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大学・研究所にある論文を検索できる 「モルモット側頭骨内顔面神経障害モデルを用いたInsulin-like growth factor 1による顔面神経麻痺治療の基礎研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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モルモット側頭骨内顔面神経障害モデルを用いたInsulin-like growth factor 1による顔面神経麻痺治療の基礎研究

杉山 元康 山形大学

2020.03.31

概要

背景: 末梢性顔面神経麻痺は、側頭骨顔面神経管内で障害を受けた顔面神経が、浮腫を起こしさらに絞扼されることが病態の一つと考えられている。Bell 麻痺、 Hunt 症候群、外傷性などがその内訳を占める。現在 Bell 麻痺の 10%、Hunt 症候群の 30%、外傷性の 50%が治癒を得られず、後遺症に苦しむ患者も少なくない。新たな救済治療法の開発が望まれる中、顔面神経麻痺動物モデルを用いた基礎研究の報告が散見されるが、臨床病態に即したモデルの作製、正確な運動評価法の確立、有用な薬剤の探求といった課題が残されている。既報のモデルの多くは側頭骨外顔面神経障害モデルであり、病態を十分に反映していないため、末梢性顔面神経麻痺の病態により近い側頭骨内顔面神経障害モデルの作製を試みた。このモデルを用い、坐骨神経再生で有用性が報告されている insulin-like growth factor 1 (IGF-1) を投与し、顔面神経機能回復の過程を検討した。

方法: モルモットの茎乳突孔部の骨を一部削開する新たな工夫を加え、側頭骨内顔面神経障害モデルを作製した。徐放基材を用いて、IGF-1 含有生理食塩水投与群と、生理食塩水のみ投与するコントロール群を各群 6 匹ずつ作製し、障害後 8週まで評価を行った。IGF-1 の治療効果は、閉眼の運動評価、筋電図による電気生理学的評価、免疫組織染色による組織学的評価の 3 項目を評価した。運動評価では、動画撮影による画像解析を用いることで評価の正確性を向上させ、定義した閉眼率から治癒率を算出し、閉眼機能をより定量的に評価した。電気生理学的評価では誘発筋電図検査 (electroneurography: ENoG) 値を、組織学的評価では軸索数を比較した。また、定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を行い、IGF-1受容体の経時的な発現の変化を検討した。

結果・考察: ヒトの末梢性顔面神経麻痺と同様に、側頭骨内における神経絞扼を再現したモデルの作製が可能で、このモデルを用いた検討では、IGF-1 群において、コントロール群と比べ有意な治癒率の改善 (P = 0.014) と、ENoG 値の回復 (P = 0.002)、線形混合モデルを用いた解析における閉眼率の経時的改善 (P = 0.027) を認めた。統計学的有意差は認めなかったが、IGF-1 群において軸索数の増加傾向 (P = 0.484) を認めた。IGF-1 受容体は、障害後 2 日にかけて減少するが、7 日までに増加し、障害後 2 週でも発現していた。IGF-1 は成長ホルモン分泌不全性低身長症などの治療で既に使用が認可されている薬剤であり、今後は顔面神経麻痺に対する IGF-1 のヒトでの臨床応用を視野に、末梢性顔面神経麻痺の病態により近いと考えられる今回確立したモデルを用いて、基礎研究を進める予定である。

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