CD70 antibody-drug conjugate: A potential novel therapeutic agent for ovarian cancer
概要
〔目 的(Purpose))
プラチナ系製剤は、卵集がんの第一選択薬として使用される主要な抗がん剤である。しかし、再発した卵巣がんに対しては、セカンドライン治療以降の治療法は効果が低い。抗体-漿物複合体(ADC)は、抗原選択性が高く、副作用が低い治療法であるが、卵巣がんに対するADCは、臨床試験の結果からは限定的な結果となっている。
本研究では、in-vitroの卵巣がん細胞株に対するCD70-ADCの細胞増殖抑制効果と、in-vivoのマウス異極移植モデルにおける抗腫瘍効果を調べることを目的とした。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)]
臨床検体におけるCD70の発現を、免疫組織化学的染色により評価した。ウェスタンブロッティングとFACS分析を用いて、卵巣癌親細胞株A2780とSKOV3、およびシスプラチン耐性細胞株A2780cisRとSKOV3cisRにおけるCD70の発現を調べた。シスプラチン爆露後のCD70の発現を、control siRNAおよびNF-κB-p65-si RNAをトランスフェクションしたA2780細胞で測定した。また、CD70の発現をA2780cisRcontrol細胞とA2780cisR-NF-/cB-p65-si1enced細胞とで比較した。抗CD70モノクローナル抗体をチューブリン重合阻害剤であるMMAFに結合させたADCを作成し、その細胞毒性効果をin-vitroおよびin-vivoで検討した。
結果:63例の漿液性卵巣癌の臨床検体を調べたところ、43例(68.3%)がCD70を発現していた。進行期の患者(n=50)では、術前化学療法を受けた患者は受けなかった患者に比べてCD70の高い発現を示す傾向があった(55.6%[15/27]対17.4%[4/231.オッズ比3.2、95%信頼区間1.2-8.3、P<0.01)。CD70の発現は、A2780cisR、SK0V3、SKOV3cisRの各細胞で、ウェスタンブロット法とFACS分析を用いて確認した。注自すべきは、CD70の発現がシスプラチン処理後、A2780control細胞では誘導されたが、A2780-NF-κB-p65-Silenced細胞では誘導されなかったことである。さらに、A2780cisRで観察された強いCD70の発現は、NF-kB-p65のノックダウン後に抑制された。CD70-ADCは、A2780cisR、SKOV3、SKOV3cisRの各細胞に対して細胞毒性を示し、IC50値は0.104〜0.341nMであった。A2780cisRおよびSKOV3cisRのマウス皮下移植モデルでは、CD70-ADCを投与したマウスの腫瘍の成長は、コントロールのADCを投与したマウスの成長に比べて有意に抑制された(A2780cisR:32.0対1639.0m3、P<0.01; SKOV3cisR:232.2対584.9mm3、P<0.01)。
〔総 括(Conclusion)〕
プラチナ製剤の投与により、卵巣がん細胞でCD70の発現が誘導された。CD70-ADCは、CD70を発現している卵巣がんの治療に役立つ可能性がある。