年 6 月に手術加療を行った 22 症例中 25 肢の CPNE(3 症例は
両側を別時期に手術)について後方視的に分析した。25 肢を R 群(CPNE-R の下肢)と
O 群(CPNE-O の下肢)に分類した。L5 神経根症の存在は、その症状について腰椎除圧
手術を行い、少しでも改善を得たものと定義した。電子カルテから、年齢、性別、body
mass index(BMI)、糖尿病の有無、左右、発症から手術までの期間、フォロー期間、神
経伝導検査、術後症状改善度(筋力、痛み、しびれ)の情報を収集した。
神経伝導検査
術前神経伝導検査は 25 肢中 22 肢で施行した。運動神経伝導検査は、膝窩部と腓骨
頭尾側で刺激し、短趾伸筋で記録した。複合筋活動電位(CMAP)は、膝窩部での振幅
が 3mV 未満の場合に低下と定義した。腓骨頭をまたがる部位で、CMAP の潜時が 20%
以上減少した場合と、神経伝導速度が 44 m/s 未満の場合を、伝導ブロックありと定義
した。感覚神経活動電位(SNAP)は、記録電極を内果と外果の間の外側 1/3 点におき、
記録電極から 14 cm 近位の長腓骨筋(PL)前方で刺激し、振幅が 7μV 未満の場合に低下
と定義した。
臨床評価
CPN の支配領域に痛みがあり、Tinel 様徴候(末梢神経が絞扼を受けている部位を軽
く叩打すると、その支配領域の痛みや感覚障害が誘発される徴候)が陽性の場合に、
CPNE と診断した。神経症状が 3 か月以上継続している症例を手術適応とした。筋力
の術後改善度は、主治医による前脛骨筋と長母趾伸筋の manual muscle testing(MMT)
に基づいて評価し、完全に回復した場合(MMT グレード 5 相当)を complete improvement、

-1-

術前より部分的に回復した場合を fair improvement、全く回復しなかった場合を poor
improvement と 定 義 し た 。 痛 み と し び れ の 術 後 改 善 度 は 、 症 状 が 消 失 し た 場 合 を
complete improvement、術前より部分的に改善した場合を fair improvement、再発した場
合もしくは全く回復しなかった場合を poor improvement と定義した。術後症状改善率
は、最終フォロー時点での complete improvement と fair improvement の合計の割合と定
義した。
手術手技
手術は全例止血帯なしで局所麻酔下に行った。Tinel 様徴候陽性の位置を中心に PL
の外側に 6cm の皮膚切開を行った。繊維組織と筋膜を切開し、PL の外側で CPN を同
定した。PL 筋膜を、CPN が背側に潜り込む位置で、横方向に切開もしくは切除した。
ほとんどの症例で、この部位の CPN は圧迫を受けて凹んでいる所見を認めた。CPN、
深腓骨神経、浅腓骨神経の周囲を剥離して、十分な神経除圧を確認し、閉創した。
統計分析
IBM SPSS ver. 27.0 を用いて、連続変数は t 検定、カテゴリー変数は Fisher's exact test
を行い、p 値 < 0.05 を統計学的有意とみなした。
【結果】
25 肢(22 症例)のうち、R 群が 15 肢(13 症例)、O 群が 10 肢(9 症例)であった。2 群
間で術前の特徴に有意差を認めなかった(表 1)。発症から手術までの期間は 12 か月以
上と未満で分類し、2 群間に有意差を認めなかった(p = 0.66)。また、術前神経伝導検
査の異常所見率も、全ての項目で 2 群間に有意差を認めなかった(表 2)。術前の筋力
低下は 13 肢で認め、12 肢は MMT グレード 4 で、O 群の 1 肢で MMT グレード 2 であ
った。
術後症状改善率は、筋力については R 群で 88%、O 群で 100%(p=0.62)、痛みについ
ては R 群で 87%、O 群で 80%(p=0.53)、しびれについては R 群で 71%、O 群で 56%
(p = 0.37)であり、どの症状についても 2 群間の有意差を認めなかった(表 3)。痛みに
ついては、全肢で術後に一時的には消失したが、手術後 1 年半から 3 年時点で 4 肢に
再発を認めた。
【考察】
CPNE の発症誘因として、体重減少による脂肪量減少、姿勢や装具による局所負荷、
下肢の外傷や手術、動的要因(足関節や膝関節の繰り返す屈伸運動)、L5 神経根症との
ダブルクラッシュ症候群(1 つの神経が 2 か所で圧迫や損傷を受けた場合、遠位部の病
変において単一病変の場合と比べて障害を受けやすくなる病態)、などが報告されて
いる。CPNE の発症と L5 神経根症は、ダブルクラッシュ症候群として関わりうるほか
にも、L5 神経根症に対する腰椎手術後に下肢筋力が改善したことによって動的要因で

-2-

CPNE の悪化を認めた症例報告がある。ダブルクラッシュ症候群(L5 神経根症と併存
する CPNE)と L5 神経根症の既往のある CPNE は、区別が困難である場合もあり、本
研究ではこれらをまとめて CPNE-R と分類した。CPNE のうちの CPNE-R の割合につ
いての報告は少ないが、既報では 41%、本研究では 60%が CPNE-R であり、従来考え
られているよりも多い可能性がある。
CPNE の術後症状改善率は、筋力について 73%~95%、痛みについて 63%~100%、
しびれについて 50%~68%と報告されており、本研究の結果は既報と同等であった。
手術成績不良のリスク因子として術前経過が長いことが報告されており、特に 12 か
月以上の経過がある場合に筋力の改善が乏しいことが報告されている。CPNE-R では
CPNE-O と比較して診断や手術決定までの期間が長くなりうることが予想されるが、
本研究では 2 群間で術前経過期間に差がなく、2 群で同等に良好な手術成績が得られ
たことに寄与していると考えられた。
本研究の制限として、単一施設での少数症例であったことと、後ろ向き研究であっ
たことがあげられる。CPNE-R の全症例で腰椎手術後に症状の改善を認め、L5 神経根
症がそもそも誤診であった症例はなかったと考えられたが、この結論の妥当性を評価
するためには、L5 神経根症と CPNE を正確に診断し、治療結果を前向きに分析するた
めのプロトコルを作成する必要がある。また、神経学的症状の改善度を正確に評価す
るには、定量的、多角的な臨床スケールを採用する必要がある。
【結論】
本研究では、CPNE-R は CPNE-O と同等に良好な手術結果を示した。L5 神経根症状
のある患者においても、CPNE の合併がないかを丁寧に評価して、適切に診断し、遅
滞なく手術を検討するべきであると考えられた。

-3-

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