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大学・研究所にある論文を検索できる 「Na2CO3を添加したLi4SiO4のCO2吸収特性と自己発熱型CO2吸収コンポジットLi4SiO4/SiOx/Siへの適用」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Na2CO3を添加したLi4SiO4のCO2吸収特性と自己発熱型CO2吸収コンポジットLi4SiO4/SiOx/Siへの適用

石嵜 友己 中央大学

2022.07.06

概要

1.緒言
近年、リチウム複合酸化物である Li4SiO4 は以下の反応式に従ってCO2 と可逆的に反応することで繰り返し利用できる固体型CO2 吸収材として注目されている 。

しかし、 Li4SiO4 が CO2 を吸収するには 600℃~700℃、さらに CO2 を放出してLi4SiO4 が再生するには 700℃以上の高温が必要なことから利用には外部加熱装置が必要であった。そこで我々は、固体型 CO2 吸収材に通電による自己発熱機能を持たせた複合材料を考案し、Fig.1 に示す三層構造を有する自己発熱型CO2 吸収コンポジット Li4SiO4/SiOx/Si の作製に成功している。基板部分(Si)に通電し、電流・電圧を調整することで抵抗熱による温度制御が可能となる。ただし、このコンポジットの実用化に向け、CO2吸収性能をさらに向上させる必要がある。

反応温度の上昇に伴い Li4SiO4 が CO2 を吸収すると、式 (1) の反 応により Li2SiO3(s) と Li2CO3(s)が生成するが、そのときこれら反応生成物が Li4SiO4 粒子の周りを覆ってしまうことで CO2 吸収反応が止まってしまう。しかし、 700℃付近まで温度を上げると Li2CO3(s)が融点に達し溶け始めることで反応生成物によって覆われていた Li4SiO4 粒子の周りに隙間ができる。それによって CO2 の拡散経路が生まれ、CO2吸収反応が非常によく進行すると考えられている。したがって、CO2 吸収反応を効率的に進行させるためには、Li2CO3 の融点を下げることが有効である。

そこで本研究では共晶効果によって Li2CO3の融点を下げることで、より低温で CO2 吸収反応ができないかと考えた。Li2CO3 と共晶を起こす物質としてNa2CO3 やK2CO3 が知られている。 Li4SiO4 にNa2CO3 を添加することでCO2 吸収温度が低下する先行報告はあるが、最適な添加濃度等の詳細なCO2 吸収特性については調べられていない 4。本研究では、Na2CO3 を添加した Li4SiO4 について様々な条件下での CO2 吸収特性を調べることを目的とし、Na2CO3 を添加した Li4SiO4 は自己発熱型 CO2 吸収コンポジットに適用可能か検討した。

2.実験方法
次の手順で固相反応法により Li4SiO4 の作製を行った。SiO2 とLi2CO3 をモル比 1:2 で秤量し、メノウ乳鉢を用いて 1h 混合粉砕後、82MPa での一軸加圧により圧粉体を作製した。得られた圧粉体を大気中 700℃で 18 時間熱処理を行った。合成した Li4SiO4 に Na2CO3 を任意量添加して 5min混合することで、Na2CO3 含有の Li4SiO4 試料の作製を行った。その後、XRD による相同定、熱重量分析装置(TG-DTA)による CO2 吸収特性の評価を行った。

3.結果及び考察
固相反応法で作製した試料は XRD による相同定の結果、Li4SiO4 単一相であることを確認した。次に、作製した Li4SiO4 に Na2CO3 を任意量添加 (0~15wt%) し、100vol%CO2 雰囲気、室温から 1000℃までの温度範囲、10℃/min 加熱速度で質量変化を調べた。その結果を Fig.3 に示す。質量増加は CO2 の吸収、そしてそれに続く質量減少は CO2 の放出に対応する。

質量変化の温度依存性の形状( 挙動) から、Na2CO3 添加量の増加に伴って 400℃~600℃間の CO2 吸収率が増加し、最大吸収温度は低下することが分かった。これは、Na2CO3 が増えることで共晶効果によって融解する Li2CO3 が増加し、CO2 の拡散経路が増えたためだと考えられる。添加量が 5wt%を下回ると 400℃~600℃間の CO2 吸収率が低下するため、最も良い添加量は 5~10wt%であることが示唆された。

次に、CO2 吸収挙動の CO2 濃度依存性を調べるため、Na2CO3 添加量 10wt% の試料と純粋な Li4SiO4 試料について、25~100vol%CO2 雰囲気、室温から 1000℃までの温度範囲、10℃/min 加熱速度で質量変化を測定した。その結果をFig.4 に示す。

純粋な Li4SiO4 試料は、既報の通り 3、CO2 濃度の低下と共に最大CO2 吸収量が大幅に減少した。対して、Na2CO3 添加量 10wt%の試料は、CO2濃度が減少しても高いCO2 吸収量を保持していることが分かった。これは Na2CO3 添加により Li2CO3 相の融点が低下したことで、低温でも CO2 の拡散経路が増えたためであると考えられる。このような反応温度の低温化は、ギブズエネルギーが負に大きくなる低温でのCO2吸収反応を可能とする。したがって、Na2CO3 の添加は Li4SiO4 の CO2 吸収能向上に非常に有効であることが示唆された。

以上のことから、今後、自己発熱型 CO2 吸収コンポジットに適用する際、Na2CO3 添加 Li4SiO4 はより低温・低濃度 CO2 雰囲気下での CO2 吸収反応を行えるため、CO2 吸収コンポジットの応用範囲を拡大できることが期待される。

4.結論
Li4SiO4 粉末に Na2CO3 を添加することで、反 応温度の低温度化に成功した。低温度化により、低濃度 CO2 雰囲気下でも高い CO2 吸収量を保 持できることが分かった。Na2CO3 添加 Li4SiO4 を自己発熱型CO2 吸収コンポジットに適用する ことで、コンポジットの応用範囲をより拡大で きることが示唆された。

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参考文献

(1) Matsukura, Y.; Okumura, T.; Kobayashi, R.; Ohishi, K. Chem. Lett. 2010, 39, 966-967.

(2) Oh-ishi, K.; Kobayashi, R. Chem.Eng. 2012, 57, 25.

(3)Oh-ishi, K.; Matsukura, Y.; Okumura, T.; Matsunaga, Y.; Kobayashi, R. J Solid State Chem 2014, 211, 162-169.

(4) Yang,Y et al. Energy&Fuels. 2018, 32, 1275812765

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