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シソに含まれる青酸配糖体についての天然物化学的研究

赤塚, 亮太 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24560

2023.03.23

概要

シソに含まれる青酸配糖体についての天然物化学的研究

2022

赤塚 亮太





緒言 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------1

第1章

シソに含まれる青酸配糖体のピクリン酸試験紙法による検出と HPLC による定量

第1節

青酸配糖体のピクリン酸試験紙法による検出 --------------------------------------------3

第2節

シソに含まれる青酸配糖体の種類について-----------------------------------------------5
1. セイヨウバクチノキからのプルナシンの単離および検量線の作成----------------5
2. シソに含まれる青酸配糖体の種類 -----------------------------------------------------7

第3節

プルナシンの HPLC による定量 -----------------------------------------------------------9
1. 栽培品について ---------------------------------------------------------------------------9
2. 市場品ソヨウについて -----------------------------------------------------------------13

第4節

β-グルコシダーゼ活性試験 ----------------------------------------------------------------13

第5節

考察 ------------------------------------------------------------------------------------------- 14

第 1 章まとめ----------------------------------------------------------------------------------------------18

第2章

シソに含まれるプルナシンの含量の変化と集積部位について

第1節

栄養生長期の栽培日数とプルナシン含量の変化 --------------------------------------------19

第2節

生長段階ごとのプルナシン含量の変化 -------------------------------------------------------20

第3節

プルナシンの集積部位について ---------------------------------------------------------------21

第4節

LC-MS 分析 ---------------------------------------------------------------------------------------23

第5節

茎と根に多く見られた水溶性化合物について-----------------------------------------------23

第6節

考察 -------------------------------------------------------------------------------------------------25

第 2 章まとめ------------------------------------------------------------------------------ ----------------------28
総括 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- ----------29
実験の部 -------------------------------------------------------------------------------------------------- ----------32
発表論文目録--------------------------------------------------------------------------------------------- ----------45
謝辞 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 46
引用文献 -------------------------------------------------------------------------------------------- ----------------47





青酸配糖体は、約 3000 種類の植物に見出されている天然物である [1]。その生合成の
出発物質はアミノ酸であることが示されており、β-グルコシダーゼ等の加水分解酵素の
存在下で加水分解されると糖とカルボニル化合物とシアン化水素 (HCN) を生じる [2]。
HCN はミトコンドリアのシトクロム c オキシダーゼを阻害し、細胞内呼吸を停止させ
るため、青酸配糖体は植物の化学的防御物質の一種であると考えられている [1, 2]。し
かし、HCN は適量であれば鎮咳作用を示すとされており [3]、第十八改正日本薬局方で
は、鎮咳作用を期待して用いられる生薬キョウニンで「本品は定量するとき、換算した
乾燥物に対し、アミグダリン 2.0 % 以上を含む」と規定されている [4]。一方、青酸配
糖体の過剰な摂取は人体には有害であり、例えば、過去にトルコにおいて、3 歳女児が
アンズの種子を 8–12 個程度摂食した 1 時間後に 7 回嘔吐し、意識不明となったという
シアン化合物による食中毒が発生した [5]。このように、青酸配糖体は量によっては薬
効を示したり毒性を示したりするため、植物原料を薬用・食用とするうえでその原料中
の青酸配糖体の種類や含量等を把握することは重要である。
生薬は、動植物や鉱物等の天然の産物に乾燥等の簡単な加工を施した薬物である。そ
の歴史は古く、日本では推古天皇の代に遣隋使により医書や本草書がもたらされ、我が
国の生薬療法の体系化が始まったと考えられている [6]。現在でも生薬は医薬品市場の
中でも大きな一翼を担っており、近年はその使用量は増加傾向にある [7]。生薬は単一
の成分として精製された化学薬品とは異なり、多成分系として存在している。その基原
は植物であることが多いが、基原植物の種類や栽培・生育環境、採取の時期、加工・保
存条件等の違いにより、生薬の成分組成は変動し得ると考えられる。したがって、生薬
を医薬品として取り扱う場合、その成分組成・薬効を一定の範囲に収め、安定した品質
の生薬を供給することが求められるが、その需要は今後より一層高まると考えられる。
シソ Perilla frutenscens var. crispa は、シソ科シソ属の 1 年性草本であり、日本薬局
方収載の生薬ソヨウの基原植物である [8]。葉が緑色のものは香味野菜として食用に、
葉の片面または両面が赤色のものは抗菌・鎮咳等を目的に薬用にされている。シソの精
油型や色素等の形質は遺伝的に厳密に制御されている [9] ため、どのような系統のシソ
を基原として使用するかによっても品質に違いが出ると予想される。したがって、ソヨ
ウや香味野菜としてのシソの安定した品質の確保のためには、基原となるシソの栽培・
-1-

