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大学・研究所にある論文を検索できる 「ブロッコリーの側枝形成機構の解明と2花蕾どり作型の開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

ブロッコリーの側枝形成機構の解明と2花蕾どり作型の開発

髙橋, 徳 東京大学 DOI:10.15083/0002006116

2023.03.20

概要





















髙橋



ブロッコリー(Brassica oleracea L. var. italica)は他の野菜とは異なり、例
外的に国内生産が増加してきているものの、需要の増加に国内生産が追いつか
ず海外からの輸入も増加しており、国産ブロッコリーの更なる増産と端境期の
解消による周年的な安定生産が重要となっている.ブロッコリーでは頂芽由来
の花芽の集合体(頂花蕾)のほかに側枝由来の花蕾(側花蕾)が発生するが,
頂花蕾ほどには肥大せずに市場出荷規格を満たすことが難しいために、経済栽
培では通常 1 株から 1 個ずつ収穫するのが一般的である.しかし,側花蕾を市
場出荷可能な大きさまで肥大させることができれば,ブロッコリー生産量を飛
躍的に高めることが可能となる.そこで,申請者により,ブロッコリーの側枝
を利用し,1 株から 2 個の花蕾収穫を可能にする栽培技術開発を目的としたブロ
ッコリーの側枝に関する基礎的知見の解明及び 2 花蕾どり収穫技術の確立に関
する研究が行われた.
ブロッコリーの分枝特性は品種によって大きく異なっており,頂花蕾が大き
い品種ほど側枝発生が少ないことが経験的に知られているが,ブロッコリーの
側枝の有無が主枝にどのような影響を与えるかは詳しく知られていなかった.
第 1 章では,主枝と側枝の競合関係を明らかにするために,分枝特性の異なる
品種の地上部に占める各部位の比率と側枝を除去した場合の主枝の各部位の比
率の変化と,品種の分枝特性を決定する要因について調査した.その結果,側
枝重が大きい品種ほど頂花蕾重が小さい傾向があり,側枝発生が旺盛であった
品種では側枝の除去により主茎葉重や頂花蕾重が有意に増加したことから、主
枝と側枝は同化産物分配において競合的関係にあることが明らかになった.第 2
章では,ブロッコリーの分枝特性の品種間差が生じる原因の解明と腋芽発生が
起こるステージの特定を目的とし,形態観察を行った結果,ブロッコリーでは
限られたステージで腋芽発生の有無が決定づけられており,分枝特性の品種間
差は腋芽の伸長ではなく主に腋芽の発生に依存していることが明らかになった.
ブロッコリーの冬まき春どり栽培(1~2 月定植,4~5 月収穫)は、育苗に加
温が必要で栽培コストが高くなるために生産量が減少する.この作型は端境期

の 1 つとなっており,増収技術の開発への期待が高い.第 3 章では,比較的大
きな側花蕾をつける品種‘夢ひびき’を用い,側枝数を 1~2 本に制限する「L
字仕立て」によって,4~5 月期に,直径 12cm の頂花蕾を収穫後,直径 10cm
の側花蕾収穫を可能にする栽培技術の確立を目指した.その結果,4 月から 5
月にかけて,側花蕾の収穫個数が最大で頂花蕾収穫個数の約 80%増加すること
が明らかとなった.また,定植から側花蕾収穫までに必要な有効積算温度は約
900~1,000℃・日程度と推定された.さらに第 4 章では、第 3 章で増収効果の
認められた L 字仕立ての有効性を明らかにするために、L 字仕立て処理の有無
における収量を比較するとともに、
‘夢ひびき’以外の品種での L 字仕立ての適
用性を解明した。その結果,
‘夢ひびき’の L 字仕立て無処理区では,頂花蕾に
加え 2 倍以上の個数の 10cm 径側花蕾が収穫できたものの,品質低下により可
販品質側花蕾数は L 字仕立て処理区と比較して減少し、L 字仕立ての有効性が
示された.また,‘ファイター’のような‘夢ひびき’以外にも L 字仕立てが適用可
能な品種が存在することが明らかになった.第 5 章では,秋冬作期での 12cm 径
の 2 花蕾どり実現のため,品種‘夢ひびき’を用いて,摘心及び側枝 2 本に仕
立てる「V 字仕立て」栽培技術の確立に取り組んだ.その結果、第 7~11 葉齢
で摘心を行った区では,可販品質の 12cm 径花蕾の収穫個数が慣行栽培より 60%
程度増加することが明らかとなった.但し、V 字仕立てによって収穫期は遅れ
る傾向があり,慣行栽培より約 300℃・日だけ多くの有効積算温度が必要であっ
た.
審査委員会では、まず本研究において、ブロッコリーの側枝は主枝と競合関
係にあり,分枝特性の品種間差は主に腋芽の発生確率に基づいていることが示
されたこと、次いで品種‘夢ひびき’のような,主枝と競合する側枝の本数が
少ないため,側枝を有する品種の中では頂花蕾が大きく,かつ同化産物が少数
の側枝に集中するために側花蕾がよく肥大する,2 花蕾どりに適している品種が
見いだされたこと、さらに、その‘夢ひびき’を用いて,4~5 月端境期に 10cm
径花蕾の収穫個数が約 80%増加する L 字仕立て 2 花蕾どり栽培,秋冬作期に
12cm 径花蕾の収穫個数が約 60%増加する V 字仕立て 2 花蕾どり栽培を確立し,
新作型として提唱したことが、学術上の新たな知見として高く評価された。ま
た、新たに提唱された L 字仕立てや V 字仕立てによる 2 花蕾どりにより、ブロ
ッコリーの飛躍的な収量増および端境期における出荷が可能になることが示さ
れたことは、我が国のブロッコリー生産に大きく貢献するものと評価された。
これらの研究成果は、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、
審査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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