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Screening of food-related microorganisms for tomatinase activity and its application in tomatidine production

Hui, Chun Wai 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24910

2023.09.25

概要

( 続紙 1 )
京都大学

博士(







氏名 HUI CHUN WAI

Screening of food-related microorganisms for tomatinase activity and its
application in tomatidine production
論文題目
(トマチナーゼ活性を有する食品微生物の探索およびトマチジン生産への
応用について)
(論文内容の要旨)
トマチジンは、トマト由来の二次代謝産物であり、主にその配糖体であるα-トマ
チンとして茎・葉・未熟果実などすべての部位で蓄積されている。また、筋萎縮抑制
効果や抗がん・抗ウィルスなどの生理活性を有することから、高齢化社会において機
能性食品・サプリメントとしての応用が期待されている。現在、α-トマチンの糖鎖を
加水分解により切断しトマチジンに変換する方法として、塩酸による酸加水分解法や
植物病原菌由来のトマチナーゼによる酵素的加水分解法が報告されているが、どちら
の方法も安全面での課題があり、健康促進作用を有するトマチジンの有効な生産法は
確立されていない。
本論文では、トマチナーゼ活性を有する食品関連微生物の探索および目的反応を
触媒する酵素の諸特性の解明を行い、得られた知見に基づき、トマトの葉抽出液を原
料とする選抜菌株によるトマチジン生産を検討した。
第一章では、天然から単離した食品関連微生物、もしくは保存機関から購入した
様々な発酵食品関連微生物を用いて、α-トマチンからのトマチジン生産に有効なトマ
チナーゼ活性を有する菌株のスクリーニングを行った。乳酸菌、麹菌、納豆菌、酵母
など計1,016株の食品関連微生物を各々に適した栄養培地(10 mLまたは15 mL)にて
培養し、得られた菌体を約1 mMのα-トマチンを含む500 μLの反応液に懸濁、37 ℃で
24時間振とうすることで休止菌体反応に供した。その結果、Aspergillus属Nigri節の黒
麹菌11株がトマチナーゼ活性を示した。さらに、各黒麹菌の菌糸、分生子および培養
上清におけるトマチナーゼ活性を比較し、高いトマチジン生産能を示し、かつ非毒素
生産株であるAspergillus luchuensis JCM 22302株を選抜した。本菌は、スクリーニング
で使用した反応条件において菌糸および分生子にトマチナーゼ活性を示したが、取り
扱いが容易な分生子に着目し、反応条件の検討を行った。その結果、本菌の分生子
が、pH 5.5(50 mM酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液)、37 ℃の反応条件下にて高活性を示
すことを明らかにした。また、最適反応条件下でA. luchuensis JCM 22302株の分生子を
用いて反応の経時変化を調べると、高速液体クロマトグラフィー分析にて反応中間体
の存在が確認されなかったことから、A. luchuensis JCM 22302株由来のトマチナーゼは
α-トマチンの糖鎖を一段階で加水分解し、アグリコンであるトマチジンを生成すると
示唆された。
第二章では、基質であるα-トマチンを培地に添加しA. luchuensis JCM 22302を培養
すると、培養上清にも酵素が分泌されることを見いだした。続いて、培養上清より、
限外ろ過、および、疎水性相互作用カラム・イオン交換カラム・ゲルろ過カラムの三
種類のカラムを用いたクロマトグラフィーによりトマチナーゼを精製した。精製タン
パク質は、SDS-PAGE解析において分子量約120,000の単一バンドとして観察された。
このバンドのN末端アミノ酸配列を解析し、得られた配列を基にBLAST検索を行った
結果、精製した目的酵素のN末端アミノ酸配列は麹菌のβ-ガラクトシダーゼのアミノ
酸配列と高い相同性を示すことが見いだされた。また、精製したトマチナーゼは、N結合型糖鎖切断酵素であるEndo Hにて処理することにより、SDS-PAGE解析において
より低分子のバンドとして観察され、本酵素が糖鎖修飾を受けていることが示唆され
た。一方、糖鎖切断のトマチナーゼ活性への影響を評価したところ、糖鎖切断はトマ
- 1 -

