リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「上部消化管癌に対する第三世代がん治療用ヘルペスウイルス(G47Δ)の治療効果の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

上部消化管癌に対する第三世代がん治療用ヘルペスウイルス(G47Δ)の治療効果の検討

菅原, 弘太郎 東京大学 DOI:10.15083/0002007073

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名菅原弘太郎
本研究は上部消化管癌、特に難治性であるスキルス胃癌と食道扁平上皮癌に対する新たな
治療戦略を構築すべく、複数の腫瘍マウスモデルを用いて第三世代がん治療用ヘルペスウイ
ルス(G47Δ)の治療効果を検討し、下記の結果を得ている。
1. 複数のヒト胃癌細胞株に対して in vitro にて G47Δは十分な感染能、複製能、殺細胞能を示
し、in vivo においても G47Δの腫瘍内投与は腫瘍増大を顕著に抑制した。スキルス胃癌同所腫
瘍モデルに対する G47Δの腫瘍内投与は腫瘍増大を有意に抑制し、生存期間を延長させた。さ
らにスキルス胃癌腹膜播種モデルに対して G47Δを腹腔内投与すると、G47Δは選択的に腹腔
内腫瘍にて複製し、腫瘍進行を有意に抑制、生存期間を延長させた。G47Δ投与により腫瘍内に
おいて NK 細胞と M1 macrophage が有意に増加する一方で M2 macrophage は顕著に減少し、
M1/M2 比は有意に上昇していた。
2. 食道扁平上皮癌皮下腫瘍モデルにおいて G47Δ投与は腫瘍増大を有意に抑制した。AKR 皮
下腫瘍モデルに対して G47Δと抗 CTLA-4 抗体の併用療法は単剤療法と比べて顕著に腫瘍増大
を抑制し、半数以上(5/8 匹)の個体にて治癒を達成、生存期間を有意に延長させた。G47Δと
抗 CTLA-4 抗体の併用群においては CD3+, CD4+, CD8+ 細胞の有意な上昇に加え、CD4+ 細
胞における制御性 T 細胞(Treg)の割合の顕著な減少を認め、結果として CD8+/Treg 比が顕著
に上昇していた。また併用群においては多くの腫瘍内免疫関連 mRNA 発現が変動しており、特
に炎症 (Ccl5, Il1a, Il1b) 、一般リンパ球(Cd4, Cd8a)に関連する mRNA 発現が著明に上昇し
ていた。AKR 細胞に反応する IFN-γの spot 数は併用治療群において他群よりも有意に多く、
さらに併用療法において治癒した個体においては AKR 細胞生着を全例において拒絶した。
CD8+細胞の depletion では併用療法の治療効果が減弱したものの部分的に残存していた一方で、
CD4+細胞の depletion により併用療法の治療効果は完全に消失した。
以上、本論文は G47Δがヒト進行胃癌の臨床的特徴を有するマウスモデルにおいて高い治療効
果を有し、腹膜播種を有するような胃癌に対しても腫瘍内投与・腹腔内投与共に有用なアプロー
チであることを明らかにした。さらに G47Δと抗 CTLA-4 抗体の併用療法は相乗的に腫瘍内免
疫学的微小環境を改善、抗腫瘍免疫を増強し、優れた抗腫瘍効果を発揮するため食道扁平上皮癌
を含めた固形癌の新たな治療戦略として非常に有望であることも明らかとなった。これらの結
果は上部消化管癌の治療成績向上につながる有意義な検討であると考えられる。

よって本論文は博士(医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る