卵巣における核内受容体FXRの機能解明

概要

研究成果の概要（和文）：
核内受容体 FXRは代謝制御の主要因子として、肝臓や腸における存在・機能が注目されてきた。このFXRが生殖器にも発現しているが、その機能は全くの不明であった。そこで本研究は、生殖器におけるFXRの機能解明を目的とした。
FXRの機能を解明するため、遺伝子編集技術を用いてFXRノックアウト（FXR-KO）マウスを作出し、表現型解析をおこなった。その結果、FXR-KOメスマウスは、野生型マウスに比べ排卵数や血中エストラジオール濃度、顆粒層細胞のエストラジオール合成関連酵素の遺伝子発現が有意に高かった。FXRは性ホルモン合成に関与する遺伝子群を抑制制御し、排卵数を抑えている可能性が示された。

研究成果の学術的意義や社会的意義
本研究成果より、FXRは性ホルモン合成に関与する遺伝子群を抑制し、排卵数を抑えている可能性が示された。これまで生殖機能に関与しないとして知られていたFXRであるが、独自に作製したFXR-KOマウスの知見から、FXRは性ホルモン合成に大きく関与していることが示された。食から始まる代謝シグナルと生殖現象は密接に関連しており、その仲介因子がFXRであることを証明できれば、卵胞発育や排卵メカニズムの解明といった基礎研究にとどまらず、卵巣関連疾患の新たな治療法開発に繋がる可能性がある。

研究成果の概要（英文）：
FXR mainly existed in metabolic organs and regulates the cholesterol, lipid, and the glucose homeostasis. FXR had been revealed to be expressing in the ovary. However, the functions and the precise molecular mechanism of FXR in ovary remain still unknown. In this study, we investigated the functions of FXR and its target genes in the ovarian granulosa cells.
To elucidate the function of FXR in the ovary, we generated FXR knockout (FXR-KO) mice using gene editing technology and performed phenotypic analysis. The results showed that FXR-KO female mice had significantly higher ovulation number, blood estradiol concentration, and gene expression of estradiol synthesis-related enzymes in granulosa cells than wild-type mice, suggesting that FXR suppresses ovulation number by repressing and regulating genes involved in sex hormone synthesis.

キーワード：FXR 性ホルモン ノックアウトマウス

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