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大学・研究所にある論文を検索できる 「Integrative analysis of cancer dependency data and comprehensive phosphoproteomics data revealed the EPHA2-PARD3 axis as a cancer vulnerability in KRAS-mutant colorectal cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Integrative analysis of cancer dependency data and comprehensive phosphoproteomics data revealed the EPHA2-PARD3 axis as a cancer vulnerability in KRAS-mutant colorectal cancer

Gunji, Daigo 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24882

2023.09.25

概要

京都大学

博士( 医学 )

氏名

軍 司 大 悟

Integrative analysis of cancer dependency data and comprehensive
phosphoproteomics data revealed the EPHA2-PARD3 axis as a cancer
vulnerability in KRAS-mutant colorectal cancer
論文題目
(網羅的大腸癌35 細胞株リン酸化プロテオミクスと公共CRISPR スクリ
ーニングデータの統合解析により EPHA2-PARD3 軸が KRAS 変異癌の
脆弱性となることを明らかにした)
(論文内容の要旨)
大腸癌は世界的に、罹患数・死亡数の高い腫瘍である。主要な遺伝子変異である
KRAS、BRAF は下流の RAS シグナルを活性化し、治療層別化において中心的な役割
を果たしている。KRAS 変異癌に対して、KRAS 12C や RAS 下流シグナル分子を標的
とした阻害剤開発が行われているが、大腸癌における治療効果は限定的である。この理
由として、KRAS 変異による下流シグナルが癌の増殖シグナルの支配要因ではないこと
が挙げられる。新規治療法開発には、KRAS 変異癌のシグナル特性を明らかにし、癌の
増殖シグナルおよび構成分子を予測し選抜することが重要である。リン酸化プロテオミ
クスは、キナーゼやシグナル構成分子の活性を定量評価でき、活性化キナーゼ群やシグ
ナル経路の特定が可能である。一方、大腸癌細胞株における高深度かつ網羅性の高い大
規模データは整備されていない。また、膨大なリン酸化部位情報から、高確率に治療標
的候補分子を予測する手法は確立していない。
本研究では、35 種の大腸癌細胞株の網羅的プロテオミクスおよびリン酸化プロテオ
ミクスデータを取得し、BRAF、KRAS 変異に基づき細胞株を層別化し、KRAS 変異癌
の特徴的リン酸化シグナルおよびタンパク―タンパク相互作用を解析した。公共の
CRISPR スクリーニングデータとの相関解析を行い、癌細胞の増殖に必要なリン酸化部
位予測を行い、KRAS 変異癌の脆弱なシグナルを同定した。最後に、臨床プロテオミク
ス腫瘍分析コンソーシアムプログラム(CPTAC)により報告された大腸癌組織 96 試料
のリン酸化プロテオミクスデータと比較を行い、細胞株の腫瘍モデルとしての妥当性を
評価した。
大腸癌 35 細胞株のデータセットから、7,913 のタンパク質と 38,700 のリン酸化部位
の定量に成功した。チロシンリン酸化ペプチドを濃縮することで、これまでの大腸癌細
胞株の大規模データを大幅に上回るチロシンリン酸化部位(pY)を定量した。KRAS 変
異癌細胞では EPHA2 キナーゼと下流の Tight junction シグナルが活性化しているこ
と、Focal adhesion に関わる新たなタンパク質-タンパク質相互作用を見出した。さら
に、癌細胞の増殖に必要なリン酸化部位を選抜するために、リン酸化プロテオームデー
タと CRISPR スクリーニングデータの相関解析を行い、細胞極性に関わる PARD3
pY378 レベルが PARD3 の遺伝子依存性と相関すること、KRAS 変異癌では、PARD3
pY378 レベルが増加し、EPHA2 キナーゼ活性と相関していることを見出した。以上の
結果より、EPHA2-PARD3 軸が KRAS 変異癌の脆弱シグナルであることが示唆され
た。既報から収集した KRAS 変異大腸癌組織リン酸化プロファイルでは、KRAS 変異
細胞株と同様に、Tight junction や Focal adhesion シグナルの活性化を確認した一方、
PARD3 pY378 は定量されなかった。
リン酸化プロテオミクスの発展により大規模なリン酸化部位の定量が可能になった
が、95%以上のリン酸化部位の生理的機能は不明である。本研究で取得した大腸癌 35
細胞株プロテオミクスおよびリン酸化プロテオミクスデータは、大腸癌の分子特性を理
解するための重要な基盤となる。CRISPR スクリーニングデータとの相関解析による癌
の増殖に必要なリン酸化部位予測は、創薬標的探索を効率的に進めることができる手法
として期待される。今後、より高精度の腫瘍組織のリン酸化プロテオミクスデータと突
合させ、KRAS 変異癌の脆弱性の全貌の解明につなげることが重要である。

(論文審査の結果の要旨)
本論文は、大腸癌細胞株の大規模網羅的リン酸化プロテオミクス解析基盤の構築と、
KRAS 変異癌のシグナル特性、脆弱性予測を目的としている。マルチプレックス TMT
法、チロシンリン酸化ペプチド濃縮法を採用した測定により、高精度、高深度かつ高い
網羅性を有するデータを取得した。インフォマティクス解析の結果、KRAS 変異癌のリ
ン酸化シグナル特性と細胞内異常調節機構の変化を予測した。機能注釈がないリン酸化
情報から、有望な治療標的を選抜する手法として、リン酸化レベルと CRISPR データの
相関解析による癌の脆弱性リン酸化部位予測手法を提案した。その結果、チロシンリン
酸化部位(pY)が潜在的な標的候補であり、EPHA2-PARD3 pY378 軸が KRAS 変異
癌の脆弱性であることを提案した。本研究は、増殖シグナルに重要な pY を 1,700 以上
定量したリソースであり、遺伝子依存性情報を活用し癌の増殖に必要なリン酸化部位を
論理的に選抜する手法を提案したという点で新規性を有する。今後、臨床検体から取得
したリン酸化プロテオミクスデータと突合させることで、効率的な創薬標的探索ができ
る可能性がある点で、臨床腫瘍学の発展に寄与するといえる。したがって、本論文は博
士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。なお、本学位授与申請者は、令和
5 年 7 月 18 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたもので
ある。 ...

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