採取・加工方法や育種・系統維持について検討することは非常に重要である。
シソに含まれる特徴的な成分としては、モノテルペンやフェニルプロパノイド等から
なる精油類や、色素成分であるアントシアニン類が知られている [10]。しかし、マンデ
ロニトリルをアグリコンとするプルナシン、サンブニグリン、ユーカリプトシン A 等
の青酸配糖体 (図 1) も単離されたという報告もある [11, 12, 13, 14]。
一方、植物から得られる精油は多成分系であり、その香気は、単一な成分によるもの
ではなく、多数の揮発性成分が相互作用して香気として認識されるものである [15]。
シソに含まれることが報告されている青酸配糖体からは、分解により香気を有するベ
ンズアルデヒドや、数 mg 程度であれば鎮咳作用を示すとされている HCN [3] を生じ
る。また、水蒸気蒸留により得られたシソの精油中にしばしば 0.1–2.4 % 程度ベンズア
ルデヒドがみられることが報告されている [16]。このため、ソヨウの基原植物であるシ
ソに含まれる青酸配糖体について研究することは、その香気や鎮咳活性等について議論
するうえで有用であると考えられる。
しかし、シソ葉から青酸配糖体が単離されたという報告はあるものの、含量等それ以
上の詳細な知見はない。本研究は、シソに含まれる青酸配糖体の種類や含量やその変
化、集積部位等について天然物化学的な視点から実験を行い、生薬ソヨウや香味野菜と
してのシソの安定した品質の確保に資するために、基原となるシソの採取・加工につい
て青酸配糖体を指標に検討したものである。

図1

マンデロニトリルをアグリコンとする青酸配糖体の構造

-2-

第1章
シソに含まれる青酸配糖体のピクリン酸試験紙法による検出と
HPLC による定量
本章では、シソ葉に含まれる青酸配糖体の種類と種々の葉の青酸配糖体の含量を明ら
かにすることを目的に実験を行った。
厚生労働省の「食品、添加物等の規格基準」にて規定されているシアン化合物の定性
試験法であるピクリン酸試験紙法 [17] をシソ葉や市場品ソヨウに応用し、シソに含ま
れるシアン化合物の簡便かつ半定量的に検出した。また、シソに含まれる青酸配糖体の
種類を明らかにし、さらにそれらの含量を明らかにするために、セイヨウバクチノキか
ら単離したプルナシンを用いて検量線を作成し、同一条件で栽培した様々なシソの系統
の葉や生長・乾燥の程度の葉について HPLC でプルナシンを定量した。

第1節

シソに含まれるシアン化合物のピクリン酸試験紙法による検出

ピクリン酸試験紙法は、青酸配糖体等の化合物を分解し、HCN として検出する定性
試験法である。その原理は、試験紙が反応後に黄色から赤色に変化すれば陽性、すなわ
ち試料中にシアン化合物が存在するというものである。先行研究には、試験紙の呈色物
質を EtOH で溶出し、吸光度計を用いて定量したもの [18] があるが、本実験では、ピ
クリン酸試験紙法をシソ葉・市場品ソヨウにも応用し、吸光度計等の専門性の高い分析
機器を使用せず、目視でより簡便かつ半定量的に検出することを目的に実験を行った。
まず青酸配糖体濃度と試験紙の呈色の濃さの関係について検討した。青酸配糖体の 1
つであるアミグダリン (図 1) を、任意の濃度となるようにクエン酸緩衝液 (pH 5.0) に溶
解させ、β‐グルコシダーゼと反応させて試験紙の呈色の濃さを比較した。続いて栽培
した純系シソ新鮮葉及び市場品ソヨウを、クエン酸緩衝液 (pH 5.0) 中、β‐グルコシダ
ーゼ存在下で同様に反応させた。その結果を、先述のアミグダリンの加水分解反応の結
果 (試験紙の呈色の濃さ) と比較し、半定量的にシアン化合物を検出した。
アミグダリン濃度 (クエン酸緩衝液 [pH 5.0] に溶解したもの) とピクリン酸試験紙の
呈色の濃さは、0–1.0 mg/mL の範囲でほぼ比例することが判明した。以降は呈色の濃さ
を「記号」で表し、それぞれ「陽性」、「擬陽性」、「陰性」と表現することとした
(図 2)。

-3-

アミグダリンの濃度 (mg/mL) 結果

記号

1.0

++++

0.10

+++

0.010

++

0.0050

+

0.0010

±

表現

陽性

-

blank (0)

