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大学・研究所にある論文を検索できる 「Anti-glypican-1 antibody-drug conjugate is a potential therapy against pancreatic cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Anti-glypican-1 antibody-drug conjugate is a potential therapy against pancreatic cancer

西垣, 貴彦 大阪大学

2021.07.31

概要

〔目 的(Purpose)〕
 膵癌の治療成績は集学的治療の進歩により改善傾向であるが、未だに予後不良な疾患であり、新規治療法の開発が望まれる。近年、腫瘍細胞特異的に発現する抗原に対する抗体に抗腫瘍効果を持つ薬剤を結合させた抗体薬物複合体(ADC)が、乳癌やリンパ腫に対して臨床応用され、良好な成績を挙げている。Glypican-l(GPCl)は食道癌や子宮頸癌など複数の癌腫で高発現し、多くの正常組織では発現していないことから、ADCの標的抗原として有力である。我々のグループでは抗GPC1抗体に微小管阻害剤monomethyl auristatin F(MMAF)を結合させたGPC1-ADCを作成し、子宮頸癌のマウスモデルに対して有効であることを示した。本研究では、膵癌におけるGPC1の発現と臨床的特徴について明らかにし、更に、前臨床モデルであるヒト膵癌異種移植(Patient-derived xenograft; PDX)マウスを用いて膵癌に対するGPC1-ADCの有効性を明らかにすることを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
①膵癌切除検体でのGPC1発現と臨床学的特徴
 膵癌切除検体75例を用いてGPC1の免疫染色を行った。73例(97.3%)でGPC1の発現が認められた。更に、GPC1高発現群でリンパ節転移を有する割合が高く、無再発生存期間、全生存期間が短いことが示された。
②膵癌細胞株におけるGPC1発現とGPC-ADCの抗腫瘍効果
 膵癌細胞株3株におけるGPC1の発現をフローサイトメトリーで測定した。3株中2株でGPC1が高発現していた。これらの膵癌細胞株にGPC1-ADC投与すると、GPC1高発現株では濃度依存的に増殖抑制効果を認めたが、GPC1低発現株では増殖抑制効果を認めなかった。GPC1高発現株であるBxPC-3を用いてGPC1 knockdown細胞株を作成しGPC1-ADCを投与したところ、親株と比較し抗腫瘍効果が減弱していた。GPC1-ADCの抗腫瘍効果はGPG1発現に依存していることが示唆された。
③膵癌細胞株におけるGPC1-ADCの細胞内移行
 GPC1高発現の2株にGPC1-ADCを投与した際の細胞膜上のGPC1の発現をフローサイトメトリーで測定した。フローサイトメトリーにはGPC1-ADCに用いた抗GPC1抗体とはエピトープが異なる抗GPG1抗体を用いた。両細胞株においてGPC1-ADC投与後、速やかに細胞膜上のGPC1が減少しており、GPC1-ADCが細胞膜上のGPC1に結合し細胞内に取り込まれていることが確認された。更にBxPC-3にGPC1-ADCを投与後、蛍光免疫染色を行った。GPC1-ADCはリソソームマーカーであるLAMP1とoverlapを示し、GPC1-ADCが細胞内に取り込まれた後、リソソームへと運ばれることを確認した。
④動物モデルを用いたGPC1-ADCの治療効果
 ヒト膵癌臨床検体を皮下移植したPDXマウスを作成し、GPC1-ADCの治療効果について検討した。GPC1-ADCは静脈注射で投与し、腫瘍体積及び腫瘍重量を測定した。コントロール群として特定の抗原を認識しないコントロール抗体にMMAFを結合させたADC(Control-ADC)を用いた。GPC1-ADC投与群ではControl-ADC投与群と比較し有意に増殖抑制効果を認めた。抗GPC1抗体のみの投与では、抗腫瘍効果を認めなかった。GPC1-ADG投与群におけるMMAFの薬効を確認するため、GPC1-ADC投与後に腫瘍を摘出し、分裂期のマーカーであるphospho-HistoneH3の免疫染色を行った。GPC1-ADC投与群でControl-ADC投与群と比較し、phospho-HistoneH3陽性の割合が高くΜ期停止が起きていることが確認された。

〔総 括(Conclusion)〕
 GPC1-ADCは膵癌細胞株に対して抗腫瘍効果を認めた。更に、前臨床治療モデルであるPDXマウスにおいてもGPC1-ADCは著明な治療効果を示し、GPC1を標的としたADC治療は膵癌の新規治療として臨床応用が期待される。

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