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大学・研究所にある論文を検索できる 「地域資源と動物福祉に配慮した牛肉に対する消費者の選好—パルプ飼料の観点から—」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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地域資源と動物福祉に配慮した牛肉に対する消費者の選好—パルプ飼料の観点から—

王 澤達 東北大学

2021.02.28

概要

【目的】
近年、日本の森林の利用率は低い。木材の自給率は昭和30年の94.5%から平成30年の32.4%まで大幅に落ちた。また、日本の牛肉の自給率は低下している。2018においては36%である。肉用牛産業のうち、繁殖は地域における零細農家が担っており(文献、資料等の根拠があれば記載)、役目を終えた老廃牛に適切な肥育を行い、より良い品質で販売することは経営上重要であると言える。また、SDGsに代表されるように、環境への配慮が注目を集めている。本研究では、肥育時のエサとして輸入が主の濃厚飼料ではなく、地域森林資源を利用したパルプ餌に着目する。パルプ餌は濃厚飼料と比較し、消化時間が長く動物の胃に優しいことが示唆されている。よって、パルプ餌の持つ、地域資源を利用した環境に優しい餌としての性質と動物の胃に優しい動物福祉に配慮した肥育方法の性質の2つを消費者がどのように評価するか、肉質と価格の属性を加え、コンジョイント分析によって明らかにすることを目的とする。結果を踏まえ、荒廃が進んでいる森林資源の利用を促し、牛肉の自給率の低下という畜産業の現状を改善する可能性について考察を行う。

【方法】
2019年1月29日から2019年2月4日にかけて、日本全国を対象としたインターネット調査を実施した。北海道、東北、関東、近畿、中国、四国、九州の7つ地方の人口比に応じた回答者数を設定し、19歳から80歳までの計1238人より回答を得た。コンジョイント分析は、牛肉に対する属性として、価格、肉質、地域資源を利用した餌による肥育、動物福祉の4つの属性に対して、それぞれ設定した水準から、直交計画表を用い質問セットとして設定した。解析には統計ソフトR(ver.3.6.1)を利用した。解析モデルは、条件付きロジットモデルを採用し、コンジョイント分析で設定した属性のみを変数とする主効果モデル分析と、その他の設問部分で得られた個人特性変数を説明変数に含めて分析する交差効果モデル分析を実施した。

【結果と考察】
主効果モデルの結果により、各変数の符号は「価格」と「脂肪」でマイナス、「柔らかさ」、「地域資源」、「動物福祉」でプラスとなった。「価格」については、価格が高いほど消費者の効用が下がることを示し、本研究における設定が合理的であることが示唆された。「脂肪」に関しては、牛肉中の脂肪の含量が高いほど、消費者の評価が低くなった。つまり、霜降りと比べて、赤身肉の方が消費者に選好される。「柔らかさ」に関しては、柔らかい牛肉を好む傾向を示した。「地域資源」と「動物福祉」という2つの牛肉の付加価値にとって、消費者は積極的な評価を下した。また、各変数の係数推定値の大きさから、「柔らかさ」は0.6031、「地域資源」は0.6191、「動物福祉」は0.6283であるため、相対的に「動物福祉」の方が評価は高いことがわかる。交差効果モデルの結果により、以下の特徴がある人はパルプで肥育する老廃和牛肉を選好する。「女性」、「年上の人」、「普段によく赤身肉を食べる人」、「脂肪分に注意する人」、「動物福祉や地域資源を活用したエサについての知識がある人」、「同居人数が多い場合」、「普段に主に国産食品を買う人」、「日本の食料は自国で作る方がよいことを支持する人」、「子供がいる家庭」、「東日本に住んでいる人」である。

【結論】
コンジョイント分析により、消費者は「地域資源の活用」や「動物福祉」を評価しており、個人属性によって評価には違いがあるということが明らかになった。また、パルプで肥育する老廃和牛肉を実際の商品として販売する際の生産コストや商品価格、地域振興としての林畜連携が可能な条件等は今後の課題である。

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