図2

擬陽性
陰性

アミグダリン濃度とピクリン酸試験紙の呈色の濃さ

一方、栽培した 4 種の純系シソ(京都大学大学院薬学研究科にて自家受粉により純系
として維持 [19] ) 新鮮葉 5.0 g (新鮮重量 [Fresh Weight] 以下、“FW” ) 及び市場品ソヨウ
1.5 g (乾燥重量 [Dry Weight] 以下、“DW”) を反応させたときの結果は図 3 の通りであっ
た。すなわち、純系シソではすべて陽性または擬陽性 (+++ – ±) で、系統間でその呈色
の濃さには違いがあることが判明した。一方、市場品ソヨウには、陽性のものと陰性の
もの両方が存在 (++ – -) した。

-4-

系統番号 結果

記号

25

±

32

+++

5254

++

5343

+

サンプル番号 結果

記号

1

+

2

±

3

+

4

-

5

-

6

+

7

++

8

±

9

±

10

-

11

±

12

±

13

++

blank

図3

-

純系シソおよび市場品ソヨウのピクリン酸試験紙法の結果

第2節

シソに含まれる青酸配糖体の種類について

1. セイヨウバクチノキからのプルナシンの単離および検量線の作成
シソにはプルナシン等の青酸配糖体が含まれていることが報告されて いるが、
定量には標品が必要である。しかし、試薬として市販されているプルナシンは入手
が困難であったため、先行研究でプルナシンを多く含むことが報告されているセイ
ヨウバクチノキ Prunus laurocerasus [20] 葉を用い、 77.25 g の葉の MeOH エキス
(4.01 g のうち約 4 分の 3) から、2.81 mg のプルナシンを、シアノ基が結合してい

-5-

る炭素原子のエピマーであるサンブニグリンとの混合物として 単離した (以下、
「単離物」)。単離物の LC-MS クロマトグラム上には、m/z=294 [M-H] - を示す 2
つのピークがみられた (図 4)。また、 1 H NMR の化学シフト値 [21] 及びシグナルの
ピーク面積比から、この単離物の組成は、プルナシン:サンブニグリン≈5:1 であるこ
とが判明した (図 5)。
単離物を用いてプルナシンの検量線を作成したところ、0.00157–0.0606 mg/mL の
範囲で y=6.0×10 6 x +534.93 (R 2 =0.997) (図 6) となり、良好な直線性を示した。ただ
し、プルナシン濃度が 0.00157 mg/mL 以下では検量線の直線性が成り立たなかった
ため、この濃度を定量下限としてシソに含まれるプルナシンを定量した。

単離物の LC-MS クロマトグラム

1.00

abundance
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9

prunasin

0.20

sambunigrin

X : parts per Million : 1H

図5

単離物の 1 H NMR データ (500 MHz, in CD 3 OD)
-6-

3.317
3.313
3.310
3.308
3.304
3.105

3.569

3.707
3.683

4.247
4.240
4.232
3.952
3.931
3.926
3.907
3.902

4.415
4.390

4.690
4.674

4.0
4.916
4.885

5.385
5.338
5.258
5.227

5.492

5.0
5.918
5.849

6.0
6.050

6.938
6.921

7.615
7.603
7.595
7.588
7.585
7.472
7.468
7.461
7.458
7.441
7.436

7.0

5.603
5.581

図4

図6

プルナシンの検量線

2. シソに含まれる青酸配糖体の種類
単離物の 1 H NMR のデータ (プルナシンとサンブニグリンそれぞれの水素原子の積
分比) と、単離物およびシソの分析サンプルの HPLC (図 7) 及び LC-MS のデータか
ら、シソに最も多く含まれている青酸配糖体はプルナシンであることが判明し、サ
ンブニグリン及びマンデロニトリルをアグリコンとする diglucoside とみられる化合
物 (m/z=456 [M-H] - ) も検出された。このため、diglucoside とみられる化合物を、
No. 32、No. 5254 (系統間のプルナシン含量の比較に用いたもの)、市場品ソヨウ 7、
13 のHPLC 分析サンプルの一部を用いて 1.15 mg 単離精製し、その LC-MS/MS (図
8)、 1 H NMR のデータ (図 9) を文献値 [22, 23] と比較したところ、ユーカリプト
シン A であることが判明した。
しかし、プルナシン以外の青酸配糖体は収量が少なく、かつプルナシンに比べて
HPLC クロマトグラム上でのピーク面積がはるかに小さかった (約 10 分の 1 以下) こ
とから、以後の定量分析ではプルナシンについて行うこととした。
本章の実験では、複数の先行研究にて、シソからの単離が別々に報告されている
青酸配糖体がすべて検出された。

-7-

図7

HPLC クロマトグラム

(a) セイヨウバクチノキからの単離物、(b) シソ分析サンプル (No. 32, 新鮮葉、主脈
の長さが 3–6 cm の分析サンプル)