(続紙 2 )
チナーゼ活性には影響しなかった。
第三章では、トマトの葉を天然のα-トマチン源とする黒麹菌分生子によるトマチ
ジン生産を検討した。トマトの収穫過程で廃棄される茎・葉および未熟果実には、αトマチンが豊富に含まれている。トマト葉抽出液を作製し分析したところ、約1 mM
のα-トマチンが高速液体クロマトグラフィー質量分析により確認できた。そこで、A.
luchuensis JCM 22302株の分生子をトマト葉抽出液に加え、最適温度(37 ℃)にて24
時間反応させた結果、60 mol%のα-トマチンがトマチジンに変換された。さらに、24
時間反応後の反応液中に残存する分生子を遠心分離により回収し、回収した分生子に
新たなトマト葉抽出液を加え2回目の24時間反応を行った結果、残存分生子にトマチ
ナーゼ活性が維持されていることが確認された。二回目の反応開始時、分生子のトマ
チナーゼ活性が既に一度目の反応の間に誘導されていたため、変換率は初回反応時の
60 mol%から66 mol%まで上昇した。本反応は、約1 mMのα-トマチンを含有するトマ
ト葉抽出液を凍結乾燥してから水を加えて10倍濃縮になるように再懸濁した濃縮トマ
ト葉抽出液を用いても有意に進行し、同様に調製した2倍濃縮液を用いた際に最も高
い変換効率が観察された。以上により、トマト葉抽出液を原料とする黒麹菌分生子を
もちいたトマチジン生産法を確立した。
注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は1頁を38字×36行で作成して、3,0
00字を標準とすること。
論文内容の要旨を英語で記入する場合は、400~1,100wordsで作成し
審査結果の要旨は日本語500~2,000字程度で作成すること。

- 2 -

(論文審査の結果の要旨)
筋萎縮抑制効果、抗がん、抗ウィルス等の様々な生理活性を有するトマチジン
が注目されており、健康食品およびサプリメント産業において、より安全かつ効率
的な生産手法の確立が求められている。本論文は、食品関連微生物にα-トマチンか
らトマチジンを生産できる菌株を探索し、高いトマチナーゼ活性を示した菌株を対
象に生理学的、酵素学的諸特性を解析した。さらに、得られた知見を基に、天然の
α-トマチン源としてトマト葉抽出液を用いて、効率的なトマチジン生産法を確立し
た。評価すべき点として、以下の3点があげられる。
1.

2.

3.

Aspergillus属Nigri節の11株の黒麹菌がトマチナーゼ活性を示し、α-トマチンの糖
鎖を一段階で切断することを明らかにした。本酵素はこれまで、植物病原菌の
みに見いだされ、トマトへの感染機構に関与すると報告されていた。本論文で
の食品関連微生物におけるトマチナーゼ活性の発見は新規な知見である。ま
た、A. luchuensis JCM 22302株の分生子を用いた反応条件の最適化により、約1
mMのα-トマチンを含む反応液から変換率78 mol%にてトマチジンを生産するこ
とができた。
A. luchuensis JCM 22302株由来のトマチナーゼは基質であるα-トマチンによって
誘導され、培養上清へ分泌されることを見いだした。さらに、本酵素が麹菌の
β-ガラクトシダーゼと高いアミノ酸配列相同性を示し、N-結合型糖鎖が付加さ
れていることを明らかにした。また、糖鎖の除去が酵素活性に影響しないこと
を明らかにした。
α-トマチンを含むトマト葉抽出液を基質とし、A. luchuensis JCM 22302株の分生
子を活用するトマチジンの効率生産が可能であることを見いだした。さらに、
本菌の分生子は繰り返し使用が可能であること、濃縮トマト葉抽出液を用いて
も有意に反応が進行することを見いだした。これらにより、トマト葉抽出液を
原料とする黒麹菌分生子を用いたトマチジン生産法を確立した。

以上のように、本論文は、食品関連微生物を対象とした探索研究から新規に見い
だしたトマチナーゼ高活性のAspergillus属Nigri節の黒麹菌A. luchuensis JCM 22302株
に関して、その生理学的・酵素学的特徴や培養特性を解明し、その知見を、基質で
あるα-トマチンの天然供給源としてのトマト葉抽出液を用いる、安全かつ効率的な
トマチジン生産に応用したものであり、発酵生理学、応用微生物学、応用生化学の
発展に寄与するところが大きい。
よって、本論文は博士(農学)の学位論文として価値あるものと認める。
なお、令和5年7月20日、論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結果、
博士(農学)の学位を授与される学力が十分あるものと認めた。
注)論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文は、本学学術情報リポジトリに
掲載し、公表とする。
ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表するこ
とに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。 ...

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