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書き出し

レンバチニブによる肝細胞がんの腫瘍血管正常化と放射線増感効果の研究

宇根 範和 東北大学

2021.03.25

概要

レンバチニブによる肝細胞がんの腫瘍血管正常化と
放射線増感効果の研究
著者
学位授与機関
学位授与番号
URL

宇根 範和
Tohoku University
11301甲第19673号
http://hdl.handle.net/10097/00134038

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
レンバチニブによる肝細胞がんの腫瘍血管正常化と
放射線増感効果の研究

東北大学大学院医学系研究科
外科病態学講座
学籍番号(*論文博士は受付番号)Student Number

B7MD5016

氏名 Name

医科学

専攻

消化器外科学分野

宇根範和

背景

腫瘍が増大、転移するのに腫瘍血管は重要な組織構造である。腫瘍血管の構造および機能を的確に解析す
ることは、がん化学療法で多用される血管新生阻害剤の薬効評価に必須である。肝細胞がん(HCC)に対す
る化学療法は、血管新生阻害作用を持つマルチターゲット tyrosine kinase 阻害剤であるレンバチニブおよび
ソラフェニブが承認されている。しかし意外なことに、これらの両薬剤が腫瘍血管の構造や機能に及ぼす効
果の違いは詳細に検討されておらず、ソラフェニブと比較しレンバチニブの臨床的有用性が報告されている
のみである。またレンバチニブを含め、進行 HCC に対する化学療法は依然として十分な奏効率とは言えず、
新たな治療法の模索が期待されている。
目的

レンバチニブおよびソラフェニブによる HCC の腫瘍血管への薬剤効果を調べるために、μX線 CT(μCT)
による 3 次元 in vivo 解析と光学顕微鏡による細胞・組織解析の両方を用いて評価し、レンバチニブとソラ
フェニブによる腫瘍血管正常化および腫瘍微小環境への影響を比較検討した。またレンバチニブの薬剤効果
をさらに強化するため、レンバチニブと放射線治療の併用療法の有効性についても検討した。
方法

マウス HCC を移植した担癌マウスを作成し、レンバチニブおよびソラフェニブを経口投与した。腫瘍に対
する薬剤効果を、光学顕微鏡や μCT を用い分子・細胞から組織レベルにおいて評価した。評価対象は、腫
瘍体積、μCT で可視化可能な腫瘍血管(血液が還流している約 50µm 径以上の血管)、顕微鏡観察による腫
瘍微小血管の構造、である。また腫瘍微小環境の病態評価として、組織の低酸素状態や間質液圧(interstitial
fluid pressure: IFP)を調べた。さらにレンバチニブと放射線治療の HCC に対する相乗効果を μCT や光学顕微
鏡で評価した。
結果

1

(書式18)
レンバチニブ(3 もしくは 10 mg/kg)およびソラフェニブ(30 もしくは 50 mg/kg)を担癌マウスに 14 日間投与
することで、腫瘍体積増加および μCT で観察される腫瘍血管形成は有意に抑制されていた。この結果にお
いて、3 mg/kg のレンバチニブ投与群と 50 mg/kg のソラフェニブ投与群は、腫瘍体積および血管体積密度へ
の薬剤効果が類似していた。そこで、両薬剤の腫瘍血管に対する効果の違いを鋭敏に検討するため、3 mg/kg
のレンバチニブ投与群と 50 mg/kg のソラフェニブ投与群の間で腫瘍体積に変化が生じ始める薬剤投与 4 日
後にフォーカスし、このタイミングで腫瘍の血管および微小環境に与える薬剤効果を評価した。μCT で観察
される腫瘍血管の体積密度は、レンバチニブ、ソラフェニブ、コントロールの 3 群の間で有意な差は認めら
れなかった。一方、顕微鏡観察による微小血管の面積密度において、レンバチニブはソラフェニブやコント
ロール群と比べて有意に低下していた。またレンバチニブで処理した微小血管は、腫瘍血管から正常血管へ
の構造変化の指標となる周皮細胞の被覆率が増加している様子が認められた。さらにレンバチニブ処理群は、
ソラフェニブ群に比べ還流血管の増加や IFP の低下が有意に誘導されていた。これらの微小環境の変化とと
もに、レンバチニブ投与群の低酸素状態は、コントロール群に比べ有意に軽減していた。
レンバチニブ投与によって腫瘍組織内の血液還流や酸素濃度の微小環境が改善したことから、レンバチニブ
と放射線の併用療法の効果を検討したところ、併用群はレンバチニブ単独群に比べ腫瘍体積や μCT で観察
可能な腫瘍血管を減少させた。また顕微鏡観察による細胞・組織評価においても併用療法は高い抗腫瘍効果
を示した。
結語

肝細胞がんモデルマウスにおけるレンバチニブとソラフェニブの腫瘍血管に対する薬効の差異を、μCT と
光学顕微鏡を併せて可視化・解析した。レンバチニブはソラフェニブに比べ、早期から微小血管の正常化お
よび腫瘍微小環境の改善を促進した。さらにレンバチニブと放射線の併用療法は、高い抗腫瘍効果があり、
今後の進行 HCC の新たな治療法となり得ることが示唆された。 ...

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