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大学・研究所にある論文を検索できる 「Mitotic checkpoint regulator RAE1 promotes tumor growth in colorectal cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Mitotic checkpoint regulator RAE1 promotes tumor growth in colorectal cancer

小林, 雄太 大阪大学

2021.09.24

概要

〔目的(Purpose)〕
微小管は有糸分裂期の染色体分離に必要な紡錘体構造に必須の分子であり癌治療においても標的となりうるため、癌組織で特異的に発現する新規の微小管関連タンパクを同定することは重要である。一方、大腸癌は特定の染色体がコピー数異常を起こし、内包する遺伝子が高発現して癌の進展に寄与することが報告されている。我々は先行研究で大腸癌を一つの腫瘍から複数箇所サンプリングして包括的ゲノム解析を行い、20番染色体長腕(20q)のコピー数増幅が大腸癌の腫瘍内で均一に認められ、腫瘍増成の初期かつ重要な変化であることを示した。そこで本研究では、20q上に大腸癌の進展に関わるドライバー遺伝子が存在すると考え、大規模公共データベース(The Cancer Genome Atlas : TCGA)を用いた解析で新規癌遺伝子候補Ribonucleic Acid Exporl (RAEI)を同定した。RAE1は有糸分裂の際に微小管に結合し、紡錘体構造の双極性保持に必須の分子であると報告されている。そこで我々はRAE1発現の大腸癌における臨床的および生物学的意義にっいて検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
方法:TCGAデータを用いて、mRNAが癌組織で高発現しコピー数と正相関する遺伝子で、かつ高発現群が予後不良と相関する遺伝子としてRAS1を同定した。当院の大腸癌症例102例とTCGAデータを用いて、SAE1発現と臨床病理学因子および予後との関連を検討した。また、当院の大腸癌切除標本20例を用いて免疫組織化学染色でRAE1発現の局在を調べた。続いて、TCGAデータでGene Set Enrichment Analysis (GSEA)を行い、RAEI発現と相関する遺伝子群を同定した。さらに、ヒト大腸癌細胞株(SW480,CAC02, RK0)を用いた実験でRAE1発現と腫瘍増殖能、アポトーシス、細胞周期、紡錘体形成、抗癌剤感受性との関連にっいて検討した。

成績:RAEI niRNAは当院の大腸癌切除検体およびTCGAデータで正常組織に比較して大腸癌組織で有意に高発現していた(P < 0.001)。また、TCGAデータでは、RAEI mRNAはDNAコピー数と正の相関(R = 0. 78, P < 0. 01)を示し、76.1%の症例でコピー数増幅を認めた。さらに、腫瘍組織でのRAEI高発現群は低発現群に比較して有意に予後不良を示し、多変量解析ではRAEI高発現(HR 6. 02, 95%CI 1.80-20.11,P < 0.01)と遠隔転移(HR13. 29, 95%CI4. 39-40. 28, P < 0.01)が独立予後不良因子として同定された。RAEI mRNAと臨床病理学的因子の相関の検討では RAEI高発現群は遠隔転移と相関を認めた(P < 0. 05)。免疫組織化学染色ではRAE1は腫瘍組織で高発現しており、癌細胞の細胞質に局在を認めた。
続いてRAE1の機能解析を行った。TCGAデータを用いたGSEAではRAEI発現とアポトーシス関連遺伝子群に負の相関を認め、RAE1の高発現がアポトーシスを抑制する可能性が示唆された。ヒト大腸癌細胞株を用いた実験では、RAE1ノックダウンにより細胞増殖が抑制されることをin vitroで示し、in vivoでも同様の効果を示した。また、RAE1過剰発現により細胞増殖が亢進することをin vitroで示した。さらに、RAE1ノックダウンによりアポトーシスが抑制されること、G1/S期の細胞周期の移行が遅延することを示した。多重蛍光免疫染色による検討では、RAE1ノックダウンにより多極の紡錘体細胞が有意に増加することを示し、RAE1ノックダウンにより誘導された多極紡錘体は、一部はアポトーシスが誘導され一部はG1/S期で細胞周期の遅延に寄与している可能性が示唆された。さらに、RAE1過剰発現ではパクリタキセルによる多極の紡錘体の誘導を抑制することを示した。最後に、RAE1過剰発現はパクリタキセル、アクチノマイシンDによる殺細胞効果を減弱し、薬剤によるアポトーシスを抑制することを示した。以上の結果から、RAE1は大腸癌において紡錘体の双極性保持に寄与しており、不安定な多極の紡錘体細胞を減少させることでアポトーシスを抑制し、大腸癌の増殖に寄与すること、化学療法抵抗性を誘導することが示唆された。

〔総括(Conclusion)〕
大腸癌の新規癌遺伝子としてRAE1を同定した。RAE1は大腸癌においてコピー数増幅により高発現し予後不良を来すこと、紡錘体の双極性を安定化させてアポトーシスを抑制し増殖に寄与すること、治療抵抗性を生ずることが示唆された。RAE1は大腸癌の予後不良のバイオマーカーであり、有効な治療標的になりうると考えられた。

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