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大学・研究所にある論文を検索できる 「SIRT3-Mediated SOD2 and PGC-1α Contribute to Chemoresistance in Colorectal Cancer Cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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SIRT3-Mediated SOD2 and PGC-1α Contribute to Chemoresistance in Colorectal Cancer Cells

朴, 正勝 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
 抗癌剤に対する耐性は撤治療の最大の障壁であり、そのメカニズムの解明は極めて重要な課題である。われわれは、抗癌剤に対する耐性獲得に、活性酸素種およびミトコンドリア機能が強く関係していることを報告した。同研究では、抗癌剤耐性を制御する遗伝子の一つとしてSirtuin 3{以下、SIRT3)が示されたが、抗癌剤耐性とSIRT3 の関連を明示した報告はほとんどない。本研究では、大腸癌におけるSIRT3を介した抗癌剤耐性のメカニズムを明らかにすることを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
(方法)
 ヒト大腸癌細胞株(Caco2、HCT116、11T29、SW480)を用いてSIRT3発現と抗癌剤耐性との関係をin vitro で評価した。抗癌剤として、大腸癌治療のキードラッグである5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、SN-38 (イリノテカンの活性代謝物)を用いた。R0S誘導剤として過酸化水素水(以下、H202)、ROS拮抗剤としてN-アセチルシステイン(以下、NAC)を用いた。SIRHとミトコンドリア内活性酸素種(以下、nitROS)およびミトコンドリア機能との関係を評価するため、shRNAを用いたSIRT3の発現抑制(以下、sh-SIRT3)、siRNAを用いたsuperoxide dismutase-2 (以下、SOD2)の発現抑制モデル(以下、si-SOD2)とperoxisome proliferatoractivaled receptor γ coactivator-1(以下、PGC-Ioj)の発現抑制(以下、si-PGC-1α)を行った。さらに、大腸癌切除検体を用いて SIRT3の免疫組織化学染色を行い、S1RT3発現3と臨床病理学的因子や予後との相関を検討した。

(結果)
 抗癌剤処理により、いずれの細胞株および薬剤においてもmtROSレベルは上昇し、アポトーシスが誘遵されることが示されたが、その誘遵効果は、SIRT3 mRNA発現の高い細胞株(HCT116. HT29)では低く、SIRT3 mRNA 発現の低い細胞株(SW480)では高くなっていることが示された。続いて、H2O2曝露によりmtROSの生成亢進とアポトーシスの誘導が認められ、NACを追加することで、mtROS生成およびアボトーシス誘導が抑制されることを確認した。各細胞株間でH2O2曝露によるmtROS生成およびアボトーシス誘導レベルを比較したところ、抗癌剤曝露時と同様に、SIRT3 mRNA発現の高い細胞ではmtROS生成およびアポトーシス誘導レベルが低かった。sh-SIRT3条件下で抗癌剤処理を行ったところ、コントロールと比較し、mtROSおよびアポトーシス誘導の亢進を認めた。sh-SIRT3条件下ではmtROS還元酵素の一つであるS0D2の発現および活性が低下しており、s1-S0D2条件でH2(hおよび抗癌剤曝露によ るnitROS誘導レベルを評価したところ、コントロールと比較し、mtROS誘導の亢進を認めた。H202処理によりSIRT3発現は上昇し、さらにミトコンドリア生合成制御因子の一つであるPGC-laの発現やミトコンドリア活性の亢進を認めた。sh-SIRT3条件下ではPGC-1aの発現は低下し、H2O2処理によるミトコンドリア活性の上昇が抑制されており、 ミトコンドリアDNAコピー数やミトコンドリア代謝機能の低下も認めた。si-PGC-la条件下では、H2O2処理によるミトコンドリア活性の上昇を抑制し、アポトーシス誘導の亢進を認めた。最後に、大腸癌切除検体を用いてSIRT3発現と予後との関係を検討した。炎症性腸疾患関連大腸癌や術前化学療法実施症例を除いた全142例を対象とし、SIRHの発現量を基にSIKT3高発現群(n=61)とSIRT3低発現群(n-81)の2群に分け、臨床病理学的背景を比較したところ、リンパ管侵襲はSIRH高発現群で有意に高かったが(p<0.01)、癌進行度(TNMステージ)に有意な差を認 めなかった。予後に関して、無再発生存期間では両群間で有意差を認めなかったが(p=0.07)、癌特異的生存期間ではSIRT3高発現群で有意に予後不良であった(p=0.01)。癌特異的生存期間に関して単変傲および多変蛩解析を 用いて相関因子を検討したところ、SIRT3発現は独立した相関因子であることが示された(HR:3.60. 95%CI :1.38- 10.61、p<0.01)。

〔総 括(Conclusion〕
大腸癌細胞において、SIRT3はS0D2とPGC-laを正に制御し、mtROS抑制およびミトコンドリア代謝に関与することで、抗癌剤耐性に寄与する可能性を示した。さらに、SIRT3は大腸癌切除後の独立した予後予測因子であることも明らかにした。以上の結果より、SIRT3が大腸癌治療の新たな治療標的であると共に、抗癌剤の感受性予測マーカーとして有用である可能性が示唆された。

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