図8

ユーカリプトシン A の LC-MS/MS のデータ

-8-

0.4
0.3
0.2
0.1
abundance
0

3.740
3.657
3.544
3.382
3.377
3.369
3.363
3.335
3.333
3.330
3.326
3.323

3.939
3.915

4.0
4.639
4.623
4.535
4.520

5.0
4.940
4.909

6.0
5.935

7.488
7.473

7.679
7.667

7.0

X : parts per Million : 1H

図9

第3節

ユーカリプトシン A の 1 H NMR のデータ (500 MHz, in CD 3 OD)

シソに含まれるプルナシンの定量

本節でのサンプル調製には、出発材料を凍結乾燥せずに MeOH で抽出した。続いて
その濃縮乾固したエキスを水に懸濁したのち、そのろ液の凍結乾燥物を MeOH 再溶解
した。その MeOH 溶液の固相抽出カラムからの流出液を濃縮乾固し、希釈したものを
HPLC での分析に供した。
上記のように調製したサンプルを用い、栽培した純系シソの種々の系統や、葉の生
長・乾燥の程度について葉 1 g あたりのプルナシン含量を比較し、さらに No. 5254 の
様々な葉の生長・乾燥の程度の葉 1 枚あたりのプルナシンの総量を算出した。また、
市場品ソヨウについても 1 g あたりのプルナシン含量を比較した。
1. 栽培品について
HPLC による各系統の乾燥葉中のプルナシンの定量の結果、プルナシン含量は No.
32>No. 5254>No. 5343>No. 25 の順に多く (図 10)、少なくとも葉の色や精油型 [24,
25, 26] とは相関はみられなかった。

-9-

図 10

4 種の純系シソ葉のプルナシン含量 (DW : Dry Weight)

検量線の定量下限を下回ったものには、「*」を付して表した。

また、同一の系統・主脈の長さのシソ葉の、単位質量あたりのプルナシン含量に
ついて、新鮮葉 (乾燥重量に変換したもの) と乾燥葉では、新鮮葉に多いということ
が判明した (図 11)。
さらに、若い葉 (主脈の長さ : <3 cm, 3–6 cm) と、成熟した葉 (主脈の長さ : 6 cm
以上) では、若い葉にプルナシンが多い傾向にあることが判明した (図 11)。このよ
うな傾向は、Eucalyptus cladocalyx [27] や Phaseolus lunatus [28] でも観察されてい
る。

- 10 -

図 11

純 系 シ ソ の 主 脈 の 長 さ ご と の 新 鮮 葉 及 び 乾 燥 葉 の プ ル ナ シ ン 含 量 (mg/g

[DW])
検量線の定量下限を下回ったものには、「*」を付して表した。

一方、No. 5254 葉 1 枚あたりのプルナシン含量は表 1 の通りであった。すなわ
ち、若い葉には少なく、十分に展開した葉に多いというものであった。同様の例と
しては、E. cladocalyx の葉 1 枚あたりのシアン化合物含量は Fully-expanded leaf >
Old leaf > Young leaf の順に高い [27] というものがある。

- 11 -

表1

No. 5254 葉 1 枚あたりのプルナシン含量

<3 (n=23)

0.217

新鮮葉 1 枚の平均質量
あたりのプルナシン含量
(mg/leaf [FW])
0.022

3–6 (n=10)

0.092

6–9 (n=5)
9–12 (n=5)

主脈の長さ (cm)
(n=葉の枚数)

0.003

乾燥葉 1 枚の平均質量
あたりのプルナシン含量
(mg/leaf [DW])
0.021

0.173

0.014

0.047

0.294

0.118

0.048

0.047

0.754

0.549

0.126

0.120

新鮮葉 1 枚の平均質量
(g/leaf [FW])

n, 葉の枚数; FW, fresh weight; DW, dry weight.

- 12 -

乾燥葉 1 枚の平均質量
(g/leaf [DW])

2. 市場品ソヨウについて
市場品ソヨウについては、検体番号 4 を除くすべてからプルナシンが検出され、含
量としては 0.3–1.2 mg/g (DW) のものが多く見られた (図 12)。

図 12 市場品ソヨウのプルナシン含量

第4節

β-グルコシダーゼ活性

シソの新鮮葉と乾燥葉では、乾燥葉で単位質量あたりのプルナシン含量が低かったこ
とから、乾燥中にプルナシンが分解された可能性が考えられた。その要因の 1 つとし
て、分解酵素である β‐グルコシダーゼによる可能性が考えられたため、シソ葉中の β‐グ
ルコシダーゼの存在を確認するためにその活性試験を行った。
まず初めに β-グルコシダーゼの基質である p-ニトロフェニル-β-D-グルコピラノシド
の、β-グルコシダーゼによる分解産物である p-ニトロフェノールの検量線を、紫外可視吸
光度計を用いて作成した。 ...

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参考文献

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